表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

930/1527

第927話 日が暮れたのでお風呂に入って晩餐をとる

 カポーン。

 はい、現在女子寮地下大浴場で入浴中の聖女マコトです。

 カロルがホルボス山の入浴剤をまた持って来たのでドバドバいれたのだった。

 お湯が硫黄くさく白濁した。


「ああ、効くねえ」

「温泉の素は良い匂いねえ」

「ちょっと成分が違うのよ」


 カロル、コリンナちゃん、私の三人でのんびり入浴である。

 聖女派閥の執行部だね。


「敵はアライド王国のウエストン侯爵家かあ。目的はなんだ?」

「わからないね。なんだろう」

「お金でトール王子とティルダ王女の誘拐を請け負った、とかが解りやすいけど、ディラハン単騎だしなあ」

「単騎では、二人のターゲットを一度に捕まえられないわね」


 どっちでもいい……。

 うーん、そういう訳ではないだろう。

 甲蟲騎士団を襲って制裁を加えるにしても、単騎ではなあ、押し負けるだろう。


「敵の目的がさっぱり解らない」

「そうね、私たちが見過ごしている何かがあるのよ」

「隷属の首輪のシェア戦争……、ではないなあ。トップシェアをほぼ独占してるしな」


 くっそ、イライラするなあ。


 しゃーない、考えても解らない時は流れで解決じゃ。

 出たとこ勝負とも言うね。


 洗い場に出て、ダルシーに体を洗って貰う。

 さすがに大分慣れたね。

 ダルシーの髪の洗い方は官能的でうっとりしてしまうね。


 ふう、気持ちが良かった。


 再び湯船に浸かる。


 明日はアダベルの洗礼式、明後日はケーナさんのお葬式。

 意外と毎日何かあって時間がつぶれるね。

 黄金週間はのんびりしたかったのだけどなあ。


 ヒルダさんが浴室に入ってきた。

 かけ湯をして湯船に入ってくる。


「何か解った?」

「とりあえず、北の森に動きはありませんわ」


 ふむ、北の森は、お葬式の時に通りかかるね。

 ディラハンは森の中で隠れてじっとしてる感じか。


「黄金週間後の話ですが、どうやらジーン皇国の皇弟が聖女様へ謝罪しにアップルトンに来訪するという噂が出ています」

「あらまあ」


 皇弟のおっちゃんに謝られてもなあ。

 破門が解けないので直接出張ってきたか。


「さすがに破門は効いたみたいね」

「そうですわね、カロリーヌさま、一緒に現皇帝と第十三皇子も来るかも、という噂ですわ」

「ディーマーとグレーテ王女は来ないの?」

「皇后さまと一緒に皇国でお留守番との事です」

「それは残念」


 まあディーマーとあってもやることは無いけどな。

 ジーン皇国の事は教皇様と相談の上に態度を決めるか。

 まあ、破門したのは私じゃ無くて教会だけどね。


 さて、上がるかな。

 湯船を出て脱衣所にいく。

 ダルシーがバスタオルで水気を取ってくれて、新しい下着を履かせてくれた。

 籐椅子に腰掛けると、ドライヤーでブイーンと乾かしてくれる。

 至れり尽くせりであるよ。


「ぽっぽー」


 制服を着るとポーポーちゃんが飛んで来て影の中に入った。

 この子が一番レアなんだよな。

 影空間を作り出せる従魔がほいほいテイムできたら大変だよなあ。

 しかし、自分用の影フクロウが欲しい。

 あと、ヒルダさんにもあげたい。

 夏休み前に暇を見つけて影魔物のダンジョンに行こうかなあ。


 カロルとコリンナちゃんが出てきたので、椅子に座って二人を待つ。

 コリンナちゃんも簡易型ドライヤーでブインブインいわせているな。


 二人が身支度を終えたので一緒に大浴場を出る。

 柱時計を見ると晩餐までもう少しという感じの微妙な時間だな。


「ロビーで座ってる?」

「そうね」

「そうだな」

「一緒にエレベーターに乗りましょうよ」

「一階上がるだけなのに」


 と言いつつ、カロルと一緒にエレベーターに乗り込み、一階へと移動した。


 ロビーのソファーに三人で座った。


「黄金週間は授業が無いのでペースが乱れるな」

「そうだねえ、男子と連絡も取りにくいし」


 この世界はスマホがないからなあ。

 落ち合うのも大変だ。


「もう火曜日ね。丁度折り返しぐらいかしらね」

「楽しい時間はすぐ過ぎるね」


 ああ、黄金週間も半分過ぎたかあ。

 土日の飛空艇旅行で締めだね。


 お、エレベーターホールにみんなが集まりだした。

 ヒルダさんも上がって来たな。


「いこうか」

「ええ」

「そうだな」


 三人でエレベーターホールに行き、皆と合流した。


 ぞろぞろと食堂に入り、カウンターに並ぶ。


「いらっしゃい」

「明日はクララはアダベルの洗礼式の屋台を手伝うの?」

「うんうん、クリフさんに誘われたよー、二人で記念の聖女パン作るんだ」

「どんなん?」

「片側が聖女マコトパンで、片側が聖女マリアパン。朝からひよこ堂で沢山焼くわよ」

「明日が楽しみね」

「うんうん」


 クララとクリフ兄ちゃんは順調に仲良くなっているな。

 よしよし。


「今日のメニューは?」

「ニシンのソテーだね」


 おお、お魚か。

 王都は内陸だから、海の魚はなかなか食べられないのよね。


 私はトレイに、ニシンのソテー、オニオンスープ、グリーンサラダ、黒パンを乗せていった。

 最後にカップにケトルのお茶を入れてトレイに乗せ、テーブルまで運んでいく。


 ああ、お魚の良い匂いがする。


 皆が揃ったので食事のご挨拶である。


「いただきます」

「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」


 パクリ。

 んー、ニシンのちょっと癖のある味がする。

 おいしいなあ。

 ハーブの入ったソースが良い仕事をしているね。

 うんうん、ちょっと酸っぱい黒パンと良いバランスだ。


 美味しい美味しい。

 パクパクもぐもぐと晩餐の夕べはくれていくのである。


 あー、美味しかった。

よろしかったら、ブックマークとか、感想とか、レビューとかをいただけたら嬉しいです。

また、下の[☆☆☆☆☆]で評価していただくと励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ