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第784話 ホルボス山に魔獣が現れる(ガラリア視点)③

 ディラハンはさらに跳んだ。

 サロモン副団長の頭上の遙か上を跳び越して道に着地し、そのまま村の中央に向けて疾走していく。

 甲蟲騎士団は反転して追いかけるが速度が足りない。

 ぐんぐんと引き離されていく。


 やばいぞ。


「ディラハン! 西の村はずれの陣を突破! こちらへ接近してきますっ!」

「くそっ! 迎撃準備!」

「飛び跳ねて立体的に起動していますっ!」

「飛び道具が欲しいな。アイラ、使える蜂は!?」

「三匹ですっ!」


 アイラの蜂は先日の王城襲撃でほとんど打ち落とされて死んでいる。

 次の蜂が育つまでは実力は半分も出ない。


 迎撃はリーディア団長とアイラの二人でこなさないといけない。

 私にはほぼ戦力は無い。

 もしもの時は身をていしてトール王子とティルダ王女を守る。


 ディラハンを追っている虻の視界にアダベルちゃんが見えた。

 前方を塞ぐように地面に降りて、そして……。


 ドーーーン!!


 巨大なドラゴンに変化した。


『この村で無法は、守護竜たる我、アダベルトがゆるさぬっ』


 大きな後ろ姿がここからでも見える。

 アダベルちゃんは大きな口を開けてアイスブレスを吐きだした。


 ゴワーーーーッ!!

 カキンカキンカキン!


 路上が凍り付く。

 だが、ディラハンは右に左に跳んでアイスブレスを避けていく。


『ちょこざいなっ!』


 なんという機動力の魔物なのかっ。

 馬の比ではない速力、鹿の比では無いジャンプ力、背に生えた短い羽で滑空もできるようだ。

 そして背にのった首無し騎士が大剣を振るう。


 アダベルちゃんの片手が宙を切る。

 水の中の花びらのようにするりと逃げる。


 だが、竜馬の機動力でも、ドラゴンの巨体を跳び越す事は出来ないようで、方向を変えて森の中に跳び込んだ。


『逃がすかっ!!』


 さらにアダベルちゃんはアイスブレスを吐くが、ディラハンは後ろに目が付いているように器用に避けて森の奥に駆け込んでいった。


 これは逃げるか。


 ディラハンを追う虻の視点の接続を太くする。

 奴は振り返りざまに短剣を投げて、虻の視界はそこで切れた。

 気取られていたか。


 アートゥが上空から追跡しているようだ。

 一時北に向けて進み、左に曲がって西に逃げ出していく。


「タ、ターゲット、撤退です」


 リーディア団長がふうと息を吐いた。


「アダベルさまが居なかったら危ない所だった」

「えっへっへ、そうだろうそうだろう」


 アダベルちゃんが子供の姿に戻って近くに来ていた。


「でも、危ないので、迎撃には参加しないでください」

「ええーっ! いいじゃんいいじゃんっ!」

「じ、陣を突破されましたね……」

射手アーチャー部隊が欲しい所だな。甲蟲騎士は基本的に陸兵だし」


 しかし、凄い魔物だった。


「で、あれは何? 私たちを狙ってきたの?」


 トール王子が宿屋の食堂から出てきて、そう聞いた。


「解りませんが、その可能性があります。安全が確保されるまで釣りはしないでください」

「「ええーっ!」」


 トール王子とティルダ王女が悲鳴を上げた。


「しょうが無いなあ、邸宅で遊ぼうか」

「せっかく良い天気なのになあ」

「安全第一だよ、トール王子」


 邸宅内なら地下に逃げられるし、野外よりも安全だろう。

 最悪、飛空艇基地に籠城も出来る。


 アートゥが戻って来て地に降りた。


「すいません、森の中で見失いました」

「だ、大丈夫、また村に近づけば、虻に引っかかる……」

「ガラリアが居て助かるな」


 私はリーディア団長に褒められて少し嬉しくなった。


 しかし、あの魔物が何匹も来たら、防げないぞ。


「しかし、竜馬の上にディラハンを乗せたのか」

「あの馬みたいな竜は何?」

「竜種の仲間ですよ、アダベルさま。小型の竜です」

「凄く動きが速かったなあ。凄い奴だ」

「アダちゃんなら勝てるよね」

「うん、私の方がでっかいからな」


 広場に甲蟲騎士団が帰って来た。


「敵性生物は逃亡した。第一隊は続けて工事を行え、第二隊は村の各地を警戒」

「「「はっ!!」」」

「ガラリア、アイラ、私と一緒に邸宅へ、トール王子とティルダ王女も一緒に」

「わ、解りました」

「了解です」

「釣りに行きたい」

「フナ~~」

「安全が第一です」


 トール王子とティルダ王女がしょんぼりしてしまった。

 だが、何よりもお二人の安全が大事だ。


「アートゥ、魔法学園に飛んで、聖女様に報告を」

「了解!」


 アートゥは飛び立った。

 ヘンリーッカは火傷が酷い、アイラにポーションをかけてもらっていた。


「アダベルさま、助かりました」

「良いって良いって。ブレスが役にたって良かった良かった」


 私たちは、トール王子とティルダ王女を中心にして防衛隊形で邸宅まで移動した。


 私は懐から虻を出し、警戒網が薄い部分へと飛ばした。


 飛び道具か、魔法使いが必要だ。

 あの機動力だと陸兵と相性が悪すぎる。

 エルマーさまが居たらと思わずにはいられない。


 アイラの蜂が最大数まで回復していれば面攻撃で捕らえられたのだが。

 まあ、無い袖は振れない、という事だな。

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― 新着の感想 ―
[一言] マコトちゃんの平和はやはり続かなかったか。次から次にろくでもない奴が立ちはだかってきますなあ。しかもどんどん強くなっていく、まるでドラ○ンボール状態であるな。 悪役令嬢さん、息してる? あん…
[良い点] 襲撃。 なにが目的か。 よくわからないところが不気味ですね。 でもディラハンで小型の竜にのって、とは・・・。 これからの展開に期待です!!
[一言] アーチャーに魔法使い?ついでに聖剣使いが何人か位しかあてがないなあ。ここも聖女の領地だし聖騎士の増援とか駐留もするのかな?
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