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第923話 ライオン閣下と一緒にランチを食べる

 ライオンは私たちのテーブルに座った。

 大男だから威圧感すげえ。


「これはこれはヨールト公爵閣下、お初にお目にかかります、ヒルダ・マーラーともうします」

「名にし負う毒蜘蛛マーラー伯爵家のご当主か、知り合えて嬉しい。獣人連合国のヨールト・ギハンだよろしくな」


 獣人連合国の公爵さまかよ。

 王族様だな。


「お初にお目にかかります、オルブライト伯爵家の長女、カロリーヌと申します、おみしりおきくださいませ」

「おお、錬金の大家ではないか、これは知り合えて喜ばしい、さすがは聖女の身近には粒ぞろいの若者が揃っているな」


 ライオンは満足げにそう言った。


「キンボール男爵家のマコトです。大神殿にて司祭をやっていますわ。聖女候補でもあります」

「ははは、候補などと大陸の者は風変わりな事をする。光の使者であるならば、生まれた時から光の使者であろうよ」


 光の使者というのは偽アフリカ地方の勇者・聖女の呼び方だね。

 ちなみに、偽アフリカ地方にも魔国はあって、魔王がいる。

 勇者・聖女と魔王はセットになっていて、この惑星を八分割したブロック一つ一つにワンセットいるらしい。


 偽アフリカ大陸である、ザニア大陸の光の使者と、偽欧州の勇者・聖女は結構協力して魔王にあたる事もあったというね。


「ところでヨールト閣下はなぜアップルトンにご来訪でございますか?」

「竜が首都の守護となると聞いて洗礼式を見に来た」

「あら、早耳ですわね、船でいらっしゃいましたか?」


 というか、船ではザニア大陸からアップルトンまで来れないか。

 洗礼式が発表されてから一週間も経ってないだろう。


「もはや一隻となった石の船を使ったのだ」

「おお、飛空艇で」


 飛空艇は各地方で呼び名が変わる。

 ザニア大陸だと石の船といって、文字通り石で出来た船だ。

 芙蓉では木造の鳥船だな。


 ランチプレートが出てきた。

 今日はミニステーキのようだ。

 スープはコンソメだね。


「いただきます」

「「日々の粮を女神に感謝します」」

「女神に身の養いを捧げる」


 四人で食事を始めた。

 あ、お肉美味しい、口の中でほどける感じだな。


 ちなみにライオン公爵の食事の言葉がちがうのは宗派が違うからだな。

 聖心教は偽中東あたりまでが勢力圏で、そこを過ぎると、同じ女神を祀っていても、別の宗教団体だ。


「邪竜アダベルトを折伏したのは聖女だという、どうやったのだ?」

「いや、別に何もしておりませんわ、話したら気があって人間界を見たいと言うので連れてきましたわ」

「ほう、それは面白いな」


 アダベルも竜なのに変な奴だよなあ。


「ヨールト閣下、ザニア大陸の光の使者は確定いたしましたか?」


 ヒルダさんがライオン閣下に声をかけた。


「おうとも、今代の光の使者は男子だな、祖霊の槍をもって冒険の旅にでている。魔の王も生まれたとの事だ、だが、戦争になるかどうかは解っておらんぞ」


 おお、居るのか居ないのか解らない魔王国の魔王とは違うのか。

 一度会ってみたいなあ、光の使者。


「ところで、なんでヨールト閣下は護衛を付けずに一般レストランへ来たのですか?」

「護衛はおるぞ、見えて無いだけだ」


 お、忍者系の護衛か。

 ヒルダさんが視線をやった。

 ライオン閣下はニヤリと笑う。


「一般レストランにおるのは展望レストランではアイスクリンが出ないからだな」

「甘い物がお好きなのですか、意外ですわ」

「私はあまり酒がすきではないのでな、オルブライト嬢」


 意外に庶民的なライオンさんだな。


「アップルトン語がお上手ですね」

「若い頃はこの国に留学していたのでな、君たちの先輩となるな」


 なるほど、王立魔法学園には外国からの留学生もくるからね。


 私たちはランチプレートを食べ終えた。

 念願のアイスクリンが四つ出た。

 みな黙って食べる。


「うむ、芳醇な甘さだ、滑らかな口触りも素晴らしい」

「お国には氷菓はありませんですか?」

「うむ、ザニアでは呪術が基本でな、大陸式の魔法使いはあまりおらぬのだ」


 そうかそうか、火風水土の四大を使う大陸魔法と違って、ザニア大陸では魔力を呪術の方で使うのか。

 呪術は呪いや精神攻撃の方が得意な魔法システムだな。

 直接な攻撃魔法があまりない替わりに魔力属性を問わないという利点があるね。

 ちなみに、中東、東洋でも魔法のシステムは結構違う。

 それぞれ、欠点も利点もあるようだ。


 ヒルダさんがアイスクリンを食べてニコッと笑った。

 ときどき可愛いなこの人。


 ライオン閣下はナプキンで口を拭った。


「今日はとても楽しいランチであった、聖女どのに感謝する。明日の洗礼式の後に、アダベルト殿とお引き合わせ願えれば幸いであるが」

「アダベルは馬鹿で子供で失礼ですよ、それでよろしいのなら」

「古竜が失礼なのは当然の事であろう、奴らは先史から続く最強種の一つであるからな」


 まあ、そうじゃないんだが、説明も面倒くさい。

 アダベルはあれで善良だからライオン閣下と喧嘩にはならないだろう。

 引き合わせても問題は無いかな。


 ライオン閣下も思ったより理知的で大人物っぽい。

 話が通じそうなおっさんは好きだな。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 ライオン丸さん、もといヨールト閣下···流石公爵家だけあって貴族らしい威厳さが有りつつも礼儀正しい方ですなぁ。何処ぞのポッティンジャー家当主に爪の垢をコップ一杯飲ませ…
[一言] >アダベルは馬鹿で子供で失礼ですよ うむ。聖女テイムで馬鹿っぽくなるって話もありましたねぇ。 しかし、古竜が失礼なのは当たり前と言いながら、「馬鹿」は華麗にスルーしているらいおんさん。な…
[良い点] ・・・腹の探り合いにはならず?普通にランチ?で良かった(*´꒳`*) ヒルダさんたちがバチバチやっていたのかもしれないけれど。 文化圏が違うのですねぇ。 [一言] へ〜、アダベルちゃん…
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