表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

869/1533

第866話 大神殿レストランの味を堪能する

 お昼のミニコースなので、お料理がどんどん運ばれてくる。

 アップルトン各地の修道院で作られたワインとかビールとかチーズとかを贅沢に使いとても美味しい料理を作っておりますな。

 パクパク。


「ああ、美味しいレストランですわね、覚えておかないと」

「まあ、ね」

「なんかマコトは不満顔ね」

「味は良いし、景色も良いんだけどね、そのサービスが異常に良いので、心苦しい」


 遠くでリンダさんが、さすがは聖女さま、奥ゆかしいお方だ、とか言って絶賛しておる。


「ふふふ、何となく気持ちは解るわ」

「あれだ、肉牧場で、俺が『若』とか呼ばれる感じだな」

「わかる……」


 そうか、教会施設は私の領みたいなもんだからか。

 みんなも自分の領のお店ではこんな感じのくすぐったさなんだろうなあ。


「各地の修道院の名物が王都で食べられるなんて幸せですわ~~」

「教会のお料理という事で、なにか体に良い気もいたしますわ~~」


 お洒落組が騙されているっ。

 前世の精進料理じゃないから、ハムもソーセージもあるぞ。

 体には良い効果は無いと思われる。

 修道院の坊さんは暇だから、えらく凝った食品とか作るけどね。


 ああ、美味しかった。

 食後のお茶も美味しい。


 私の手元の会計の伝票をのぞき込んでコリンナちゃんが「げえっ」と声を上げた。


「そんなにお高かったのですの?」

「あら大変ですわ」

「逆だよ、えらく安い、大衆食堂かここは」

「聖女割引という事で半額の請求が来る」

「お得だなあ」


 本当は「聖女さまからお金など頂けません」というお店側の悲鳴を、「うっせー、ただ飯くわせんな、ぼけー」と、交渉の結果、半額請求という事になったのだ。


「またこよう、マコト」

「たまにね」


 コリンナちゃんは割引に弱すぎる。

 私は面はゆいので、ここはあまり好きでは無いのだな。

 一人で来ると、大貴族たちが挨拶に来たりしてうっとおしいし。


 とりあえず、みんな満足してくれたようだ。

 まあ、グレードとしては学園の上級貴族レストランと同じぐらいだしね。


「私も聖夜祭で素敵な彼とここでディナーをしたいですわあ」

「まあ、マリリンったら、素敵な彼ってペンティアの駒を握ってらっしゃるのではなくって?」

「きゃあ、やめてくださいまし、メリッサさま、そんなそんな」


 マリリンが赤くなりおった。

 さすがはお洒落組は女子力が高いな。

 コリンナちゃんも私も渋い顔でお茶を飲み干した。


 んーでも、派閥の子が聖夜の夜にディナーデートがしたいなら予約を取ってあげてもいいなあ。

 一席ぐらいは増設できるはずだ。

 なにしろワタクシは聖女候補ですのでね。

 ロマンチックなデートは大事だ。


 もしも無駄になったらカロルと一緒にディナーデート、とか考えたが、駄目だ。

 聖夜祭は私は壇上でご挨拶しないといけないし。


 ちなみに去年の聖夜祭の聖女候補様の晩餐は、職員食堂でチキンレッグに噛みついたものである。

 プログラムの間だったのでせわしなかったなあ。


 さて、みな食べおわったので、会計を済ませてレストランの外に出る。

 高い所なので景色が綺麗だなあ。

 大神殿展望台もあるのだ。

 入るのに千ドランクかかるが。

 巡礼者さんたちが沢山入って行くなあ。

 前世みたいにコイン式双眼鏡とか置くかな。

 ホルボス山山頂にも置きたいな。

 鍛冶部の部長に相談してみようか。


 みんなで魔導エレベーターに乗って大回廊に下りる。


「相変わらず、凄い彫刻よね」

「ほんと、勇者イヴォンの腰にはホウズがあるし、勇者ステファンはエッケザックス背負ってるし、勇者ラーシュの腰にはリジンがあるわね」

『モデルになったときは大変であったぞ』


 ホウズがぴょこんと少し抜けて声を掛けてきた。

 カーチス兄ちゃんが手を伸ばして納剣した。


 いろんな時代の勇者さま、聖女様だけど、写実的だよなあ。


 回廊にサイラスさんが居て深々とお辞儀をしていた。


「孤児院の子供達はホルボス山?」

「そうですな、アダベル様と一緒に行っておりますぞ」


 竜籠作ったから毎日のようにホルボス山に遊びに行ってるなあ。


「そういえばサイラスさんは地獄谷担当じゃなかったの?」

「週に三日ほど居て、それから交代しておりますよ」

「地獄谷の方にはディラハンは出た?」

「来ませんでしたなあ、主にホルボス村の近くに出ていたようです」


 そっかー。

 ああ、飛空艇でホルボス村に行って、ディラハンを狩ってテイムしてえ。


 そんじゃと言って、サイラスさんの前を通り過ぎる。


「さて、また明日に備えて勉強か」

「金曜日までたっぷりあるよ」

「そう言えば、金曜日は属性魔法の筆記と魔法実習テストよね、マコトはどうするの?」

「私はテスト無し!! 光魔法は一人しか使えないから、私がマスター、しかるによって自動的に百点」

「それは良いわね」

「いや、一日空いて暇だよ」

「マコトだけ、一日早く黄金週間ね」


 そういう考え方もあるのか。

 暇だから、ホルボス山行ってディラハン狩りでもしようかな。

よろしかったら、ブックマークとか、感想とか、レビューとかをいただけたら嬉しいです。

また、下の[☆☆☆☆☆]で評価していただくと励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] そのうち『聖女マコトのグルメ巡礼(王都篇)』みたいなスタンプラリー的常設イベントが始まるかも。 『聖女マコトのグルメ巡礼(王都篇)』 参加方法: 1)パン屋ひよこ堂で聖女パンを購入した際、…
[一言] 修道院といえばワインとチーズ、特にフランスはワイン
[良い点] 聖女割り。 [一言] ・・・スフレオムレツとかカヌレとかあるのでしょうか(o'¬'o)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ