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第799話 勉強に次ぐ勉強の聖女派閥勉強会

「ふわぁぁ」


 私よりも先に集会室に入ったカロルが壁に立てかけてあった絵を見て頬を赤くした。


「い、色が付くとすごいね」

「まだまだまだやで、これからもっと細かく仕上げるからっ」

「ほ、ほんとに、そ、それはありがとう……」


 お礼なんかええんやでっ。

 うっしっし。


「えー勉強なんか嫌だよ、お芝居を観に行こうよジュリエット」

「わ、私は二年になったらマコト様の居るA組に行きたいのですっ、そして、そこにはロイドさまが居ないと嫌なのですっ、えーんえーん」


 ロイドちゃんの右腕にへばりつくようにして連行してきたジュリエットさんが嘘泣き攻撃をしていた。

 効果は抜群だ。


「しょうがないなあ、そんなにジュリエットが言うなら~~」

「わあいっ、ロイドさま大好きっ!」


 というか爆発しろ。


 さてさて、今日も今日とて放課後は勉強会であるよ。

 カーチス兄ちゃんも渋い顔でやってきたよ。


 ブリス先輩も先生役で来てるね。

 お洒落組に付いてもらおう。


 収納袋から教科書を出していると、メリッサさんとマリリンがおずおずと寄ってきた。


「あ、あの、マコト様、エッセイを書いたので見ていただけますか?」

「わ、私も書きましたですわ」


 そう言って二人は羊皮紙の束を差し出してきた。


「おおっ、もう書いてきたんだね、えらいえらいっ」


 どれどれー。

 私は受け取ったエッセイを読んでみた。


「おっ、良いね、凄く良いよ」

「マコトさまが教えて下さった、この文体は、とても書きやすくて、すらすら書いてしまいましたわ」

「そうですわそうですわ」


 お世辞抜きに、お洒落組エッセイは良い出来だった。

 口語なので、まるでおしゃべりを聞いているような文体ですらすら頭に情報が入ってくる。

 題材も現在流行のお洒落スポット、ケンリントン百貨店のルポだった。

 うんうん、こんな感じの店内だった。

 流行ファッションが世界中から集まって凄い事になってるんだよね。


「良く書けてるわよ、二人とも」

「あら、読みやすいわね」

「情景が目に浮かぶようですわね」

「マジか、俺も見る」

「アイスクリン……」


 二人のエッセイを派閥員で回し読みをした。

 思っていたよりも、ずっと書けてるなあ。


「よし、後でレイラさんに渡して意見を聞いてみるね」

「はわわ、新聞部の方に読まれるのは怖いですわ」

「こんな文章とか怒られませんかしらん」

「へーきへーき、自信を持ちなさいよ」

「大丈夫よ、二人とも」

「あ、ありがとうございますわ」

「う、嬉しいですわ」


 ああ、この世界になろうがあったらなあ。

 鮮烈デビューできそうなのになあ。

 惜しい事だ。


 さて、二人の玉稿を収納袋にしまって、私は勉強を始めた。

 ロイドちゃんは教科書もノートも無いのでジュリエットさんとくっついて、イチャイチャしながら勉強している。

 爆発せよ。


 私は……、数学は勉強の必要が無いんだよな。

 学園の数学は、前世の小学生高学年レベルだから。


 国語の復習をするかな。

 っても、詩作の授業とかばかりだったからなあ。

 詩の形式の問題とか出るかな。

 教科書に載ってるような有名な詩とかを読み返すかな。

 パサパサパサ。


「そういや、錬金術のテストはあるの?」


 光魔法は先生が居ないから実施されないだろうけど、月曜日の錬金だけは試験されそうだ。


「魔術は最終日に実地試験だ。錬金は土魔法の教室に行けばいいんじゃねえか?」

「ありがとう、カーチス」


 読んだだけだと頭に入らないので、詩を羊皮紙に書き写そう。

 カリカリカリカリ。


「あ、今日は水曜日だ、聖女の湯はどうしようか」

「三時頃、入浴がてら入れてきて、また戻ってこい」


 コリンナちゃんはそう言うが、わりとだるいな。

 とはいえ、五時からだと混みそうだしなあ。

 しょうが無い、途中で入れてくるか。

 カリカリカリカリ。


 みんな静かに勉強をしている。

 ロイドちゃんも、ジュリエットさんの解らない所を教えたりしていた。

 奴は地頭は良いからなあ。

 頑張れ。


「音楽のテストは?」

「前半は音楽知識のテスト、後半はダンスの実技試験ですわよ」

「げええっ」


 カトレアさんが悲鳴を上げた。

 だからちゃんと覚えろと、あんなに言ったのに。

 言ってないけど。

 カリカリカリカリ。


 十四行詩ソネットは綺麗で良いね。

 情景がロマンチックでうっとりしちゃうな。

 よし、写し終わった。

 書き写しはポエムだろうが小説だろうが文章修行の基本なのじゃ。


 倫理は困った。

 実際私が信奉している理念と、この世界の倫理と呼ばれる概念に差がありすぎる。

 と言って、私の信念を書いたら零点を取りそう。

 なので、要約しながら倫理の板書を書き写して丸覚えだな。

 私の信念よりも学園の成績なのです。

 大人になるというのは汚れちまうという事なのです。

 カリカリカリカリ。


 なんだかなあ、貴族に都合の良い倫理だよなあ。

 単なる魔力の高い蛮族の親玉たちの癖になあ。

 でもしかたが無い、歴史は勝った奴が作るのです。

 社会倫理もね。

 カリカリカリカリ。


 やれやれやれ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] テストで普段のこうどうと違いすぎてバレそうな倫理
[気になる点] あれ、朝方に「勉強会の後にカロルの錬金室で聖女の湯の元を作ろう」みたいな話になってませんでしたっけ?
[一言] >大人になるというのは汚れちまうという事なのです。 「儂が男塾塾長江田島平八である!」
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