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第924話 『百貨店(デパートメントストア)』の支配人と密談する

 ライオン閣下は席を立ちレストランを去って行った。


「意外に立派なお人だね」

「理知的で尊敬できるわ」

「獣人連合国でも重鎮ね、現王は若者だからヨールト閣下が部族長を押さえる感じになってますわ」


 なるほどなあ。

 各国によって政治の形は色々と違うっぽいね。

 アダベルの洗礼式を知って石の船で飛んで来る腰の軽さは良いね。

 ドナルドのおっさんにも見習って欲しいところだ。


 ウエイトレスさんがやってきて食器を下げる。


「支配人さまはお手すきかしら?」

「はい、問題はありませんよ」

「少しお話がしたいのですけれども」

「かしこまりました少々お待ち下さいませ」


 ウエイトレスさんが食器を持って立ち去っていく。

 ヒルダさんが手配してくれるから私は楽で良いね。

 暗闘の家万歳。


「こちらにおいでくださいませ」


 ウエイトレスさんが私たちを先導して、エレベーターに乗り込んだ。

 最上階でエレベーターは止まった。

 支配人室と書かれた部屋に通された。


「先ほどはありがとうございました。聖女さまのお陰で無難にトラブルが解決したので助かりました」


 支配人は笑って私たちを応接セットに誘った。

 お、高そうなソファーだな。

 私たちが座るとウエイトレスさんがコーヒーを出してくれた。

 良い匂いだなあ。


「ヒルダさま、マーラー外套をありがとうございました、女王陛下もとてもお喜びで寒くなるのが待ちきれないとのお言葉を頂きましたよ」

「お気に入って貰えて、こちらも嬉しいですわ」


 ヒルダさんはマーラー外套で何か取引してたのかね?

 というか、アレは女王陛下も喜ぶ物なのか。


「今日はうちの領袖がお聞きしたい事がありますの」

「ほほう、聖女さまが何をお聞きになりたいのですか?」

「ええと、諜報組織の人だよね?」


 支配人はにっこり笑った。


「はい、左様でございます、聖女さま」

「領袖、ここで働いているボーイ、ウエイトレス、女給のほとんどは諜報員です」


 おお、さっきのウエイトレスさんもスパイなのか!


「聞きたいのは、アライド王国で産する隷属の首輪の事です。あれってマスターキーのような物はあるんですか?」

「昨日の魔物園の脱走事件ですね」

「はい、それ絡みで隷属の首輪の情報を調べています」

「さて、どういたしますかな」


 支配人は目を笑わせた。

 只じゃあ情報はやれないよ、という事か。


「アップルトン王立魔法学園にジーン皇国の十三皇子ギュンター様が二学期からご留学なされると内定しております。たまたま、アライド王国からもウインター公爵家のメリンダさまがご留学なされるようです」


 げ、ジーン皇国から皇子くんのか。

 で、アライド王国も対抗して公爵令嬢を送り込むって事だな。


「聖女さまがメリンダさまとお友達になってくださるなら、『百貨店デパートメントストア』としてもご協力を惜しみませんよ」

「メリンダさんってスパイ?」

「いえ、違いますよ」


 まあ、スパイを馬鹿正直にスパイとは言わないだろうな。


「解りました、メリンダさんと仲良くなるので情報ください」

「かしこまりました」

「良かった、領袖の表敬訪問をおねだりされるかと思いましたよ」

「先にアライド王国の案内役と顔合わせをしておきませんと。聖女さまとは長い付き合いになるでしょうから」


 支配人はふふふと笑った。

 なんとも迂遠な手回しをするなあ。

 いきなり飛空艇で追い回して来たジーン皇国の皇族とは偉い違いだな。

 さすがはハラグロアライド王国。


「隷属の首輪のマスターキーはございます。隷属の首輪の大手メーカーであるウエストン商会に五本だけ存在すると聞きます」

「誰が持ってるとか解るの?」

「さすがに民間企業でございますので、不明です。ですが昨日の大脱走の時に使われた可能性は高いと思いますね」


 メーカーに五本か、本社と、オーナーの貴族家な感じかな。


「変な動きをしているアライド貴族さんは居ますか?」

「アライド王国は諜報が盛んでして、あちこちで怪しい事をする国民性でございますよ」


 海運と諜報の本場だからなあ。

 諜報組織と百貨店を合体させるほど酔狂だし。

 アライドに比べると、すぐ荒事を仕掛けてくるジーン皇国が子供っぽく見えるね。


「あ、ウエストン家って竜馬持ってる?」

「はい、ウエストン侯爵家の竜馬は有名ですね、生産も行っているはずです」

「生産してるのか」

「はい、竜種ゆえ、それほど数は出ないそうなのですが、アライド王家にも献上しています」


 カロルが眉をひそめた。


「怪しいわね」


「アライド王国が動いてる訳ではない?」

「我々が動くなら、ディラハン単騎で送り込む事はありませんね。トール王子とティルダ王女を奪いたいなら少なくとも五部隊、しかも半分は甲蟲騎士団とリンダ師に斬られる覚悟で挑みますな」


 ディラハンの事も掴んでいるのか。


 しかし、ウエストン侯爵家が単体で動いているのか。

 なんでまた。


「目的が読めないなあ」

「はい、こちらでも困惑しております」


 まあとりあえずアライド王国が敵ではなさそうだ。


「解りました、参考になりましたよ」

「それはよろしゅうございました。当代の聖女さまとは良い関係を作りたいと女王様のご要望です。是非アダベルト様とご一緒にアライドにいらっしゃいませ」

「そのうちね」


 しかし、『百貨店デパートメントストア』はプロっぽいな。

 油断ができない感じだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] アライドの女王陛下におかれましてはおすこやかであらせられますように・・・
[一言] 女王ということはエリザベス一世相当の時代かな 偽日本だと信長相当の人が暴れてるだろう時代だ
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