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第921話 クヌート先生の青空テイム教室②(クヌート視点)

Side:クヌート


 二時間ほど王都の森をうろうろして子供達のテイムを手伝った。

 カマ吉とゴブ蔵も手伝ってくれたので、一人を除いてみんなテイム出来た。


 だいたい一角ウサギだが、セルジュって名前の村の子供の一人がジャイアントラビットをテイムしてた。

 ジャイアントラビットってえのは、どでかいウサギだ。

 だいたい孤児のちびっ子ぐらいの大きさがある。


「なんでそんなでっかいウサギをテイムしたんだ?」

「い、いやあ、なんか雰囲気で」

「こいつは肉が美味しいんじゃがなあ」

「だめだよ、ミッチーは僕の従魔だっ」


 ミッチーは喜んでセルジュの腰につかまり、ばしばし太ももをキックしていた。


「痛い痛い、おちつけミッチー!」


 ま、まあペットだしな。


 ローゼも赤い鳥の魔物を、爺さんが小さいリスの魔物をちゃっかりテイムしてやがった。


「こいつの視界が使えれば偵察にいいよな」

「最初は無理だがパスが太くなれば視界が使えるようになるぜ」

「ほっほー、それは便利じゃのう」


 ハイノ爺さんは暗兵だから使い道がありそうだな。

 ネズミの方が目立たなくて良いんだが。


 しかし、都会の森なのに探すと意外に小魔物がいるな。

 アダベルさんもカエルの魔物をテイムして頭に乗っけていた。

 両生類もドラゴンの仲間なのかね?

 ゲロゲロ鳴いている。


「なんでカエル?」

「なんか気に入った、名前はトトメスだ」

「ゲロゲロ」


 というか、アダベルさんが一角ウサギをテイムしようとしたら、キュウと言って気絶した。

 ドラゴンは魔力が高いからなあ。

 ワイバーンとかテイムした方が良いんじゃ無いかな。

 カエルは近縁種だから大丈夫だったのかねえ。


 テイム出来なかった子は孤児の一番小さい女の子だった。

 泣きそうな顔で俺を見上げてくる。


「できないの~」

「魔力の練り上げがまだできねえんだなあ、ちっちゃいからな」

「テイムしたいの~」


 ちびっ子はぐしぐしと泣き出した。

 俺は彼女を後ろから抱っこするようにして両手に俺の両手を重ねる。

 ああ、子供の体温は暖かいな。


「こうして、魔力を出すんだ」


 弱めに俺の魔力でちびっ子の魔力を誘導する。


「むずかし」

「ゆっくりゆっくり」

「うん」


 ああ、俺も師匠に同じ姿勢で魔力の練り方を習ったなあ。

 ちびっ子の魔力は弱々しいけど、なんだか綺麗な感じだな。


「あっ」


 ちびっ子の両手の平の間にふわりと魔力が発生した。


「そうそう、そんな感じだ、保って」

「うん」


 なんだか、子供を抱いていると胸の奧がほっこりするな。

 俺も嫁がいたら、これくらいの子供がいてもおかしくねえんだよなあ。

 ああ、もうスラムのゴロツキじゃないから、嫁を取ってもいいのか……。

 そうかそうか。


 ガサリと藪が鳴って、アダベルさんの黒猫がなんか小さい仔猫をくわえてきた。


「ねこさん」

「夜光猫じゃな、夜に光るぞ」

「テイムしてみようか」

「うん、ねこさんねこさん」


 ハイノ爺さんが黒猫から仔猫を受け取って、ちびっ子の前につきだした。

 ちびっ子は両手で仔猫の頭を包むようにした。


「ねこさん、お友達になろーよ」


 お、パスが通った。


「わっ、なまえはにゃーりんだって」

「やったなあ、これはお前さんの従魔だ」

「にゃあにゃあ」

「わああっ、にゃーりんにゃーりんっ!!」


 ちびっ子は俺の膝から立ち上がってにゃーりんを掲げ持ってくるくると回った。


「ありがとう、おっちゃんっ」

「よかったな、ちびっこ」

「うんっ!」


 喜ぶちびっ子の顔を見て、なんだか俺の頬も緩んだ。


「わあ、猫さんいいなあっ」

「にゃーりんかわいいっ」

「夜光猫ってどこが光るんだ?」

「目がビカーッと光るぞい、ランタン代わりにもなる」


 さて、全員が従魔をテイムしたから、王都に戻って冒険者ギルドに登録にいこうか。


「テイムおもしろいなあ」

「たのしいね、お兄ちゃん」

「もっと従魔が欲しいなあ」

「最初は一匹にしとけ、何匹にも魔力を分けると疲れるぞ」

「あ、魔力がいるのかー」


 俺たちは王都に向けて森の中を歩いた。


「子供はいいのう」

「そうだな、心が明るくなるな」

「あまり子供と接しとらんかったから新鮮じゃ」

「そうだな、爺さん」


 王都の南門でサイラスさんが手続きをした。

 彼のテイムした丸まりネズミが兜の上に乗っていて、門番が変な顔をしていた。


 ゴブ蔵とカマ吉がいるので通行人が俺たちをじろじろと見た。


「お、ちびっ子ども、きたなー、薬草か?」


 なんだかガラの悪そうなハゲマッチョが絡んできた。

 ハイノ爺さんが見えないように打ち針を手に出した。

 ローゼが剣の柄に手をやる。


「あ、ギルマス、従魔の登録にきたよ」


 え、ギルドマスターなのか?


「お……、おおっ? キラーマンティス?」

「そっちのカマ吉とゴブ蔵は聖女さんの従魔だよ」

「隷属の首輪が無いぞ?」

「古式テイムらしい、魔物園の大脱走でやむなくテイムしたってさ」

「そりゃあ、すごいな、ええと、古式の場合はどうすんだっけ?」


 ハゲマッチョは受付嬢にギルドの法典を出してもらって見ていた。


「登録と鑑札か。鑑札の在庫はあるか?」

「ええと、どこかで見ましたね」


 受付嬢がどっかから鑑札の入った箱を出して来た。


「しかし、いろいろいるなあ、古式って簡単なのか?」

「小魔物ならわりと簡単だぜ、でかいのになると大変だけどな」

「ああ、そうか」


 魔物の格が上がれば上がるほどテイムは難しくなる。

 ワイバーンとかだと相当時間が掛かる。

 人の従魔を一瞬で乗っ取る聖女さんの特級テイムがおかしいんだよなあ。


 登録を済ませて、従魔の首に鑑札を付けて、登録完了だ。

 サイラスさんがお金を払っていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 絶対普通のカエル魔物じゃない……
[一言] カエルなトトメス(ナイルではない)
[良い点] トトメス・・・水中探索とか有利? [一言] キラー【万】ティス→マン? ギルマス・・・危うく◯されるところだった。 クロの中の人も、お手伝い。
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