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第792話 勉強会は続くよ、どこまでも(午後五時まで)

「しかし、ディラハンの馬だけを変えるというのは可能なのでしょうか?」


 ヒルダさんがお茶を飲みながらそんな疑問を口にした。


「うーんどうだろう」


 ヒカソラのRPGモードでは出会った事のないモンスターだしなあ。

 ディラハンというのは、あれだ、黒い首の無い馬にのったモンスターで、前世の世界ではたしか黒いバイクにのって池袋をうろうろする奴でしょ?

 アニメで見たぞ。

 バイクになるぐらいだから、竜馬に変化するぐらい……。

 魔物の種類が違うからどうなのだろう。

 こっちの世界のルールがわからん。


「ディラハンというのは、魔物というよりは妖精の一種で、乗るのは首無しの黒馬です。黒塗りの馬車に乗るという伝承もありますが、その場合も首無しの黒馬が二頭です。ドラゴンの一種である竜馬に乗るという話は聞いた事がありません」

「妖精は様式を大事にするから、別の魔物に乗るのはおかしいわね」


 ほうほう、カロルはそう思うのかあ。

 というか、魔物と妖魔と妖精の違いも良くわからないぞ。


「ディラハンは迷宮に出るの?」

「アライド王国のガントリー大縦抗の中層に出るらしいですね」

「アライド王国かあ」


 偽イギリスかあ、諜報が強そうだが、何かの陰謀なのかな。


「レッドベアは瞬殺、竜馬ディラハンはどうだろうな。腕がなるぜっ」

「こちらには聖剣が三本もあるし、倒せない相手ではなさそうですが」


 カーチス兄ちゃんのつぶやきにカトレアさんが答えた。


「首の無い魔物にどうやって首輪を付けてるみょんか?」

「そうか、乗ってる魔物を変えているのは天然物の魔物ではない証拠でもあるね」

「体に付けておけば良いのだから、どこかに付けているんじゃないかな。首の無い魔物だっているだろうし」


 スライムとかどこに隷属の首輪を付けるのだろうか。


 おっと、喋っていたら、もう三時半だ。


「勉強会を再開します」

「あ、はい」

「が、がんばりますわ~」

「苦しいですが、明日の為ですわ~~」


 みな、教科書と羊皮紙を出して勉強を再開した。

 ふー、じゃあ、地理を復習しようかな。


 カタロニア王国の雨は主に平野に降る、のだなあ。

 カタロニアは偽スペインである。

 飛空艇を三隻も持っているぞ。


 地理は前世と共通部分があって、差異もあって、勉強すると面白い。

 この世界にバチカン市国は無くて、ビタリ王国の真ん中あたりに聖心教の総本山があるのだ。


「エッケザックスの勇者ステファンってどこの国の人であったか?」

「カロリング王国だみょん。アップルトンの前身だみょん」

「そうだったか、うんうん」


 エッケザックスがアップルトンゆかりの聖剣と知ってカトレアさんは嬉しそうだな。

 彼女も地理の復習をしてるっぽい。


 羊皮紙のノートを見ながら、要点をまとめて新しい羊皮紙に書き写す。

 くそう、かさばるなあ。

 インクの乾きも遅いし。

 やっぱりホルボス山近くで製紙業をするかなあ。

 ああ、でも綺麗な水が要るんだよなあ。


「派閥員の領地で、綺麗な水と森がある所はない?」

「どうしてまた」

「製紙業に投資しようかと思って。植物紙ノートが安く、大量に欲しい」


 みなの目がカロルの植物紙ノートに集まった。


「植物紙は……、軽くてかさばらない……」

「それはよろしいわね」

「マーラー家でやりましょうか? 木綿も仕入れておりますし」

「布地が要るんですの?」

「木綿を使って作る紙もありましてよ」


 そっか、古い西洋紙は木綿を煮崩して作るとか聞いたな。

 マーラー領ならば、森もあるし、水も綺麗だし、良いかもね。


「でも、お金がかかるわよマコト」

「製紙工場を新しく作ると大変だぞ」


 コリンナちゃんが口をへの字に曲げて私に言ってきた。

 先立つのは資金かあ。


「ホルボス山にも、まだまだ、お金がかかりそうだしなあ、ううむ」

「ホルボス山に作ればどうかな?」

「紙には綺麗な水が要るのよ、ホルボス山だと温泉の関係で水がね」


 ホルボス山では生活用の清水ぐらいは湧いているのだけれども、製紙には大量の清水が必要なのだ。


「隣の山とか、王家にねだれ」

「うう、王家に借りはなあ」

「普通に買いなさいよ」

「結局それが安いか」

「沢山買ってやれば、きっと値段も下がっていくぞ」


 コリンナちゃんの言うとおりかもしれないね。


 今度、街で何冊か植物紙ノートを買うかな。

 結構高いんだけど、背に腹は代えられないかもなあ。

 羊皮紙はかさばって能率が悪すぎる。


 勉強会は五時まで続いて解散となった。

 ああ、よく勉強したなあ。


「つかれましたわ~~」

「頭が沸騰しそうですわ~~」


 試験が不安なのはお洒落組ぐらいか。

 そういや、ロイドちゃんは大丈夫なのだろうか、というか、あいつは聖女派閥じゃなかったな。

 ジュリエットさんは真面目に来て勉強してるし。


「ジュリちゃん、ロイド王子は勉強してるの?」

「しておりませんわ~、ちょっと心配です~」

「勉強会に誘ってみたら」

「勉強はいやだー、って言って、街にすっとんでらっしゃいましたわ~~」


 それはロイドちゃんらしい。


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― 新着の感想 ―
[一言] まあ王族なら成績やら素行がどうであれ卒業は出来るだろうし あんまりにもアレで病気療養にならん限りは
[良い点] 勉強ってやらなければならないと追い詰められるまで、 やらない質でしたので、聖女派閥のみなさんが なかなか横道にそれていくのは見ていて 気持ちがよくわかりました。 でも組み分けに関係する以上…
[気になる点] 「つかれましたわ~~」 「頭が沸騰思想ですわ~~」
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