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第908話 魔物園大脱走の後始末

「おとーさん、死んじゃやだっ!!」

「あなたっ、あなたーっ!!」

「君たちと会えて、良い人生だった……」


 そう簡単には死なせないぞ、ヤングパパ。


『ハイヒール!』


 ドラゴンに踏まれたのか瀕死のヤングパパの傷がみるみるうちに治った。


「おとーしゃーんっ!!」

「ああっ、あなたっ、奇跡だわっ」

「ああ、治った、ありがとうございます」


 はい、マコトです。

 いま魔物の大脱走があった魔物園に戻り絶賛聖女活動です。

 瀕死の重傷が何人か居ただけで、死者はいないっぽい。

 不幸中の幸いだな。


 カマ吉が興味深そうに私の治療を見ていた。


「カマ吉くん、しゃがんで」


 カロルに言われてカマ吉は素直に頭を下げた。

 カマ吉の首に光るリボンをカロルは巻いた。

 新入生歓迎ダンスパーティで作った奴か。


「光らせておけば、マコトがテイムした魔物って解るでしょ。ゴブ蔵くんも」

「かたじけない、カロル嬢」

「流暢に喋るわね」


 カロルはゴブ蔵の首にも光るリボンを巻いた。

 うん、隷属の首輪をしてないから、替わりに光るリボンはナイスアイデアだ。

 カマ吉もゴブ蔵も蝶ネクタイがピカピカ光ってお洒落な感じだな。


「他に怪我人はいませんかー、治療しまーす」

「軽傷でも大丈夫かね」

「ええ、良いですよ」


 私は、切り傷を押さえているおじさんにヒールを掛けた。


 警備騎士団が出張ってきてオーブリーに事情聴取しているな。


「お前はでっかいなあっ」


 人化したアダベルがカマ吉の胴をパンパンと叩いた。


「お前はちっこい」

「偉大なる古竜さまのご尊顔を拝したてまつり恐縮至極でございます」

「おおっ! なんか難しい事いうなお前っ!」


 アダベルがゴブ蔵の頭脳に感心したようだ。


「丁度良かったわ、アダベルありがとう」

「うん、孤児院で遊んでたら、なんだか呼ばれた気がしたんで来た」


 ドラゴンの勘かな。

 しかし、助かった。

 地竜なんかでかいのは置く場所がないからなあ。

 というか、カマ吉とゴブ蔵はどうしようか。

 テイムしちゃうと返品するのは可哀想だな。

 とくにゴブ蔵はろくな目にあいそうも無いし。


「あ、聖女さま、ご苦労様です」

「リューグ隊長、お疲れ様です」


 隊長がこっちに来た。


「大脱走の原因は何ですか?」

「勝手に隷属の首輪が外れた、檻の鍵も外れて逃げ出したって言ってますけどね」

「魔物に聞いて見ましょう、ゴブ蔵、どうだったの?」

「人間の男が首輪を壊して回っていたぞ」

「おっ、喋れるのですか、このゴブリン」

「緊急避難的にテイムしたんですよ」


 そりゃあ助かるとリューグ隊長は大喜びだな。


「どんな人間?」

「男、だったな、人相は解らん、俺は人間の顔の見分けはつかないからね」

「隷属の首輪を外して回っていたのか……」

「そんなに簡単に外せる物なの?」


 オーブリーが寄ってきた。


「そんなわけは無いわいっ、隷属の首輪は一つずつ違う鍵が付いておるんじゃ」

「簡単には外せないのか」

「そうだ、無理に取るとショック魔法が走り、従魔は死ぬ」


 おっかねえ首輪だなあ。


「あ、おじさん、このカマ吉とゴブ蔵をテイムしたんだけど、幾らかな?」

「え? 隷属の首輪は付いてないだろう」

「どうも聖女の方の能力でテイム出来るみたい」


 カマ吉がこくこくとうなずいた。


「それは凄いな! 古式の魔物使いモンスターテーマーの能力か」

「そうだね、隷属の首輪は使わないよ」

「古式だと、能力も上がるようだな。ふーむ。ゴブリンは二万ドランク、マンティスは、二百万ドランクだな」


 うわ、カマ吉高いな。

 やっぱりガドラガの深い所に居る奴だからか。

 でも、レッドベアの方が高いんだな。

 昆虫系だからかな。


「ダルシー」

「はい、マコトさま」


 ダルシーがオーブリーにお金を払った。


「事態の沈静化に尽力してくれた聖女さまに定価で売るのか貴様は」

「しょ、商売は商売だよ」


 と言いつつオーブリーは五十万ドランクをダルシーに返した。

 お礼のようだ。


「とにかく魔物園は閉鎖だ、王府の決定を待て」

「そ、そんな、旦那、殺生なっ」

「ここまでの騒ぎを引き起こして何を言っているかっ、魔物園とは言っているが不法に魔物売買もやっているな、それも問題になるぞ」

「ま、魔物屋は王都では鑑札を貰えないが、魔物園なら良いんだ、法律的には問題が無い」

「問題が起こってなければな、だが、問題が起これば王府は規制するぞ」

「そ、そんなあ、俺は破産しちゃいますよ」

「ガドラガに帰れ馬鹿者」


 アダベルが触れあいコーナーに行って一角ウサギをごぼう抜きにして可愛がっていた。

 おや……。

 小物魔物の隷属の首輪は取られてないな。


「オーブリーさん、隷属の首輪はマスターキーみたいな物は無いの?」

「さあなあ、聞いた事ないぞ、製造メーカーにはあるかもしれねえけど」

「製造してるのはどこよ」

「アライド王国のメーカーだ、業界のシェアを八割方取ってるトライデント商会だな」


 隷属の首輪は、アライド王国産なのか。

 ディラハンもアライド王国の魔物……。

 ふうむ。

 アライド王国の諜報機関の伝手とか無い物かなあ。

 ヒルダさんに聞いてみるか。

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― 新着の感想 ―
[良い点] カマ吉とゴブ蔵の身請けするマコトちゃん。 [一言] ごはんどうするのかね?特にカマ吉。 トライデント商会に行ってみる? ポーポーちゃんの闇空間の子達も返さないと。
[一言] ふむ、オーブリー氏は白、か? あいやこの件はであって商売的には黒よりのグレーな訳だがw しかしま、やっぱり人為的なものだったか マコトがいたからこれ幸いと狙ったのか、関係なくやったところにマ…
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