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第909話 カマ吉とゴブ蔵を大神殿につれていく

「次は何?」

「火炎ザルを出してくれ」


 私は冒険者さんの言うとおりに影空間から火炎ザルを檻の中に出現させる。


「わっ、くそ、ウンコすんなっ!」

「あちちっ」

「うっきーっ!!」


 火炎ザルは暴れるけど冒険者三人に取り押さえられて隷属の首輪を付けられた。

 首輪を付けられた火炎ザルは大人しくなって、隣の檻へ自分で入っていく。


 ポーポーちゃんからの感覚で影空間に居るのはあと二匹だな。

 他の魔物は首輪を付け直して大人しくなった。


「キラーパンサーがいないね、逃げてるのかな」

「いや、大脱走の前に売れたんだ。どうだい、聖女さん、もっと魔物を買わないか?」

「んー、あんまり欲しい魔物はいないなあ」


 偵察用の小型の鳥とか、ネズミとかが欲しいのだけれども、どっちも魔物園には居なかった。


「助けると思って買ってくれよ、魔物園が閉鎖になると資金繰りがなあ、どうだい、地竜とか、自慢になるぞ」


 よせやい、あんなでっかいドラゴン。

 地竜はすっかり大人しくなって、檻のなかで座っていた。

 クロが中に入って、パシパシ猫パンチをしても反応がない。


「ちなみに幾らぐらいですか?」

「オルブライト様でもよろしいですよ、錬金薬の素材にぴったりですよ。お値段は一億ドランクです」

「地竜の血はエリクサーにはならないんですよねえ。一億はちょっと」


 さすがはドラゴンの仲間、高いなあ。


「あいつ一億もすんの、私が捕まえたから礼金くれっ、金貨で」

「そ、それは、ははは、ご冗談をアダベルトさま」

「アダベル、無茶いわないのよ」


 火トカゲと冷凍鳥を檻に出して、ポーポーちゃんの影空間は空になった。


「はい、終わり」

「ありがとう、助かったよ聖女さん。一角ウサギとかいるか」

「いらん、というか、行方不明の魔獣はいないの」

「わたし貰うっ、孤児院で育てるっ」


 そう言って、アダベルは一角ウサギを三匹抱え込んだ。

 アダベルは遠慮とか知らないなあ。


 オーブリーのおっさんはナンパ冒険者を呼んでリストをチェックしていた。


「蜘蛛ザルがいませんなあ」

「逃げちゃったかな、王都に魔物が入ると危ないね」

「蜘蛛ザルは臆病で大人しいから人的被害は無いでしょう」


 王都に魔物がいるのが不味いんだってばさ。

 蜘蛛ザルかあ。


「こちらでも捜索します、聖女さまご協力に感謝いたします」

「リューグ隊長も、深夜から仕事しっぱなしでしょ、大丈夫?」

「ディラハンの包囲を交代してもらって、寝ようかなと思ったら呼ばれましたよ、これから寝ます」


 私はリューグ隊長の手を取ってヒールを掛けた。


「わ、ありがとうございます。疲れがふっとびましたよ」

「無理しちゃだめよ、ゆっくり寝てね」

「はっ!」


 リューグ隊長は敬礼してくれた。

 こういう真面目な警官みたいな騎士さんは貴重よね。

 ロイドちゃんに教えておかないと。


「さて、アダベル、大神殿に帰るよ~」

「よし、乗ってくか」

「カゴ無いのにやだ」

「カロルが鎖で鞍を作ってくれるぞ」


 お尻が痛そうだ。


「そうだ、カマ吉に乗って行こう」

「おお、それは良いな」

「それじゃ私はチェーン馬にしてゴブ蔵さんを乗せて行くわ」

「光栄だね、カロリーヌさま」

「しばらく孤児院にカマ吉とゴブ蔵を置いておこう」

「信仰の中心地に俺のような魔物を置いて大丈夫なのかい?」

「大丈夫大丈夫、邪竜も半魔も居るから」

「意外に心が広いのだな」


 カマ吉はすっとかがんだ。

 ちゃんと背中にすべすべな所があって乗れそうだな。

 アダベルと二人で乗るとキツキツだけど、なんとかなりそう。


 カロルはチェーン君を馬モードにして跨がった。

 後ろにゴブ蔵が恐る恐る乗った。

 クロがポーンと跳ねて私の肩に乗った。

 なんでやと思ったらアダベルが一角ウサギを抱いていて場所が無かったのね。


「よし行けっ、カマ吉! 目標は大神殿だ」


 カマ吉はうなずいてぱったぱったと駆けだした。

 わりと揺れるが意外と速い。

 二百万ドランクの乗り心地である。


「空飛べる?」


 カマ吉はコクコクとうなずくと羽を広げてブーンと飛んだ。

 そして着地、たったと走ってブーンと飛ぶ。

 飛行というよりジャンプだな。


 街を行く人々がカマ吉を見て驚いている。

 カロルがチェーン馬で後から付いてくる。


 意外に早く大神殿前についた。


「聖女さん、そいつぁ?」

「で、でっかいっすね」


 寺男のアンドレとルイゾンが呆れたような声を出した。


「新しい従魔だよ」

「うむ、ご苦労っ」

「ああ、アダベルさんもか」


 やっぱりカマ吉は衝撃的のようだ。

 私はカマ吉を引いて大階段を上がった。


「うおー、うおー、うおー」


 孤児たちがカマ吉を見つけて寄ってきた。


「す、すごい、怖い、大丈夫? マコねえちゃん」

「平気よ、新しい従魔よ」

「カマキリ、格好いいっ」


 カマ吉は子供達にたかられて困っていた。


「一角ウサギも貰ってきたぞー、みんなで育てよう」

「うわあっ、可愛いっ!」


 トール王子とティルダ王女がカロルと一緒に居たゴブ蔵を見つけた。


「ゴ、ゴブリンだ、だ、大丈夫?」

「こんにちは、大丈夫ですよ」

「しゃ、喋ったーっ!」

「緑の人だっ! 鼻がでっかいぞっ!」


 村の三馬鹿が大声を上げたので、リンダさんがダダダと駆けよってきたが、みなが和やかにやってるので速度を落とした。


「従魔ですか、マコトさま」

「そう、攻撃しないであげてね」

「かしこまりました」


 みなで一緒に孤児院まで歩いた。

 恐れを知らない子供達は平気でカマ吉の背中にのって遊んでいた。


「お、キラーマンティスじゃないですか、凄いな」

「立派な個体だなあ」


 リーディア団長と甲虫騎士さんたちも現れてカマ吉を褒めてくれた。


「聖女さまがテイムなさったんですか?」

「そう、行きがかり上ね。キラーマンティスって何食べるの?」

「肉食ですよ、良かったらお世話しますか?」

「それは助かるよ、リーディア団長」

「いえいえ、聖女さまには、いつもお世話になっていますから」


 カマ吉のお世話係、ゲットだぜ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] こんばんは。 以前からブックマークには入れていましたが、時間が出来たので読み進めて漸く最新話に追い付きました。 別の作者様の作品でも金玉をシュートする聖女様が主人公の物語が有って、そちら…
[良い点] 甲虫騎士達と親和性が高そうなカマ吉。 5本指達と親和性が高そうなゴブ蔵。 成り行きでテイムだったけど、ストレス少ない環境になりそうで良かった。
[一言] 今マコトの中ではポケモンナイズがブームなのかなwゲットだぜ~っw
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