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第793話 本を借りて自室でのたのたする

 お勉強会は解散して、みなぞろぞろと集会室から出た。

 最後のカトレアさんが懐から鍵を出して施錠してくれた。


 外は夕焼けで真っ赤になっているなあ。


「それでは晩餐でまたお会いしましょう」

「ですわ~~」

「またなあ、マコト」

「また、明日……」


 カーチス兄ちゃんとエルマーが男子寮の方へ去って行った。

 女子は女子寮へと向かって歩いて行く。


 さて、晩餐まで何をしようかな。


「本でも借りるかな」

「私は錬金作業があるから、またね」

「うん、またね、カロル」

「私は勉強じゃ」


 まったくコリンナちゃんは何時も勉強してんなあ。


 私は図書館の方へ歩き始めた。

 やっぱ、ディラハンの本を借りるかな。

 いろんな事があるけど、後手後手で情報を収集だなあ。

 まあ、相手の出方なんか予知出来ないしなあ。


 それよりも、最近、予知夢を見たり、何かが起こる時に勘が働くのだが、これは聖女の何かのスキルの芽生えなのだろうか。

 そのうちビアンカ様みたいに予知とか過去知とかを出来るようになるのかね。

 あんまりにもチートっぽくて気が進まないが。

 光魔法って、いったい何なのかねえ。


 ヒカソラのシナリオでは秘本を見つけて凄いぶっといビームとか出していたが。

 あれは……、ああ、エルマーシナリオだ。

 秘本自体はどこからエルマーが掘り出してきたんだっけ?

 図書館だったかな?

 いや、もっと厳重に隠されていた気がするな。

 プリシラ嬢も早く手を打たないとなあ。


 渡り廊下の階段を駆け上がって二階にある図書館の入り口に入る。

 いつものようにルカッちがカウンターの奥で本を読んでいた。


「いらっしゃーい」

「これ、借りてた本」


 私は収納袋から本をバサバサとカウンターに出した。

 あ、アダベルに貸したドラゴンの本が返って無いや。


「ドラゴンの本はちょっと待ってね、アダベルに返してもらうから」

「学園長が返してきたよ、問題無い」


 おお、学園長有能。


「それは助かった。魔獣の専門書はあるかな?」

「沢山ある。もうちょっと絞って」

魔物使いモンスターテーマーとディラハン」

「アライド王国の魔物は魔物学の書棚の三段目。魔物使いモンスターテーマーは各種進路指導の棚の一番下」


 よくなんでも覚えてるなあ。

 さすがはルカッちである。

 というか、魔物使いモンスターテーマーに進む生徒もいるのか?

 自分ではあまり戦わないから貴族的には人気なのかも。

 女生徒でも戦闘力が上がるしね。


 まずはディラハンから。

 うーーん、アライド王国の魔物ぐらいの範囲の本しかないなあ。

 ディラハン専門書は無いか。

 ドラゴンじゃ無いからな。

 とりあえず、アライド王国の魔物図鑑を借りていくか。

 ディラハンの弱点とか書いてないかな。


 次は魔物使いモンスターテーマーの本。

 こっちは進路としてあるからか、結構あるな。

 魔物使いモンスターテーマーの基礎って本を借りようか。


 二冊の本を持って図書カウンターに持って行く。


「ちょっとまってなよ」


 ルカッちは本の巻末から図書カードを取って私の名前を書いた。


魔物使いモンスターテーマーの本は動いてる?」

「まだ一学期だから動いてないよ」


 学園の生徒が魔物使いモンスターテーマーかもとか思ったけど、レッドベアをテイムできる腕なら図書館で本とかは借りないか。


「学園に魔物使いモンスターテーマーの生徒は何人ぐらい居るのかな」


 ルカッちは首をひねった。


「五、六人……、かなあ?」

「テイムした魔獣はどうしてるの? 王都内には入れられないでしょ?」

「鑑札取ってタウンハウスに置いてるんじゃないか?」


 そうか、旅人の魔獣は王都に入れないが、住民の魔獣は登録すれば入れられるのか。

 とはいえ、登録魔獣でテロとかはできんわな。

 すぐばれて捕まってしまう。


「角兎とか、危なくない魔獣なら寮に持ち込んでもお咎めはないよ」

「あ、そっか、ペットの魔獣も居るんだね」

「たまに見るね。秋の文化祭ではテイマー部が可愛い魔獣さわり放題の展示をやってたりする」


 学園にテイマー部とかあるのか。

 同じ魔物使いモンスターテーマーでも色々なんだなあ。


 本を収納袋に入れて、ルカッちに礼を言ってから図書館を出た。

 さてさて、自室のベッドでのたのたしながら読書をするかな。


 小走りで女子寮まで戻り、階段を上がって205号室に入った。

 コリンナちゃんは机に向かって勉強をしているようだ。


「おかえり」

「ただいま」


 靴を脱いでハシゴを上がり、ベッドに潜り込む。

 ライトの魔法で小さな光球を出して本を引っ張り出す。

 魔物使いモンスターテーマーの基礎から読もうかな。


 ぺらりぺらり。


 ふむ、隷属の首輪を付けて魔物をコントロールする方法しか書いて無いな。

 わりとペットの躾とかと似ているが、大型魔獣になると大変だな。

 言う事を聞かないときは首輪に呪文をかけて苦痛を与えるらしい。

 何ヶ月も調教して、意思の疎通ができるようになったらできあがりだそうだ。

 なんというか、度しがたい感じよね。


 魔物使いモンスターテーマーの強さはテイムしている魔物の強さなので、迷宮初心者が手軽に強さを求めるには最適の選択なのだが、あんまり好きになれないなあ。


 本来の魔物使いモンスターテーマーは魔物と心を通わせて使役する、という物なんだけど、現在では隷属の首輪を使って簡易的に魔物を操るのが主流らしい。

 くわばらくわばら。

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[一言] >光魔法って、いったい何なのかねえ。 光の移動が時間の進みだからまあやっぱり時空属性じゃないかと >ディラハンの弱点とか書いてないかな 姿を見られたくないとか水の上を渡れないとか
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