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第943話 墓地でディラハンを迎撃するのはむずかしい

 私は参列者を見回す。


 やべえ、リンダさんが居ない。

 ジャリジャリジャリとチェーン君が立ち上がる。

 ダルシーとアンヌさんが姿を現した。


「コリンナちゃん、弓は?」

「りょ、寮だよ」


 まずいまずいまずいっ!

 ディラハンは高速で墓石を蹴倒しながらこちらへと近づいてくる。


 狙いは私か、やっぱり!


「マコト、エッケを」

「氷結丸をくれみょんっ!」


 収納袋からエッケザックスを出し、氷結丸を出し、二人に投げわたした。


「くそうっ!! ホウズがねえ」

「棒が無いが……」


 カーチス兄ちゃんが下がる、エルマーは発動体無しで魔法を使うつもりか。

 

「コリンナちゃんとお洒落組は参列者を守って、カーチスとライアンとオスカーも!」

「了解っ!!」

「ちっ、ホウズさえあればっ」

「心得たっ!」


 ヒルダさんが前に出る。

 エルザさんも鉄扇を構える。


 護衛女騎士ドミトリーガードの人達も儀礼短剣を抜いて構えた。


 私は子狐丸を出し、ユニコーン盾剣を出してエルマーに渡す。


「使える?」

「助かる……」


 ユニコーン盾剣は属性を問わない発動体だから使えるようだ。


 ディラハンはいななきながらまっすぐ私に向けて突進してきた。


「しっ!」


 ヒルダさんが呼気で気合いを入れて糸で一閃。


 ボオオオッ!!


 竜馬が火を吹いて糸が焼き切れた。


 ダルシーの回し蹴りをするりと避ける。


 ディラハンが大剣を私目がけて振り下ろす。


 ガッチャーン。


 子狐丸で受けた。

 すんごい力、だが、受けきった!


 エルマーのアイススピアが三本飛ぶ。

 ディラハンは器用に避ける。

 コイシちゃんの斬り下ろし、カトレアさんの突きを跳躍して避ける。

 最後のチェーン君パンチも器用に避けた。


 すごい運動性能だっ。


 参列者を飛び越し、カーブしてまた襲ってくる。

 カトレアさんがエッケビームを撃つが軽々とかわされる。


 とんでもないっ。


「どどどど、どうしよう、ガクエンチョ喪服脱いでもいい?」

「い、いやそれは……」


 ああ、頼みのアダベルも姪御さんの喪服だから竜化できないのかっ。

 鱗変化服じゃないと破けるのね。


「ポーポーちゃん!!」


 そうだ、もう一手ある!

 ポーポーちゃんが私の影から飛び出して頭に乗った。


 竜馬の足下に影空間!

 一瞬落ちかけたが、竜馬は小さい羽を動かして飛び越した。

 くそっ!!

 空を飛べる奴は無効か!!


「ぽっぽー」


 ポーポーちゃんは悲しげに鳴いた。


 ガチャーン!!


 また一合、ディラハンと切り結ぶ。

 とにかく早くて立体的に動くから攻撃を当てにくい。


 ハアハアハアハア。


 そうか、テイマーを探そう!

 私は人差し指と親指の間にナノサイズの光の輪を作り一気に広げる。


 カアアアアアアアン!!


 え、あれ、テイマーらしい反応が無い……。

 近所に居ないのか?

 あ、ちがう、魔力反応サーチでラインを掴まないと。


 ブウウウウウウン!


 ……。

 ディラハンに魔力ラインが繋がって無い?

 自立してる魔物?

 魔王軍?


 なんか……。

 変だな。


 私は、よく観察する。

 またディラハンが私に大剣を振り下ろす。

 私は避ける。

 ダルシーがディラハンにパンチを打つ。

 するりと甲冑部分が避ける。


 もう一度魔力反応サーチ!

 

 ブウウウウウウン!


 あっ!!

 ちくしょうっ、甲冑から竜馬にパスが伸びてる!!


「お前、ディラハンじゃないなっ!!」


 ちょっと甲冑部分が揺れた。

 良く見ると胸の辺りに沢山の穴が空いている。

 お前はタイガーマスクのMr.NOかよっ!!


 小男が甲冑の中に潜んで、竜馬に乗ってディラハンの真似をしてただけだ。


「甲冑の中に小男のテイマーが居る! あいつを落とせば勝てる!」

「ほうほう」


 カロルがニヤリと笑って前に出た。

 アンヌさんが盾を二枚持って前を守っている。

 彼女は収納袋から二つのトゲ付き鉄球を出してチェーン君の鎖に付ける。


 ディラハンは再度、こちらに向けて突進してきた。

 カロルが手を交差させると、凄まじい勢いで二つの鉄球が打ち出されディラハンを襲う。

 竜馬がスライドして逃げようとしたが、二つの鉄球は複雑な動きをして甲冑に激突し、絡め取って地面に落とした。


 やったぜ、ディラハン確保!!

 さすがチェーン君有能!!

 困ってうろうろし始めた竜馬をポーポーちゃんでボッシュートした。


 よし、戦闘終了!


「く、くそう、離せいっ!」

「やっぱり人間か、目的はなんなの?」

「だ、誰が話すかっ!」


 首の無い甲冑が喋るとなんか気持ち悪い。

 良く見るとマントで隠れているけど、腕の付いてる位置がちょっと下よね。


「もーくーてーきーはー、なーんーなーの?」


 子狐丸の峰でガンガン叩きながら聞いてみた。


「やめろっ!!」


 ん?

 何かの気配が背後を横切った。

 振り返ると真っ黒な猿が、アダベルの首に隷属の首輪をはめている所だった。


「へ?」


 がちゃん。


 甲冑は鎖でがんじがらめになっているが立ち上がった。


「わーはっはっはっ!! 私の勝ちだ!! 邪竜アダベルトをテイムしたぞっ!! これで俺は俺の王国を作れる!! 邪竜の力を借りてウエストン侯爵家はアライド王国から独立し、大陸に覇を唱えるのだ!! さあっ、アダベルトよ最初の命令だっ!! こいつらを皆殺しにしろっ!!」


 目的はアダベルをテイムする事だったのかっ!!

 や、やばいっ!!


「え、やだ」


 そう言ってアダベルは隷属の首輪を爪で引っかけて壊した。


「うおっ! ビリッとしたっ!」


 全員動きを止めた。


「ば、馬鹿なっ!! 青古竜の生体情報に合わせてチューニングした特別製の隷属の首輪だぞっ!! ど、どうして」

「私は守護竜だからそんな悪い事はしないぞ」


 ぷんぷん怒ってアダベルは甲冑にそう宣言した。


「ああ、もしかして、聖氷竜にクラスチェンジしたからかしら」

「ば、ばかなっ、属性が変化しただとっ!」


 甲冑は泣きそうな声でそう言った。


「私はマコトに先にテイムされてたからだと思うけどね」

「し、してない、テイムなんかしてないよ、コリンナちゃん」

「そ、そうだ、私は守護竜なんだから、わ、私がマコトをテイムしてるんだ」

「どうだかね」


 そう言ってコリンナちゃんはニヤニヤ笑った。


 甲冑はがっくりと肩を落とし、地面に崩れ落ちた。

 一件落着である。


 ちなみに黒い猿は魔物園脱走事件で見つからなかったクモザルであった。

 あっちもこいつのしでかした事件らしい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 竜馬テイムチャンス! [一言] 竜の顎といい邪竜とか呼ばれてる生物を過小評価し過ぎなのでは…? 野望がみみっちぃ…
[一言] 長引いた割に犯人は小者だったわ
[一言] というかアダベルト程度の戦力だと王都の戦力に殺されて終わると思うのよ なんならこの場で殺される、独立の戦力としては圧倒的に足りないだろ
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