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第887話 集会室に戻って中間テストの皆の健闘を称える

 大神殿に地区長さんを見つけたので、カリエ村のユゲットさんの事をちくってやった。

 地区長さんは苦い顔をした。


「あー、いろいろと問題のある助祭なんですよねえ」

「あら、ご存じの方でしたか」

「地方貴族の三女で学業はとても優秀なんですが、その、会話が出来ないタイプのシスターでして」

「田舎の村といっても、あの助祭では可哀想ですよ」

「解りました、なんとかいたしましょう」

「よろしくおねがいします」


 私は頭を下げた。


 教会も人の集まりだからアレな人は一定数含まれるのよねえ。

 田舎でも都市でも教会は住民の生活の中心だから、アレな人の迷惑は洒落にならないのであるな。

 とはいえ、何も問題を起こしていない場合は、アレだからと言って排除するのも難しい。

 たぶん、村長さんなどから苦情は出ているはずだけど、地方貴族の親がいると、いろいろと大変なのだ。

 あんまり酷い人だと、どうするかというと山奥の女子修道院のスタッフなどに転属される、山奥ならまあ、被害はそんなでもないからね。

 アレな人は普通の人のリソースを消費するから、同じ所にアレばっか集めると、まあ、地獄みたいな修道院が出来るのだな。

 良く出来たシスターと大多数の普通のシスター、そしてアレシスターと組み合わせないと組織の動きが止まってしまうのだな。

 めんどくさいねえ。

 アダベルの言うようにやっつけられれば簡単なのだが。


 さて、学園に戻ろう。

 みんなもテストが終わって開放感に満ちあふれている事だろうて。


 練兵所の蒼穹の覇者号に乗り込んで離陸、自然公園上空を飛び越してビアンカ邸基地に入る。

 バックしてオーライでガチャンコと格納庫に入れた。


【お疲れ様でした、マスターマコト】

「今日もありがとうね、エイダさん」

【もったいないお言葉です】


 ああ、飛空艇にエイダさんがついていて良かったなあ。

 基地のコントロールもしてくれるし、至れり尽くせりであるよ。


 タラップを下りる。

 誰も居ない格納庫は静かだね。

 そうか、いつもパイロット組で動いているから一人で飛行するのは久しぶりだからだね。

 待合室から武術場倉庫に出て集会室を目指す。

 校舎の隙間から時計塔を見る。

 四時半か、まだみんな集会室にいるかな。


 集会室のドアを開けると、カロルとお洒落組とヒルダ先輩がいた。


「お帰りマコト、謝罪どうだった?」

「大丈夫だった、みんな快く許してくれたよ、あとお土産もくれた」


 私はみんなにばっちゃのジャーキーを渡した。


「あら、美味しいですわね」

「上品な味ですわあ」

「赤ワインに合いそうですわあ」


 みんながジャーキーをもぐもぐ食べる会になった。


「チーズとか、生肉とかも貰ったよ。明日のお昼に中間テストの打ち上げをしましょうよ」

「バーベキュー?」

「BBQ」

「あら、良いですわね、アンドレア家はワインを提供しますわ」

「ブロウライト家にバーベキューコンロはありそうですわね」

「カーチスたちは?」

「部活にいきましてよ」

「テストが終わったので一斉に解放されましたわね」


 やっぱテスト明けは開放感あるよねえ。


『マコトさま、長耳です。カーチス様がバーベキューコンロを手配するとの事です』


 うお、長耳さんが身近な話題に割り込んできた。


「良かったら長耳さんもこない?」

『お誘いありがとうございます。ですが事情がありますので、申し訳ありません』

「一度会ってみたいのになあ」

『そのうち会えるかと思われますよ』


 長耳さんの通信が途絶えた。


「長耳さん?」

「そう、カーチスがコンロの手配をするってさ」

「稀代の諜報網を連絡に使うとは、カーチスさまの剛毅なこと」


 ヒルダ先輩が首をふりながら言った。


「チーズもあるから、チーズフォンデもしない?」

「あら、良いわね。パンはひよこ堂で買えるわね」

「チーズを伸ばすのに白ワインも要りますわね、お持ちしますわ」

「ありがとう、メリッサさん」

「場所は集会室の前?」


 集会棟の前にはちょっとした机とベンチがある。


「いや、自然公園に行こうよ、子供達もアダベルもくるよ」

「あら、いいですわね」

「ホルボス村からトール王子とティルダ王女も来たよ、あと村の子供、今日は孤児院にみんなで泊まるんだって」

「ああ、楽しくなるわね」

「トール王子とティルダ王女を王都の名所にご案内したいですわ」

「ケンリントン百貨店にお連れしたいですわね」

「村の子供も連れていってあげようよ」

「私たちと一緒なら大丈夫ですわね」


 いやあ、いよいよ黄金週間が始まったなあ。

 初日は中間テストの打ち上げだ。


「あのあの、カーター様をお誘いしてもよろしいかしら」


 頬を赤くしてマリリンが言ってきた。


「いいようっ、誘ってあげてよ」

「はい、言ってきますわ」


 隣が騒がしいからペンティア部はやってるっぽいね。

 コリンナちゃんもいるかな?


「なんだか楽しい黄金週間になりそうね」

「カロルと二人でどこかに行きたいね」

「そうね、お芝居でもいく?」

「いま、何をやってるのかなあ」

「国立劇場では、まだ騎士物ですわね、人気がありましてよ」


 騎士物かあ、あんまり食指が伸びないなあ。

 美術展はまだ勇者の時代展かな。


「そういえば、日曜日には広場で処刑がありますわね」

「そうね」


 あんまりカロルとデートに行く場所ではないなあ。

 ちなみに、マダムエドワルダとダガン子爵の処刑も行われる。

 そっか、私も行かなくてはならないな。

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― 新着の感想 ―
[一言] 山奥の地獄の女子修道院・・・救いがない・・・。 地獄谷のワイトの遺言・・・マダムに伝えるのでしょうか・・・。
[一言] まだ処刑は娯楽の時代か フランス相当でまだ近代生まれのギロチンは生まれてないだろうから吊るされるのかな
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