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第897話 学園に戻って集会室で語り合う

 マダム・エドワルダとダガンさんを地獄谷に残して、我々は蒼穹の覇者号で学園へと戻る。


「そういえば、あの二人、偽名をとか付けた方が良くないかしら」

「あ、そういやそうね」

「確かに、マダム・エドワルダは有名だし、変えた方がいいな、マコト」


 そりゃそうだな。


「よし、これからはマリーさんとダンさんと名乗ってもらおう」

「マコトのネーミングセンスってさあ」

「素朴よね」


 うるさいわねっ。


「あの野趣あふれる共同浴場は、ちょっと生かしたいね」

「ジェラルドとの集落計画は進んでるの?」

「まだ、道が整備されてないから資材が運べないので計画段階だよ。麓からの道と、はちまき道路ができあがったら、ダガン……、ダンさんと相談して計画を詰めるつもり」


 うむ、コリンナちゃんは頼りになるな。


「とりあえず、集落を人が心地よく住める場所にするのが第一段階だね、上下水道は形になりそうだし、あとは建屋を人数分、あと、食堂のある位置に集会と売店をかねた施設を作ろうと思ってるよ」


 今は食堂が集会所みたいになってるからね。

 ちなみに、エドワルダさんとダガンさんは食堂の二階の部屋に住んで貰うことにした。


 住民の住む所が、掘っ立て小屋から、簡素でもちゃんとした家になれば、もうちょっと村っぽくなることだろう。


「どうも、地獄谷の方にはディラハンは現れて無いようですね」


 後ろのベンチに座ったリンダさんがつぶやいた。


「そういやそうね、ホルボス村、トール王子とティルダ王女狙いなのかなあ」

「どーも、敵の目的が読めませんね。魔獣一匹で甲蟲騎士団を倒す事は無理とはわかりそうな物なのに、増援もありません」

「たしかに、だけど、甲蟲騎士団相手だと、魔獣も一連隊必要じゃ無い?」

「ええ、騎士団ですから、軍団規模の兵力が無いと抜けません、しかも手間取ると王都から応援が飛んで来ます。大規模攻勢があれば、敵の正体もはっきりするのですが」


 国家のバックアップがされてないのかな?

 五本指との連携がなかったから、ジーン皇国では無さそうなんだけどな。

 魔獣種から見ると、偽イギリスのアライド王国なんだが……。


「王都に、来るかも」

「勘ですか、マコトさま」

「なんとなく」


 狙いはなんなんだろうねえ。

 王都に来そうな感じがあるのだが、都内だと魔獣を動かすのは難しいぞ。

 相手にする騎士団は、聖騎士団だけじゃなく、王都内なら警備騎士団も出てくるし。


 とりあえずまあ、出方待ちだね。


「マコトさまの勘は当たりますからね」


 しかし、なんだろうね、私のこの良く当たる直感は。

 聖女由来の何かなのかもしれない。

 だんだん進化していって未来予知とか出来るようになるのかもね。


 飛空艇をビアンカ邸基地の中に格納した。

 みんなで階段を上がり、地上へと戻る。


「リンダさん、ありがとうね、助かったよ」

「いえいえ、近衛の横やりが入らなくてなによりでした」


 うむ、ハゲにばれていたら五月蠅い所であった。

 ひっそり王家に話を通して良かった。


 リンダさんは歩いて大神殿に帰っていった。

 私たちは……。


「集会室でも行く?」

「そうね、授業が無いから男子に会わないわね」

「連絡があるときは集会室の黒板だな」

「マリリンに吉報を教えてあげなくてはですわ」


 マダム・エドワルダに夜会のノウハウを教えて貰うのはお洒落組にとって重要なんだろうなあ。

 私自身はあまり社交とか興味が無いので、メリッサさんとマリリンが居て助かるね。


 集会室に歩きながら、ちょっとペスへの魔力パスを繋いでみる。

 ああ、トール王子は、アダベルや村の小坊主どもと孤児院で大騒ぎしているようだ。

 楽しそうで何より。


『子供達をよろしくね』

『うおん』


 任せとけ、という感じにペスが返事をしてくれた。

 遠くの護衛対象の状況が解るのは良いな。

 便利である。


「こんちはー」


 集会室に入ると、カーチス兄ちゃんと剣術組、エルマーとヒルダさん、マリリンがいた。


「おう、マコト、今日は朝から何してたんだ?」

「ちょっと処刑がらみで野暮用」

「そうか、聖女候補も大変だな」

「エドモン組長も……、今日処刑されたね……」

「あ、あいつもか」


 まあ、あの親分は駄目人間だからしかたが無いね。

 グレイブはポッティンジャー公爵派がらみで、まだ『タワー』が抱えてるかな?


「麻薬禍も終わったなあ、感慨深いが、その後のジーン皇国がらみのトラブルで印象が吹っ飛んだよ」


 まったくだよ。

 ジーン皇国絡みは五本指で打ち止めにして欲しい所だね。


「マリリン、私たち、マダム・エドワルダを地獄谷に保護してきましたわ」

「まあっ! そうですの、マコト様」

「あんまりあちこちで喋らないでね、噂になると彼女が危ないし」

「わかりましたわ、さすがはマコトさまです」


 マリリンがにっこり笑った。

 お洒落組にとっては憧れの人ですもんね。


「教会が替え玉を立てて保護しましたか、ダガン子爵もですか?」

「そうよ、ヒルダさん。彼は領地を良い感じに差配してたと聞いたので行政の方をお願いしてきたわ」

「良いですね、有能な人は押さえておくと何かと便利です」

「これで、ティファールの街を貰っても大丈夫だな、マコト」

「げー、街道街はいらんよー」

「関税取れて税収が高いですのに」


 ブリス先輩とダガンさんが二人でかかれば、ホルボス村、地獄谷、アチソン村、ティファールの街ぐらいは対処できそうだが、あんま領地を広げてもなあ。

 きめ細やかな行政サービスができなくなりそうだよ。

 というか、聖女の巡回治療サービスが大変であるよ。

 領民になったら、やっぱ健康も見てあげたいじゃん。

 とりあえず、ホルボス山一帯を開発してからだなあ。


 でもまあ、領民のみんながNAISEIで幸せになると私も嬉しいんだけどね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 900話おめでとうございます。 マコトちゃんも濃い生活を送られていますね。 [一言] エドワルダ(Edwarda):古英語ead(幸福、富)+weard(守り手) マリーさんはきっと地獄谷…
[良い点] 祝!900話到達っ!おめでとうございます。 現時点で……ゴールデンウィーク……だと…… まぁ完全にライフワークの域になってますねw1読者としてもとても楽しみにしています。 [一言] ダン…
[一言] 通算900話達成! おめでとうございます。
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