第822話 クレイトン領のレストランはハンバーグ屋だった
エルマーの案内で訪れた店は王都大通りの中程にあった。
結構大きい店ね。
店名は「牧畜家家族」であった。
んー、元ネタがありそうなレストランだなあ。
というか、ゲームで出てたなあ。
エルマーの領のお店という事でエルマー、そして肉好きのカーチス兄ちゃんが喜ぶ感じのお店だったな。
「いらっしゃいませ、あら、坊ちゃんっ」
「坊ちゃんは……、やめてくれ……」
「ご学友をお連れいただきましたかー、ありがとうございますっ」
明るい支配人とおぼしきおじさんは快活に笑った。
「牧畜家家族か、ハンバーグ専門店だな、ステーキもあるけど」
「肉ですかっ、ロマンがありますねっ」
「食べ放題のサラダバーも売りですわね、結構人気がありましてよ」
支配人さんが私たちを個室に案内してくれた。
ケビン王子を見てぎょっとして、私を見てさらにぎょっとするいつもの天丼があったが気にすまい。
内装は、あれです、郊外型ハンバーグ専門ファミリーレストランっぽい。
牧畜家の一家の絵とか飾ってあるな。
「ハンバーグランチと……、サラダバー……。ワインは赤……」
みんな口々に注文をするが、まあ、チーズハンバーグランチにするか、大盛り二倍ハンバーグランチ、ハンバーグとステーキランチにするかぐらいの選択肢しかない。
「チーズハンバーグランチと、サラダバー、あと冷たいお茶をください」
「かしこまりました」
剣術組だけ、ハンバーグとステーキランチを選んでいた。
みんなサラダバーは付けるね。
なんだかファミレス式の座席構成で懐かしい感じがするね。
この世界は時々時代にそぐわない事象があるのだが、まあ、乙女ゲーム世界だからしかたがないであろう。
さてと、サラダバーサラダバー、私サラダバー大好き。
まあ、ポテトサラダを山盛り取ってしまってメインが入らないという失敗を良くやるのだが。
今日はわりと控えめに取ろう。
サラダバーコーナーには、カットしたレタスとか、トマトとか、ヤングコーンとかが並んでいた。
ひときわ大きいブロックをしめるのが山盛りのマヨコーンであった。
「エルマーのリクエスト?」
「うん……、大好物だから……、ひよこ堂のレシピをわたした……」
「どんだけマヨコーン好きなのか」
エルマーは満面の笑みでお皿にマヨコーンの山を作ってもって行った。
「エルマーお前、マヨコーンで満腹にならないか?」
「のぞむ……、ところだ……」
うはー。
とりあえず盛ったサラダにフレンチドレッシングを掛けて持って行こう。
席に付いてみんなを待つ。
みな色とりどりにサラダを取ったねえ。
性格が出て面白い。
「カトレアさん、もっと野菜食べなさいよ」
「いらん、ハンバーグ屋に来たら肉を食うんだ、キュウリや菜っ葉でお腹を膨らませるものか」
彼女が取ったサラダはレタスとポテトサラダがちょっとだった。
カロルはポテトサラダを中心にレタス、キュウリ、トマトをバランス良く乗せているね。
みんなが席についたので、食事のご挨拶。
「いただきます」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
パクパク。
ショリショリ。
うんうん、新鮮な野菜で美味しい。
あはは、確かにマヨコーンがひよこ堂の味だ。
ランチセット付属のスープはクルトンが入ったコンソメだね。
なんか安っぽい味なのだが、それがハンバーグ屋という感じだよ。
ウエイトレスさんが、焼きたてのハンバーグをワゴンに乗せて運んで来た。
ジュージューいっているね。
良い匂い~。
私の前にドカンとチーズハンバーグが置かれた。
おお、ごっつい、付け合わせはポテトとグラッセされた人参だ。
ぱくり。
おおー、肉汁がジューシーで美味しいっ!
うまうま。
パンは白パンで、バターを塗って食べる。
うまうま。
「おいしいねマコト」
「うん、良いハンバーグだわ」
「牛肉……、百%……」
美味い美味いー。
「肉は美味いっ」
「うまうまみょん」
コイシちゃんは相変わらず塩をかけまくっているが美味しそうな顔で食べているね。
カトレアさんはガンガン肉を食べている。
ステーキも柔らかそうで美味しそうね。
お肉はカーチス兄ちゃんのブロウライト領が有名なんだけど、エルマーのクレイトン領でも牧畜が盛んなのよね。
野性味があるブロウライト牛と、繊細な味わいのクレイトン領と棲み分けをしている感じよ。
なんかここに来ると前世の雰囲気で落ち着くなあ。
ドリンクバーは無いんだけどね。
サラダバーは美味い。
チーズハンバーグのチーズも美味しい。
ぱくぱくと付け合わせも一緒に完食!
美味しかったー。
さて、サラダバーコーナーに戻り、果物とゼリーを新しいお皿に取ってくる。
デザートも食べ放題なんだぜっ。
だが、アイスは無いぜ。
くやしい。
冷えたワインゼリーと林檎とかイチゴとかメロンとか食べる。
美味い美味い。
この手の郊外型レストランは美味しくて好きなんだけど、ちょっと食べ過ぎるのが問題よね。
あー、でも美味しかった。
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