第919話 大神殿でクヌートと会話する
アダベルと一緒に馬車で大神殿へ戻る。
式典の準備は教会の人達に任せておけば大丈夫だろう。
教会はセレモニーのプロだしね。
アダベルと一緒に孤児院に戻った。
「マコトは昼飯を一緒に食べてくか?」
「カロルと一緒に百貨店に行くのよ」
「おおっ、いいなっ、アイスクリンかっ」
アダベル、よだれよだれ。
「マコ姉ちゃんおかえりーっ」
「おかえりおかえり、アダちゃんもおかえりっ」
「ただいまー」
孤児院の庭に似つかわしくない奴がいた。
クヌートが一角ウサギを撫でている。
「なにしてんの、クヌート」
「孤児どもが一角ウサギの飼い方をおしえろってさあ」
「それはありがと」
まあ魔物使いは魔物のお世話ならお手の物だからなあ。
「おいちゃん、私も自分の一角ウサギほしー」
「テイムって難しい?」
「そうだなあ、そんなでも無いがちょっと行って試して見るか?」
「「わわーい、わわーいっ!!」」
年少の子供達が大喜びだ。
魔物園の魔物だったから、一角ウサギもいっちょ前に小さな隷属の首輪をしている。
隷属の首輪は金具に血を一滴垂らすと従魔契約になるんだけれども、孤児院の年長の三人が主人となったので、年少の子供たちが不満だったのであるよ。
「隷属の首輪は高いでしょ、クヌート持ってるの?」
「そんなもんはない、孤児どもに古式テイムをチャレンジさせて、上手く行けばめっけものだな」
「できるのー?」
「俺も師匠に影猫をテイムさせられたのはこいつらぐらいの歳だったぜ」
才能があればテイムできるかも、かあ。
「よし、私もやる」
「アダベルさんもか? トカゲ系だったら無条件でテイムできるんじゃね?」
「爬虫類は冷たいから嫌いだ、ふわふわ系がいい」
「古竜はなあ、存在の格がなあ」
「子供を連れて王都の外に出るなら、誰か付けてよ」
「ちょっと仲間に聞いてみるぜ、ローゼとか暇してるかもしれねえ」
「私もご一緒しましょう」
ゴブ蔵が前に出た。
「ああ、ゴブ蔵とカマ吉も連れてくか」
「かしこまりました」
頭を下げるゴブ蔵を見てクヌートは苦い顔をした。
「なんか、私がテイムすると魔物の知性が上がっちゃうんだけど、なんで?」
「いや、知性だけじゃねえ、軒並み能力があがってやがる」
「そうなの? なんでよ」
「たぶん、聖女さんのテイムは最上級テイムだろう。俺の犬とフクロウも能力あがってるからな」
「そうだったの」
おお、聖女テイムすごいな。
「あと、あんたの性格にあてられるのか、明るくて人なつっこくなるぜ」
「え、ペスとか元からああじゃないの?」
「ちげーよ、前はもっと無愛想で、魔物っ、て感じだったぜ。あんたにテイムされてからあんなに馬鹿っぽくなった」
「そりゃあ、すまんね」
「まあ、明るくなるのは良いんじゃねえか。早くあいつらを返してくれよ」
「調書が終わったらね」
うーん、黄金週間が終わったら影ワンコとポーポーちゃんともお別れか。
ヒルダさんが寂しがりそうだなあ。
「あんたらは調書が終わったらどうするの?」
「オルブライト様次第だが、みんなでガドラガ大玄洞に潜りに行こうかとか言ってるぜ」
「おや、私も一月後ぐらいにガドラガ行きだから先に行って色々調べておいてよ」
「ああ、あんたもか、オルブライト様は?」
「カロルも行く予定だよ」
「じゃあ手伝うよ、大事な雇い主だしな」
五本指はガドラガ大玄洞に行くのか。
冒険者活動がしたいと言ってたから良いかもね。
青魔法使いのミリヤムさんは色々と魔物技をラーニングすべきだし。
剣士のブルーノとローゼが前衛で、ハイノ爺さんが斥候、クヌートとミリヤムさんが後衛か。
回復役が一人欲しいけど結構良いバランスだよね。
五本指は、カロルの部下だから、ポーション類を持たせれば良いのか。
「よし、午後はみんなで王都の森に行って一角ウサギをテイムしようぜ」
「「「わわわーいっ」」」
「俺らも行って良いですか」
「俺もテイムしてえ」
「俺も俺も」
「おう、村の子供もこいこい、王子さんと王女さんは?」
「一角ウサギほしーっ」
「冒険だーっ!」
トール王子とティルダ王女も喜びの舞を踊った。
サイラスさんが近づいてきた。
「クヌート、一角ウサギといえど、古式テイムだと冒険者ギルドで登録しなければならないぞ」
「あれ、従魔に登録必要なの?」
私はカマ吉とゴブ蔵を見た。
「そうですな、よし、私も付いて行って、帰りに子供達がテイムした一角ウサギとカマ吉とゴブ蔵を冒険者ギルドで登録してまいりますぞ」
「お願いできるかな、サイラスさん」
「よろこんでっ」
「登録料は後で言ってね、出すから」
「かしこまりましたっ」
そうか、古式テイムだと従魔に首輪が付かないから登録して鑑札を下げないといけないのね。
アダベルと孤児達に別れを告げて、私は大神殿を後にした。
しかし、王都の森で古式テイム祭かあ、楽しそうだが私は国際陰謀に斬り込まねばならない。
そのついでに、カロルとケンリントン百貨店に行ってランチのあとアイスクリンを食べねばならないのだ。
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