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第934話 ゴブ蔵とカマ吉にシンボルをプレゼントする

 大神殿に大型馬車は着いた。

 子供達が幌馬車から飛び降りて階段を駆け上がっていく。

 みんな元気だなあ。


「影犬と影フクロウを返してくれよう」


 馬車を降りたクヌートが話しかけてきた。


「そうね、黄金週間が終わったら返すわよ」

「助かるぜ、早めにピクシーを探しにいかねえとならなくてよ」

「魔物屋で買えないの?」

「ピクシーは回復技持ってるから値段が高いんだよ」


 そうかそうか、ピクシーだと中級あたりの迷宮に行かねば採れまい。

 王都近くだと、突剣山脈の麓のロンバスダンジョンかな。


 カマ吉とゴブ蔵も降りてきた。


「貴方たちは大神殿で頑張りなさいね」

「はい、聖女様」

「きゅきゅー」


 女神さまが魔物に祝福を与えた事は世界に衝撃をもたらすだろうなあ。

 主流な神学では魔物は滅ぼすべき汚れた存在で、教会に置くなんてとんでもない、という説だったからな。

 従魔ブームが加速するかもしれないね。


 まあ、魔物といっても友好的な個体と無理に戦う事も無いよな。


「よし、ゴブ蔵、お前は私と一緒に被服課で服の調達だ。カマ吉、お前は大神殿の警備を手伝え」

「はい、リンダ隊長」

「きゅっ」


 ゴブ蔵とカマ吉が敬礼した。

 祝福された魔物は大神殿で人気者になれるだろうね。


 私は大神殿に上がって売店に寄った。


「あ、聖女さま、いらっしゃいませ」

「シンボルペンダントを二つちょうだい」

「はい、あ、アダベル様洗礼式記念モデルはいかがですか、会場では売り切れましたよ」


 そんなシンボルがあるのか。

 売り子さんが指し示したのは銀製の二重円のシンボルだった、端っこにアダベルをかたどったマークが付いてる。


「良いわね、丁度あの子達の祝福の式だったし」

「あ、ゴブ蔵くんとカマ吉くんの奴ですか、いいなあ、聖女さまからのシンボル」

「まあね、水差しある? ついでに聖別しちゃうわ」

「せ、聖女様聖別済のシンボルとしてプレミアムを付けましょうよっ」

「いやよ、めんどくさい」


 シンボルはペンダント、ブローチ、カフスボタンと沢山あるのだ。

 いちいち聖別してられないぞ。


 売り子さんから水差しを借りて聖水を作り、二つのシンボルを聖別した。


「いくらなの?」

「えー、聖女さまからお金を取るわけには……」

「商売なんだからきちんとしなきゃダメよ」

「で、では教会関係者割引で卸値でこれくらいで」


 銀製の記念シンボルなので結構な値段がした。

 ダルシーが現れてお財布を開いて払ってくれた。


 丁度売店の前をカマ吉が聖騎士さんと一緒に通りかかった。


「カマ吉」

「きゅ?」

「シンボルをあげるわ、がんばってね」

「きゅっきゅ~」


 喜びの声を上げるカマ吉の首にシンボルを掛けてあげた。


「わあ、良く似合うなあ、良かったなあカマ吉」

「きゅきゅー」

「アダベル様洗礼式記念モデルよ、聖女様の聖別付きよ」

「ああ、良いなあ、俺も買おうかな」

「まいどありー、記念モデルの在庫はあとちょっとだわ」


 ついでなので聖騎士さんのシンボルにも聖水を垂らして聖別してあげた。

 彼は恐縮していた。

 ええんやで。


「わあっ、真っ白なカマキリっ、洗礼式で女神さまに祝福された子かなあ」

「そうね、ありがたいお姿だわ、聖獣さまね」


 通りかかった親子づれがカマ吉を拝んでいた。


 私はゴブ蔵を探して被服課の方へ向かった。


「あ、聖女様」

「わ、ゴブ蔵、似合うわね」


 ゴブ蔵は一般僧侶の服を着込んでいた。

 なかなか良く似合う。


「はい、これ、シンボルをあげるわ」

「ありがとうございます、これは素晴らしい物を、大事にいたします」


 私はゴブ蔵の首にシンボルをかけてあげた。


「おお、アダベル様洗礼式記念モデルじゃないですか、私のは」

「リンダさんのはありませんよ」

「残念だなあ」


 自分で買いなさいよ。


 さて、学園に戻ろうかな。


「じゃ、ゴブ蔵、リンダさん、またね~」

「はい、いってらっしゃいませ、マコトさま」

「いってらっしゃいませ、聖女さま」


 教会関係者は私の本当の居場所は大神殿だと思っているから、さよならの挨拶がいってらっしゃいなんだよね。


 大階段を下りていくと、目立つ所にカマ吉と聖騎士さんが立っていた。

 彼らに手を振って私は大神殿を後にする。


「号外号外~~、守護竜アダベルの洗礼式に女神さまご降臨~~!!」

「まじか、本当の事か?」

「本当よ、コロシアムの上に女神さまの頭が見えたもの、神々しかったわ~」

「うわあ、見たかったなあ、しかし凄い、千年ぶりか?」

「さすがは聖女マコトさまだぜっ」


 王都の話題は女神様ご降臨、一色だねえ。


 ぽこぽこと歩いて学園まで戻って来た。

 さて、午後は何をするかな。

 ちょっと時間が空いたなあ。

 カロルと遊びに行きたい、が、昨日百貨店に行ったしなあ。

 まあ、半分仕事みたいな感じだが。


 カロルは錬金仕事中かな。

 部屋に押しかけて長居をして嫌な顔をされようかなあ。

 意外に好きなのよね、カロルの部屋の匂い。

 しかし、五階まで階段で上がるのがだるいなあ。

 女神様のご降臨のきっかけを作ったんだから、エレベーター解禁してくれないかな。

 うむむ、どうしよう。

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― 新着の感想 ―
[良い点] いやよ、めんどくさい NOと言える聖女と教会スタッフの関係性。
[良い点] 更新お疲れ様です。 リンダにはなんやかんや御世話になってますし、聖別付き限定シンボルをプレゼントしてあげたらいいのに。 まぁ彼女の場合「末代までの家宝にします」とか言って厳重に保管という…
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