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第910話 ゴブ蔵は教皇様と深い問答をする

 孤児院は勇者様聖女さまの建ち並ぶ回廊を抜けて女神像の右に曲がった方にある。

 ちなみに右に曲がると教皇様のお部屋とか、聖騎士団の宿舎がある。


 女神様の像の前でみんなで手を合わせる。

 カマ吉とゴブ蔵も手を合わせて拝んでいた。


――女神様、なんだか従魔が増えました、なんとかしてください。


 と祈ってみても答えは無いなあ。


「やあ、聖女マコト、新しい従魔かね、これは大きいねえ、あと小さいね」

「カマ吉とゴブ蔵です。さあ、教皇様にご挨拶して」


 カマ吉は頭を下げた。


「これはこれは教皇さま、ゴブ蔵でございます」

「これは、流暢に喋るゴブリンだね」

「テイムしたら何だか知性が上がってしまいました」

「古式のテイムだと、名付けてパスがつながると魔物の格が上がるともいうね、そういう作用なんだろう。よろしくね、カマ吉くん、ゴブ蔵くん」

「もったいないお言葉です。私どものような魔神に作られた汚れた存在が聖なる大神殿に足を踏み入れても良い物なのでしょうか?」


 伝説では古代人が魔導技術を発達させて禁呪である異世界とのゲートを開き、魔界から魔神が現れて各種魔物がこちらの世界に現れた、とある。

 魔物の中でもそういう認識なのだろうか。


「そうだねえ、私は魔物も半魔も聖心教に入信しても良いと思うんだ。女神さまがお作りになった、人間や動物では無いけれども、魔物とも交流は出来るのだから、お互い仲良く出来るなら争う必要は無いと思うね」


 まあ、勇者が魔王と結婚したという伝説もあるからね。

 わりと、魔物との交流は昔からあるようだ。


 ちなみに、勇者と魔王の結婚は、両方が死んだ後、すぐさま人間と魔物の大戦争になって平和は一代で壊れた。

 仲良くも出来るが、いさかう事もあるわけだ。


 聖心教の教義では、魔物と人間は相容れないという学説もあるし、女神の元、人も魔物も静かに融合して最終的にはユートピアが訪れるという学説もある。

 聖典の解釈の違いで、戦闘的な教皇さまの時は魔界に攻め込んだり、逆に魔王と不可侵条約を結んだ温厚な教皇様もいる。


 結局、前世でも、こっちの世界でも、指導者の思惑しだい、が結論だね。


「それでは私は聖女マコトの従魔として居てよろしいのですね」

「これも何かの法縁でしょう、聖女マコトに尽くし支えてあげてください」

「ありがとうございます」


 ゴブ蔵は合掌しながら深く頭を下げた。

 テラ子安声でかっちょ良いのだが、姿が半裸で腰蓑である。

 孤児院で服を見て貰おうか。


 カマ吉も理解してるのか、合掌しながら頭を下げた。

 もしかして一角ウサギとかも私がテイムするとお利口になるのか?

 貰ってきた一角ウサギに、と、思ったのだが、隷属の首輪を外すのが面倒なのでやめた。

 薬草取りのついでにテイムしてみるかな。


 ペスたちとかポーポーちゃんとかもテイムによって知能が上がってるのかね。

 クヌートにあとで聞いてみるか。


「教皇さま、カマ吉とゴブ蔵を孤児院に置いて良いですか? 護衛にもなりますし」

「わあいっ、カマ吉、ゴブ蔵っ!!」


 孤児達が先回りして喜んだ。

 教皇様は苦笑した。


「そうですね、カマ吉さんも、ゴブ蔵さんも良い魔物みたいですから、良いでしょう」

「「「うわわーい、うわわーい」」」


 孤児たちのテンションが上がり、カマ吉とゴブ蔵の周りで踊り回った。

 従魔たちもまんざらでは無いようだ。


 ジョンとポチも影から出てきて、カマ吉とゴブ蔵をふんふんと嗅いだ。

 今日はペスがミリヤムさん付きか。


「そういえば、ゴブ蔵はガドラガ産の魔物なの?」

「そうだね、俺はガドラガで八回蘇っているよ」

「は?」

「ダンジョン産の魔物は事実上不死なんだよ、迷宮内で死んだら二十年後とかに復活するんだ」

「そうなんだ、へー」

「なのでガドラガの浅い階は俺の庭だよ」

「今度、ガドラガに行くから案内してくれるかな」

「我がマスターの思いのままに」


 おお、ガドラガの案内ゴブリンが出来た。

 これは便利かもしれないな。


 さて、カマ吉とゴブ蔵の一時落ち着き先が出来たので学園に帰るか。

 ジョンとペスをモフモフしてから、カロルと一緒に大神殿を後にした。


「カマ吉の支払い、コリンナに突っ込まれそうね」

「うっ」


 定価で買ったからなあ。

 なんで半額まで値切らないっ! と怒られそうだ。

 まあ、しょうがない。


 本当はカマ吉は廃教会あたりに放し飼いにして、必要な時に呼び出して短距離移動に使いたいのだが。

 でもなあ、悪い学生に虐められたりするのは可哀想だし、逆に返り討ちにしても困るしなあ。

 最終的にカマ吉はホルボス山麓で放し飼いかな。

 甲蟲騎士さんたちもいるし。


 テイムは楽しいけど、気軽に出来ないなあ。

 サイズとか手間とかね。


 校門の前まで来たら、命令さんが居て傍らにでっかい黒豹を従えていた。


「あら、キンボールさん、ごきげんよう」

「こんにちは、ケリーさん、従魔買ったの?」

「そうですわっ、お父様が次のガドラガ行きにって買ってくださったの、四百万ドランクよ、おほほほほっ」


 これ、魔物園に居たキラーパンサーだな。

 買い手は命令さんだったのか。


 黒豹はこちらを見てガルルと唸った。

 わあ、綺麗な毛並みだなあ。

 カロルが黙ってジャリジャリとチェーン君を立ち上がらせた。


「な、なにしますのっ! うちのロデムちゃんにっ!」


 ロデムちゃんなのかあ、バビル二世か、命令さんは転生者じゃないから偶然よね。


「じゃまなので」


 カロルはチェーン君をあやつり、ロデムくんを持ち上げて脇にどかせた。

 ロデム君は尻尾を丸めて命令さんの影に隠れた。

 意外に弱虫なのかと思ったが、チェーン君はなんか強そうだしな。

 気持ちは解るぞ、ロデム君。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 重要設定が〜〜!
[一言] リスポンされても記憶と経験は継続されるのか…ダンジョン深い。 ゴブ蔵お前エルダーゴブリンとかゴブリンメンターとじゃそういうクラスだったのでは…
[一言] 何故にテラこやす?w そしてコブ蔵、お前は、 本当にゴブリンか?
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