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第933話 アダベルは当然のようにやらかす

「聖女殿」


 おっと、ライオン公爵の事を忘れていたぜ。

 アダベルと引き合わせると約束してたね。


「素晴らしいものを見せてくれてありがとう。女神様をこの目でみれようとは、末代までの自慢となる」

「あ、いえいえ、勝手に女神さまが来たので私のお陰じゃ無いですよ」

「そ、そうか」


 それどころか、式の進行が狂って迷惑したのだ。

 いくら偉い神様だといっても勝手な事はいけないと思うな。

 うんうん。


「うおお、ライオンっ!!」

「あ、これがアダベルです」

「これはこれは、お初にお目に掛かる古竜どの、獣人連合国のヨールト・ギハンという、よろしくお願いする」

「おー、よろしく、聖氷竜のアダベルだー」


 アダベルはライオン公爵が珍しいのか、上から下までじろじろと見てとても失敬である。


「アダベル失敬よ」

「いや、かまわんよ聖女殿」


 ライオン公爵は鷹揚に笑った。

 良い人だなあ。


「ヨールト、たてがみ触ってもいい?」

「え、あ、ああ、いいとも」


 ライオン公爵は苦笑しながらしゃがんでアダベルと目を合わせた。

 ええ人だなあ。


「おおっ、ふわふわだー、すげえすげえ」


 アダベルは気負い無くライオン公爵のたてがみをモシャモシャした。

 公爵は微笑みながら目を閉じていた。


「ありがとう、もふもふだった」

「気が済んだかい、それは良かった、少し話さないか、アダベル殿」

「いーよー」


 アダベルとライオン公爵は同じベンチに座ってたわいの無いおしゃべりを始めた。


 ふわ、アダベルが失敬なのでヒヤヒヤしたよ。

 私もアダベルの隣に座った。


「どうだろうか、今度、獣人連合国に訪問して欲しいのだが」

「え、南の大陸? 暑い?」

「暑いが乾燥しているぞ、色々な不思議な魔物がいる大陸だ」


 アダベルがこっちを見た。


「なあ、マコト、守護竜って旅行で留守してもいいの?」

「ちょっとの間なら良いんじゃ無いかな?」

「そうかそうか、じゃあ行くよヨールト」

「おお、それは嬉しい、歓迎するぞアダベル殿、聖女殿もいかがか?」

「まあ、その時には一緒に飛空艇で行くわよ」

「そうか、それは何よりだ」


 ライオン公爵は満面の笑みを浮かべた。


「日取りの方は教会と相談してね。夏休みは忙しいから、冬か、来年の春ね」

「そうか、正式に国として要請をだそう、ありがとう、アダベル殿、聖女殿」

「寒い時期に暖かい大陸に行けるのは良いなっ」


 アダベルも満面の笑みである。

 冬に偽アフリカに行くのは良いなあ。

 飛空艇を使えばそんなには遠く無いし。


 ライオン公爵はお付きの豹獣人さんが探しに来て、私たちに挨拶をして去っていった。


 さあて、私たちも帰るかな。


「マコトは学園か?」

「うんにゃ、ゴブ蔵とカマ吉を大神殿に送っていくよ」

「そうか、じゃあ、また後でな」


 カーチス兄ちゃんは派閥のみんなをまとめて馬車溜まりの方へ去って行く。


「さあ、われわれも帰りましょう」

「そうね、みんなー、帰るよー、従魔を忘れないでね」

「「「「「はーいっ」」」」」


 大神殿行きは、孤児達とトール王子とティルダ王女、それから五本指だな。

 帰りは良い馬車に乗ることはないので、孤児と一緒の大型馬車にアダベルと一緒に乗った。

 しかし、従魔が一杯だなあ。

 セルジュのデカウサギがでかい。


 一番のちびっ子の子が夜光猫を抱いてくるくる回っていた。


「マコねーちゃん、このこ、にゃーりんというの」

「そうなんだ、にゃーりんよろしくね」

「に”あ”」


 なんかダミ声で鳴く仔猫だな。

 目が光るので夜におトイレに行く時に怖くないそうだ。

 それは凄い。


 大型馬車はがたごとと王都を走る。


「トール王子のトカゲ、凄く綺麗ね」

「カーバンクルのトミーだよ、凄く頭が良いんだ」

「うむ、こいつはなかなかやる」


 なぜアダベルが自慢の部下を紹介するような顔でトミーを見るのだ。

 しかしレアなトカゲだなあ。

 額にルビーが付いているので、結構乱獲される魔物なのよね。

 石化防止、毒解除の魔法が掛かっているので、各国王家で喜ばれるトカゲでもある。


 ゴブ蔵はちんまりと座っている。

 カマ吉は幌馬車の屋根の上に止まっている。

 パタパタと揺れるほろにカマ吉の影が映っていた。


「ゴブ蔵は聖職者になる気はある?」

「なりたいのですが、よろしいのですか?」

「問題無いわ、ヒールが使える存在は聖職者になるべきだわ」

「私もそう思います、ゴブ蔵、大神殿に着いたら採寸して、お前に合う法服を作るぞ」

「ありがとうございます、リンダ隊長」

「カマ吉も強くなりそうだし、色々と楽しみですね、マコトさま」

「彼は目立つし、大人しいから良いよね」

「大神殿の名物になりそうですね」


 大神殿も色々と楽しくなりそうだなあ。


 あ、そうだ。


「リーディア団長、ケーナさんのお葬式だけど、やっぱり遠慮して欲しいって王宮側から言われたわ」

「そうでしたか……」

「こればっかりは遺族の気持ちもあるから。しばらくしてからこっそりとお墓参りに行けば良いと思うわよ。ケーナさんは良い人だったから、あなたたちの事を絶対に許してると思うのよ」

「……はい」


 騎士は色々と対立したりするからしょうが無い面もあるけど、やっぱり辛いよね。

 なかなかすっぱりとはいかない物なのだよなあ。

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[気になる点] 923ページ目 第920話 クヌート先生の青空テイム教室①(クヌート視点)ではカーバンクルとなっているトカゲですがここでカトブレパスになっています。まぁ石化ならカトブレパスに近いのです…
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