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第810話 ランチタイムはクララのパンワゴン

 さてさて、午前中の授業だぜい。

 金曜日は歴史、音楽、倫理、武術の四コマ。

 倫理がちょっと苦手なだけで、あとは大丈夫だね。

 歴史は得意分野だぜい。


 音楽も中間テストに向けて音楽理論の初歩の座学である。

 前世では音楽はあまりやってなかったのでこの世界の音楽の水準が高いのか低いのかは解らぬ。

 仕事柄、賛美歌は結構得意だけどね。

 綺麗な声が出るんだわー。

 音痴でカラオケに行くたびに笑われていた前世とは大違いよな。


 倫理は理解せずに丸暗記で行く。

 いちいち突っ込みどころが多くて理解していられない。

 中世だからなあ。


 武術の時間は前半にコイシちゃんとカンカン練習をして、後半は模擬対戦である。

 今日はカロルと対戦だ。


「ふふふ、負けないわよ」

「ああ、愛するカロルを斬らねばならぬとは」


 芝居がかって口上を述べた後に対戦。


 カンカンガシガシドーン。


 最後のドーンはカロルのモーニングスターの打ち落としで床が鳴った音な。

 モーニングスターは鈍器なので試合用といえど、当たるとヤバイ。

 そしてヒュンヒュンと結構な速度で振り回すから怖い。

 でもまあ、盾剣側で受けて小太刀側で斬る感じで詰めて行く。


 二刀流にも結構慣れたなあ。

 大抵の攻撃は盾剣でいなせるようになった。


 ヤバイのは下段の振り回しな。

 足のスネを狙った攻撃なので、ひょいと片足を上げて避ける感じ。

 んで、踏み込んで斬る。


 ガッシャーン。


 だが、カロルは手元のチェーンを両手で張って受け止める。

 というか、上手いなあ。

 さすがさすが、チェーン君の主さまであるよ。


「よし、やめっ、二人とも上手くなってるな」

「うむー、一本取れなかった」

「マコトも避けるの上手くなったね、攻めあぐねるわ」

「ありがとう」


 嫁に褒められると嬉しいな。

 っても、カトレアさんとか、コイシちゃんとかの近接ガチ勢に比べると、私らはなんか凄みが足りないなあ。


 丁度、私たちの後がカトレアさんとコイシちゃんの模擬戦だ。


 ガンガガガガガガンッ!!


 エストックと刀で高速で打ち合うので何をやっているか解らない。

 二人とも次元が違うよなあ。

 カトレアさんも蓬莱刀の捌き方が解って来たのか、エストック模擬剣で上手に受けているね。


 ちなみにコリンナちゃんには悪いが武術の時間に弓は無い。

 投射武器は生徒が個別に覚える物なのだ。

 二学期になると馬術をやって馬上戦闘とかもあるらしい。

 馬術の授業は楽しみだなあ。

 秋になったらレンタルの馬を借りてホルボス山までみんなでツーリングがしたいね。

 しかし、乙女ゲームの貴族は結構色んな事をやらされるものだ。


 更衣室で体操着から制服に着替えてA組に戻る。

 戻った途端に終業の鐘がなり、待ち構えていたようにカーチス兄ちゃん以下B組の面々が入ってくる。


「よう、今日はどうする?」

「今日、クララのパンワゴン出てたっけ?」

「ああ、出てるって黒板に書いてあったよ」


 おお、コリンナちゃんはめざとい。


「今日は学園内で食べるか」

「曇り空で雨降りそうだしね」

「うむ、暗殺者の噂もあるし、しばらくは外に出ない方が無難だな」


 ジェラルドの方にも暗殺者の一報が入ったか。

 『タワー』経由かな。


「目標はキンボールさんのようだよ、気を付けてね」

「『タワー』で退治してくれよう」

「そ、そうだね」

「聖騎士団を動かしたまえよ、聖女よ」

「……外交の手伝いしたってのに被害だけこっちかよ」

「……す、すまん、失言だった。誠心誠意『タワー』に頑張るように伝える」


 さすがのジェラルドも、私に猛烈な借りがあるのに気が付いたようだ。


「父がキンボールさんに領地を広げてあげたいと言っていたよ」

「領地はなあー、面倒くさいなあ」

「ある程度の褒美を受け取ってくれないと、王家が吝嗇と思われてしまうのだ、助けると思って受けてくれないか」

「まずは一代領地じゃなくて、永続領地にするのが先じゃないの?」

「それもそうだね、父に進言してみるよ」


 今現在、ホルボス山の私の領地は一代領地といって、私個人が賜った領地なのな。

 よって、私が死ぬと国家に召し上げられてしまうわけだ。


 永続領地は一段上がって、完全に私の領地となり、子々孫々に受け継がせるのが可能になるのだ。

 一代領地を広げるよりは永続領地にしてくれた方がありがたい。


 さて、女子寮の前に行ってクララのパンワゴンでパンを買うかなあ。

 なんだか王家主従も付いてくるようだ。

 まあ、良いけどね。


 みんなでぞろぞろと廊下を歩き、階段を下りて校舎の玄関から外に出た。

 途中で二年生、三年生の派閥員を拾う。

 空を見上げると雲が分厚い感じだなあ。


 お、上空を青いドラゴンが通り過ぎた。

 アダベルが孤児達を連れてホルボス山に行くっぽい。

 彼女に向けて大きく手を振ると、頭をちょこんと下げて去って行った。

 下から見ると勇壮な感じだなあ。


 クララのパンワゴンは盛況だった。

 ちょっと並んでから買う。


「盛況だねクララ」

「だんだんと口コミで広まってるね。嬉しいよ」


 うーむ、実家のひよこ堂危うしだなあ。

 学園内で買えるのは強いよなあ。

 雨とかだと、ひよこ堂まで歩くのだるいし。


「聖女マリアパンとビーフシチューポッドを下さい、あとレモネード」

「はいよう」


 クララが亜麻袋にパンとレモネードを入れてくれた。

 おお、シチューポッドがまだ暖かいな。


 またエルマーが大盛りマヨコーンを買っているな。

 みな、思い思いのパンを買って、中庭に行った。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 永続領地にしてもらったとして、マコトは結婚して子ども産むつもりあるの?問題が…。そうしないならキンボール領として養兄の子が継ぐか、聖女領として次の聖女が現れるまで教会預かりか。あと結婚…
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