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第940話 学園に戻ってお風呂に入る

「いやあ、楽しい時間はあっという間に過ぎるね」

「そろそろ黄金週間も終盤だな」


 かぽーん。

 今私は女子寮の地下大浴場であります。

 今日は水曜日なので、聖女の湯の素を入れて入浴である。

 ちょっと遅くなったが、休日なのでしかたが無いのである。


 のんびりと湯船に浸かる。


「やっぱり聖女の湯はいいな」


 なぜか守護竜さんも一緒である。

 今日は聖女の湯か? と聞いて格納庫から付いてきた。


「明日はお葬式か、初めてだ」

「そうなんだ、大人しくしてるのよ」

「解った」


 アダベルも来るのか。

 この子の喪服とかを、学園長は用意してるかな。


「アダベルの服って、自分で精製してるのよね、黒いのも作れる?」

「ん? 作れなくは無いよ」

「あとで喪服モードを練習しましょう、お葬式用の服なのよ」

「そうか、マコトも喪服か?」

「私たち学生は制服で良いのよ」

「ずるい」


 アダベルが口を尖らせたのでカロルが優しく笑った。


「ああ、聖女の湯は疲れが取れる」

「コリンナちゃんは何もしてないじゃん」

「推理した、あれは疲れるのだ」

「コリンナも弓矢の練習しなさいよね」

「う、うん、やるよカロル」


 本当に体を動かす事が苦手だなあ。

 エーミールに習った技術を忘れちゃうぞ。


 命令さんが黒豹を連れて浴室に入ってきた。


「あら、聖女の湯だわ、ラッキーね、ロデムちゃん」

「ぐるるる」

「ホルストさん、黒豹は脱衣所に置いてきてくださいっ」

「あら、私とロデムちゃんは一心同体よ、脱衣所に置いてくるなんて。ああ、あなたのフクロウを食べちゃうかもしれませんわよ、おほほほっ」


 イラッ。

 脳内でポーポーちゃんを呼んだ。

 この子は影の中を飛べるので、閉まっている浴槽のドアもすり抜けられる。


「ロデムくん、ボッシュートですっ」

「ぎゃあんっ」


 ロデム君は足下に影空間を作られて沈んでいった。


「ああ、ロデムちゃんっ! か、かえして、泥棒っ!!」

「お風呂に従魔連れてくんなってんだっ!!」


 びびびと命令さんに平手打ちを食らわしてやった。

 ほんとにもうっ。


「どうしても従魔をお風呂に入れて洗いたければ、人の居ない夜間とかにやってくださいっ」

「ううっ、一緒にお風呂に入りたかったんですものっ」


 従魔と仲良くなるのは良いけどさ、他の学生が怖がるでしょうに。

 取り巻き令嬢が二人、命令さんの横に付いて励ましている。


「脱衣所にロデム君出しときますから、一緒に入りたいなら時間を変えてください」

「わ、解ったわ、は、早くロデムちゃんを解放しなさいっ」


 ポーポーちゃんはすでに脱衣所にもどっている。

 影空間からロデム君を出すように命令した。

 ロデムちゃんは地上に戻ると、ポーポーちゃんの前で転がって腹を見せた。

 どっちが格上の魔物か解ったようだ。


 命令さんが慌てて脱衣所の扉を開けた。


「ロデムちゃん、ロデムちゃん、怖かったわねえ、聖女候補の心は氷結の悪魔よねえ」

「マコト、あいつ凍らせていい?」

「駄目よ、アダベル」


 どうやら命令さんは時間を変えてロデムくんとまた来る事にしたようだ。


「ふん、覚えてらっしゃい」


 ポーポーちゃんに捨て台詞を言うと彼女は大浴場から出ていった。


「まったく相変わらずね」

「まあ、従魔大事にしてるから、だんだん丸くなるんじゃね? しらんけど」


 そうなると良いねえ。


 洗い場に出て、ダルシーに体を洗って貰う。


「私も洗って洗って」

「かしこまりました、アダベルさま」

「うひひ、こしょばい」


 私の方が終わるとダルシーはアダベルを洗いだした。

 その隣でコリンナちゃんが雑に体を洗っている。

 雑い。


「なんだよ、良いんだよ私は」

「ちゃんとすれば良いのに」

「本当よコリンナ」

「うるさい」


 ガッシュガッシュと彼女は洗う。

 コリンナちゃんには乙女回路が搭載されていないようであるな。


 さて湯船に戻って暖まる。

 はあ、極楽極楽。


 カロルが隣に来て、なんだかちょっとドキドキしますね。

 彼女の裸は綺麗で神々しい。


「あんまり見ないで」

「ご、ごめんなさいっ」


 マジマジとみてはいかんね、うんうん。


 脱衣所で新しい下着を履いてダルシーにドライヤーを掛けて貰い、制服を着込む。

 ああ、さっぱりした。


 皆の着替えを待ってからエレベーターホールへ、カロルが居れば使えるんだぜ。


 チーン。


 丁度良い時間だったので派閥のみんなが集まっていた。


「それじゃ、私はこれで」

「アダベル帰っちゃうの?」

「晩ご飯はガクエンチョと食べるんだ」


 そう言ってアダベルはパタパタと駆けていった。

 あ、喪服チェンジをやれなかった。

 まあ、いいや、明日考えよう。

 学園長もいることだし。


 私たちが食堂に入ると、中の生徒たちが一斉に拍手をした。

 えっと、何?


「女神さまをご降臨なされた偉大な聖女さまへの感謝の拍手です」

「ブラボーブラボー!」

「あ、ありがとう」


 うーんやっぱり女神降臨はインパクトがあったかあ。

 神さまだもんな。


「やあ、マコト、洗礼式は凄かったね」

「クララは場外だったでしょ、見えたの?」

「ゲート越しに見えたよ。クリフさんも感動してた」


 それは何より。


「今日の献立は?」

「ポークソテー、コールスローサラダ、オニオンスープ、黒パンよ」


 お、イルダさんのポークソテー好き。

 私はカウンターから料理のお皿を取ってトレイに乗せていく。

 最後にケトルから冷めたお茶をカップに注いで完成である。

 トレイを持ってテーブルに着席する。


 はあ、毎日美味しい物が食べられるのはありがたいね。


 皆が席に付いたので、お食事のご挨拶。


「いただきます」

「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」


 さあ、食べよう食べよう。


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― 新着の感想 ―
[一言] 特殊な能力でもない限り影魔物には敵わないよね、そりゃ腹も見せるわ
[一言] >「あら、私とロデムちゃんは一心一体よ、脱衣所に置いてくるなんて、ああ、あなたのフクロウを食べちゃうかもしれませんわよ、おほほほっ」 命令さん、ポーポーちゃん大好きなヒルダさんのお怒りを買…
[一言] 式の任務成功(successful mission)したからセイバーマリオネット用語の「乙女回路」が出てきたのか。
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