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第854話 テイムテイムテイム、さらにテイム

「てんめーっ!! なんで俺の従魔をテイムしてやがるんだあーっ!!」

「あ、やっぱりテイムなのか」

「ぐっ!」


 ペスは頭に二本の魔力線がつながって、困惑している。

 接触か?

 名付けか?

 どっちだろう。


「ペースペス、君は私の味方になりなさい」

「三号ー! 惑わされるんじゃねーっ!」

「わ、わふう……」


 ペスが困ってる困ってる。

 どうしようかなという感じにうろうろしておる。


 他の二頭もペスを見て困惑している。


「は、早く聖女をぶち殺せーっ!!」

「ペス、私を守ってっ!」


 やべい、他の二頭が襲ってくる。


「尻尾の短い君はジョン!! 大きい君はポチ!!」

「やめろっ!! 名付けすんじゃねえーっ!!」


 ひゅんひゅんとジョンとポチの頭にも私から二本の魔力線がつながる。

 なんか私と敵のテイマーで線の色というか、輝度が違うな。


 二頭も困惑してうろうろし始めた。

 よしよし、名付けで線がつながるみたい。

 でも、接触したペスの方が線が太い。


 テイマーは愛情と信頼か。

 そうすると、ええと。


「肉、私に味方してくれたら、お肉をあげよう、どう?」


 私は頭の中にブロウライト牛のステーキを思い浮かべた。

 あのお肉は美味しかったなあ。

 匂いも思い出せるぞ。


「「「わおんっ!!」」」


 三匹が跳び上がって敵テイマーの方を向いた。

 おお、一気に私の魔力線が太くなったぞ。


「き、きったねえぞっ!! 三号、五号、七号、俺たちは家族だよな、ずっと辛いときも悲しいときも一緒だったよな、なっ、なっ」

「「「わうー……」」」

「なんで番号で呼んでるの?」

「あ? 名前なんか付けると情が移って死んだ時悲しいじゃねえかーっ!」


 ああ、なるほど。

 だが、それなら、名付けをした私が有利だ。


「私の味方になってくれるなら、お風呂に入れてあげる、温かいお風呂でしょわーっとして、それからお散歩して、わっしゃわっしゃ可愛がってあげるよ」

「「「わおおおんっ!!」」」


 私は脳内に、三匹をタライの湯でワッシャワッシャ洗うイメージ、そしてピカピカになった三匹と王都をお散歩、公園でモフモフと可愛がるイメージを浮かべた。

 ゲーハッハッ、漫画描きの妄想力舐めんじゃねえぜ。


 光る魔力線が太くなって、完全に三匹は敵テイマーに対峙した。


「なんだよなんだよっ!! なんでそんな勢いでテイムできんだよーっ!! なんで俺から家族を奪って行くんだよっ!!」

「ふっふっふ、ワンコはお肉には勝てないのだ。さあ、ポーポーちゃん、あんたも来なさいっ!!」

「ほっほー?」

「ばっ、やめろやめろっ! 十号をテイムするのにどんだけ大変だったかわかってんのかっ!! 影フクロウなんか超レア魔物なんだぞっ!!」

「ゲーハッハッ! しらんわい、テイムする」


 ひゅん、と魔力線がフクロウにも延びる。

 フクロウも良いなあ。

 お肉を食べさせて、もっしゃもっしゃ可愛がりたい。

 ポーポーちゃんは、どうしようかなあ、という感じに首をかしげた。


 ……。

 なんだかもう一本、魔力線があって、この空間の外に伸びているのだけど、あれはまさか……。

 いや、あの子とは友達であって、テイムはしてないのだ。

 うんうん、友達友達。


「おいで、可愛がってあげるよ」

「わ、解った、おまえら、聖女を殺したら、お肉パーリーを開催する、その豪華な肉だ」


 お、変な感じ、敵テイマーのイメージが垣間見える。

 生肉だなあ、骨付きだ。

 ワンコ三匹が興味をしめしている。

 前に食べさせたご馳走だな。


 ふ、ふふふふ、残念だったな、敵テイマーよ、この国は別名美食の国アップルトンだ。

 肉肉、鉄板で焼いた焦げ目が付いた熱々ステーキ、バターのせだ。

 匂いも味もイメージしちゃれ。


「「「うわわんっ!!」」」

「ホーホーッ!!」


 来た来た、ワンコどもが寄ってきた。

 よーしよしよしよし。

 フクロウのポーポーちゃんも飛んできおった。

 よーしよしよしよし、可愛い奴らめっ。

 なでなで、もふもふっ。

 おお、なでくりまわすと魔力線が太くなるな。


「ああ、クソッ、美味そうっ!! いや、いやっ!! き、汚えぞっ聖女!!」

「うるせえ、お前の負けだテイマー。ポーポーちゃん、影空間を解いて」

「ホーホーッ」


 一瞬の上昇感の後に、私はワンコ三匹にもみくちゃになりながら路上に出現した。

 ポーポーちゃんは頭の上だ。


「マコト!!」

「マコト様っ!!」

「いま助けますっ!!」

「いや、ワンコとフクロウは味方。敵はあっち」


 敵テイマーはがっくりと路上に膝を付き泣いていた。


「ちくしょうちくしょう、なんだよなんだよーっ!!」


 バンバンと路面を手で叩いていた。


「ダルシー、確保!!」

「かしこまりました、殴ってもいいですよね」

「オッケー!」


 テイマーがダルシーにボコられて捕まるのを、私はワンコたちを撫でながら見ていた。

 ポーポーちゃんが頭に爪を立てているので、ちょっと痛い。


「どうしたんだ、その犬?」

「魔物の影犬と影フクロウですよね、どうしたのですか?」

「逆テイムしたんだー」

「マコト様はテイマー型聖女なのかもしれませんわね。アダベルも懐いてますし」

「ア、アダベルは友達!」


 聖女には、攻撃型聖女、魔法型聖女、回復型聖女が一般的なんだけど、テイマー型聖女というのも居て、フェンリルをテイムしたり、エンシェントドラゴンをテイムしたりの、異世界ムツゴロウさんみたいな活躍をする伝承があるのだ。


 自分の手を見ながらにぎにぎしてみる。

 ふふ、ディラハンもテイムしてやろうかなあ。

 ゲーハッハッ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] というかこのライン自体が友達ラインだからなあテイム……(従えてないので)
[気になる点] まぁ、そもそもテイム可能なモノかというのもアヤシイところなんですが。 ただ、ちょっと普通じゃないみたいだし、テイムじゃなかったとしても魔力的繋がりがあっても不思議じゃない(というかない…
[気になる点] あ。 もう一つ重大な疑問が残っていましたね。 もう一本の魔力線。 個人的にはアダベルよりも、かなり初期にマコトが(勝手に)名付けしたアッチの方が可能性が高い気もします。あえて名前は…
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