第891話 みんなで自然公園でBBQをするのだっ
「うおおおっ、お肉焼けるの良い匂いっ!!」
「BBQ!」
「BBQ!!」
お子様達が肉の焼ける匂いでバーサクしている。
カーチス兄ちゃんとカトレアさん、そしてコイシちゃんが肉を焼いているね。
コイシちゃんのお肉の味は大丈夫だろうか。
主に塩の量とか。
「それでは、みなさん、中間テストの終了を祝って、バーベキューパーティをはじめますっ!!」
私が高らかに宣言すると、みんなが拍手で答えてくれた。
「チーズフォンデュもありますよー」
メリッサさんとカリーナさんがチーズの調合をしてくれた。
貰ってきたチーズがとろっと溶けて美味しそうだね。
「こうやって、パンに付けるのか」
「はむはむはむ、うん、美味しいなこれ」
「ジャガイモとかソーセージ、椎茸もあるな」
村の三馬鹿がチーズフォンデュを嬉しそうに食べている。
私もフォンデュを食べるかな。
フォンデュフォークにパンを付けて、ポットでとろけているチーズにくぐらせる。
ぱくり。
んーー、パンと溶けたチーズが官能的に美味いね。
「なかなか美味しいね、ジェラルド」
「はい、どこのチーズでしょうな」
王家主従も普通にやってきてパクパク食べている。
テーブルにはソーダにワイン、さすがにエールを持って来た豪傑はいなかった。
良く晴れた春の自然公園でバーベキューは良いね。
幸せの風景な感じがする。
「これは、どこの村のチーズかしら、こんど買いに行かないと」
「どこだっけなあ」
カロルがチーズの出所を聞くが、どの村でもお土産を持たせてくれたから解らないなあ。
同じテーブルで、同じフォンデュポットでフォンデュを頂いていると、なんか良い感じだな。
コリンナちゃんも同じテーブルでフォンデュをしている。
「コリンナちゃんの家もフォンデュをするの?」
「うちは王都民だからしないね、農村の文化じゃないかな」
「おいしいのに」
「器具が高いんだよ、カロル」
コリンナちゃんの返事に、カロルが「ああ」という顔をした。
フォンデュは美味しいけど、洗うの大変だし、面倒臭いのよね、鍋でもできるけど。
テーブルに白ワインのボトルがあったので、カロルがグラスに注いで飲んでいるな。
私とコリンナちゃんはソーダだけど。
孤児達はチーズフォンデュの方を先に食べてるね。
初めてなのできゃっきゃと騒いでいる。
アダベルと剣術組と男衆は先に肉のようだ。
偉い勢いで食べてるなあ。
「あ? なんだ、この美味い肉は、とんでもないぞ」
「ははは、カーチス、それはダシャばっちゃの牧場の肉だ、どうだっ!」
「すげえ、柔らかくて味が良いな、どこの村だ、教えろ」
「なんとか村だ、あとでエイダに聞け」
「なんと、殿のブロウライト牛よりも味がいいだとっ」
「おいしいみょんなあ」
やっぱりダシャおばあちゃんの牛の味は格別なのか。
ジャーキーも美味しかったからなあ。
「チーズフォンデュに……、マヨコーンを乗せると……、格別……」
「うむ、悪くないね、エルマー」
「美味しいですぅ、エルマーさまあ」
ロイドちゃんとジュリエットさんにマヨコーンフォンデュを布教してエルマーはドヤ顔である。
「お肉も食べようよ」
「そうね、カロル」
「私もお肉が食べたい」
カロルとコリンナちゃんと連れだってBBQコンロにお皿を持っていく。
「ブロウライト牛とダシャばあちゃんのお肉をください、食べ比べるわ」
「ああ、待ってろ、今焼ける」
カーチス兄ちゃんは焼肉奉行だなあ。
「ピーマンとタマネギも入れてね」
「はい、こちらで焼けてますよ」
エルザさんがお皿にピーマンとタマネギとエリンギを入れてくれた。
「いやあ、みんなでバーベキューは楽しいな、マコト」
「そうね、またやりましょうね、夏にでも」
「期末テストの打ち上げでやろう」
「いいわね」
みんなで一緒に野外でわいわいとご飯を食べるのはいいね。
外で食べるご飯って、どうしてこんなに美味しいのかな。
私はコンロから焼けた肉を取って、トール王子とティルダ王女の影に一枚ずつ投げた。
「わおおん」
「うおおん」
ペスとジョンが影から顔を出してお肉をパクリと食べた。
「たべたーっ!」
「もっと食べる? ジョン」
「うおんっ」
ティルダ王女からお肉を貰ってジョンは嬉しそうだ。
ペスもトール王子からお肉を貰った。
テーブルに座って、お肉を食べる。
「あ、全然違う、すごい美味しい」
カロルが感嘆の声を上げた。
どれどれ?
ぱくり。
おー、ダシャばあちゃんのお肉凄いなあ。
ブロウライト牛も美味しいんだけど、その遙か上をいくわ。
また何かあったら、ダシャばあちゃんの牧場へ買いに行こう、そうしよう。
エルマーもクレイトン牛を持って来てくれたので、三種類食べ比べが出来た。
クレイトン牛はあっさり目だね。
ヒルダ先輩がコンロで鱒を焼いて、マリリンとメリッサさんに食べさせていた。
「鱒も美味しいですわ、ヒルダさま」
「当然ですわ」
「美味しい物がある領はようございますわね」
お洒落組が鱒を褒めたので、ヒルダさんがドヤ顔をした。
ポーポーちゃんがヒルダさんの方に飛んできたので、彼女はニコニコしながら鱒をあげていた。
「黄金週間が終盤の親父たちを送って行く旅行の時に、この牛を作った牧場に寄れるか? マコト」
「ちょっと遠回りだけど行けるよ、そんなに気に入った?」
「ちょっと、この牛の美味さの秘密を盗まないとな」
ブロウライト領も牛の産地だからねえ。
「私もばっちゃの所に行くぞっ」
「アダベルも来るか、ブロウライト領で牛肉ディナーを食わせてやろう」
「おお、楽しみだな、カーチス!」
肉好きで意気投合しおったな。
「黄金週間、楽しくなりそうね」
「そうねカロル」
私たちは顔を見あわせて微笑んだ。
黄金週間は始まったばかりだっ。
よろしかったら、ブックマークとか、感想とか、レビューとかをいただけたら嬉しいです。
また、下の[☆☆☆☆☆]で評価していただくと励みになります。




