第907話 カマキリ、ゴブリン、フクロウ、ドラゴン
悲鳴が聞こえたので見てみるとポーラちゃんがしょぼくれゴブリンに襲われていた。
ガリッ!
私が張った障壁をひっかいてゴブリンは何いっ! という顔をした。
すかさずダッシュをして後ろを取る。
「お前は今日からゴブ蔵だっ!」
後ろ頭をひっぱたいて魔力線を繋ぎ名付けをした。
ゴブリンは一瞬光り、すっくと姿勢を良くしてこちらを振り返る。
「あなたが私のマスターか」
「お、おう。さっきとしゃべり方がちがうじゃん」
「テイムされて俺のINTが上がったようだな、頭の中がすっきりした」
そう言うとゴブ蔵は深々とお辞儀をした。
なんでこいつはイケボ……、テラ子安声で喋るのか。
腰蓑ゴブリンのくせに。
「ゴブ蔵、付いてこい、魔獣達を止めるよ」
「了解した、マスター」
ああでも、喋れる従魔は助かるな。
意思疎通は大事だな。
「あ、ありがとうございます、聖女さんっ」
「どこかに隠れていなさい」
「は、はいっ」
「すまなかったな、嬢ちゃん」
「あ、その、が、がんばって」
「おうっ」
ゴブ蔵はキラリと歯を見せて、爽やかに笑った。
なんだよ、ゴブ蔵のくせに、いちいちイケメンムーブだな。
魔物園の壁を乗り越えて魔物がわらわら路上にあふれ出ていた。
冒険者はなんとか戦っているが、庶民達は逃げまどっている。
赤々と燃え上がる猿が塀を乗り越えてきた。
キシャーッ!!
こちらを見て威嚇し、お尻の方に手を当てる。
「いかんマスター、火炎ザルだ、燃えるウンコを投げてくるぞっ」
「あいつはお尻を火傷しないの」
「火属性だからな」
くっ、障壁でウンコを避けるか。
だが、ウンコ火炎ザルはテイムしたくないなあ。
ウキャーッ!!
「ポーポーちゃん、影に落とせっ!!」
「ぽっぽー」
影からポーポーちゃんが出てきて、私の肩に乗った。
どぷんっ。
火炎ザルは影の空間にボッシュートされて行った。
最初からこうしておけば良かった。
カマ吉も、ゴブ蔵もテイムしなくて良かったな。
「カロル、カマ吉、影の濃い所に魔物を放り込んで!」
「わかったわ」
カマ吉はうなずいて羽を展開して飛んだ。
その下をチェーン君が走る。
ぽいぽいぽい、という感じにカマ吉とチェーン君が魔物を影空間に放り込んでいく。
「なんとかなりそうね」
「さすがはポーポーちゃんがチートだわ」
命令一つで影空間に落とせるのがラクチンである。
あと、カマ吉も素早い。
ゴブ蔵はあまり役に立たないな。
とりあえず、外に出てきた魔物は全部影空間に収納した。
被害は冒険者が怪我をしたぐらいか。
カロルがポーションを上げていた。
魔物園の中にはいるか、と思ったら、ハゲのオーブリーが悲鳴をあげて入り口から出てきた。
「た、助けてくれっ、ド、ドラゴンが、ドラゴンがっ!」
「逃げ出したの? ドラゴンなんか居なかったじゃないっ」
「ああ、聖女さま、お助け下さい、週末公開予定のアースドラゴンがっ」
ズシンズシンと足音を響かせて地竜が、ゆっくりゆっくり歩いて来た。
「マコト! 影空間に入る?」
「ちょ、ちょっと無理……」
ドラゴンかあ、カマ吉でも厳しいな。
GWAAAAAAAAA!!!
地竜はこちらに向けて咆吼を放った。
大きさはアダベルの半分ぐらいか。
相当にでかい。
HYUOOOOOO!!
地竜が息を吸い込んだ。
やべえっ、アースブレス攻撃だ!!
障壁、五枚重ねっ!!
猛烈な土石流のブレスで障壁が割れていく。
割れたそばから張り直す。
くそ、持たないぞっ。
「拘束せよっ!!」
カロルが叫ぶとチェーン君がほどけて地竜に絡みつき、木や柱をアンカーにして拘束していく。
地竜は嫌がってドタバタと暴れ、檻が崩れ砕け散る。
「今よっ!! マコト!!」
「えー……」
こんなデカ物をテイムしたく無いんですけどー。
置き場が無いんですけどーっ。
カマ吉が私の前にでて、背に乗れと言う感じにかがんだ。
しょうがないなー。
私はカマ吉の背に跨がった。
カマ吉は羽ばたいて地竜の頭を目指す。
うわ、でっかい口を開けて食べる気まんまんだっ。
カマ吉は器用に地竜の口を避けた。
あぶないあぶない。
「くっ、持たない、マコト、早くしてっ!」
カロルが苦悶の表情を浮かべてそう言った。
ドーン!!
高空から真っ逆さまに真っ青なドラゴンが落ちてきて、地竜を踏み潰した。
『またせたなっ、マコト』
「アダベル!」
「アダベル!」
『この王都は我の縄張りぞ、下賎な地竜ごときが大きな顔をするでないわっ!」
アダベルは地竜をキックして転がした。
チェーン君は外れた。
「アダベル! 冷凍ブレスだ!!」
『ヨシ!』
アダベルが真っ白なブレスを吐き出すと、ピキピキと地竜は氷に包まれて動きを止めた。
地竜は、がっくりと力を失い地面に倒れ伏す。
『勝った! 我は強い!!』
良かった良かったデカ物をテイムしなくてすんだ。
たぶん人化もできないだろうしな。
うんうん。
「おっさん、早く地竜に隷属の首輪をはめろよ」
「あ、は、はいっ!!」
私はアダベルに見惚れていたオーブリーのオヤジに声をかけた。
オヤジは事務所に飛びこんで、飼育係らしい奴らと三人がかりで地竜に隷属の首輪をはめた。
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