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第769話 月曜日の朝は過ぎていく

 メイドさん達がごぞごぞしている音で眼を覚ました。

 さて、私も起きてコリンナちゃんとランニングをしよう。


 私はパジャマから体操服に着替えて新品の運動靴を履いた。

 ああ、やっぱり運動靴は軽いなあ。


「なんだ、マコトも運動靴を買ったのか」

「二万ドランクの奴だけどね」

「ふふふ、私のは三万の運動靴だぜ」

「カロルのも三万だったなあ」

「ぬぬぬ、さすがは領主代行、自費で三万とはやるね」


 コリンナちゃんも体操服に着替えて自慢の運動靴を履いた。


 二人で205号室を出て階段を下りる。

 玄関に運動着と運動靴のカロルが待っていた。


「おはよう、マコト、コリンナ」

「おはよー、カロル」

「おはよ、それが噂の三万の靴かあ」

「そうよコリンナ、運動靴は軽いわね」

「今日も半周? もっと伸ばさない?」

「お前は私を殺す気かっ」


 そんな大げさな。


 三人で早朝のグランウンドをわっせわっせと走った。

 コリンナちゃんがへばる地点が若干伸びた、ような気がする。


 とりあえず武術場の近くまで走り、そこから地下に入って、格納庫に行った。

 蒼穹の覇者号に乗り込み、ラウンジでダルシーの入れてくれたお茶を飲む。

 うん、美味しくなってるね。

 茶器は王家のご褒美の茶器で口当たりが気持ちいい。


「私の今度の中間テストの目的は、マコトとカロルの上に行く事だ」

「おおー、負けないぞー」

「コリンナは優秀だから怖いわね」

「マコトはもっと勉強しろっ」

「いやあ、やることが多くてさあ。でもジーンの連中が帰ったから少しは手が空くかな」

「そうね、入学からもめ事続きだったしね。しばらく穏やかな生活を過ごしたいわね」

「もう、三年分ぐらいのもめ事を解決した気がするよ」

「大活躍だったよなあ」

「あと、今回の中間テストは、メリッサさんと、マリリンと、カーチスを何とかしないとね」

「放課後は勉強漬けだな」


 それはなんだか嫌だなあ。


 飛空艇のシャワー室で汗を流して制服に着替えた。

 ああ、さっぱりした。


「さあ、朝ご飯を食べて、登校しよう」

「そうね」


 格納庫から地下道を通って女子寮へと戻った。


 エレベーターホールでみんなと合流して、食堂へ入る。


「おはようマコト、今日のお昼はパンワゴンでるよ」

「おはようクララ、そうかあ、お昼はワゴンにしようかな」

「今日は新作もあるから是非来てね」


 私はカウンターの奥にいるメリサさんに塩ポリッジを頼んだ。

 今日の副食はハムエッグだね。


 トレイにポリッジと副食を取って、ケトルからお茶をカップに注いでテーブルに運ぶ。

 程なくして皆が席に付いた。


「いただきます」

「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」


 ああ、今日のポリッジも美味しいなあ。

 副食の卵の焼いた匂いが好き。


 うまうま。


「来週は中間試験なので、今週は皆、お勉強を頑張りましょう。集会室では毎日勉強会をやりますからね」

「わ、わかりましたわ」

「が、がんばりますわ」


 お洒落組の二人は学力に不安があるからなあ。

 今回の試験はできるだけ頑張ってほしいものだ。


 食事が終わって食器を返却口に片付けてから、みんなで登校する。

 寮を出ると良い天気で気分が良い。

 今日も暖かくなりそうね。


 校舎の玄関ホールに入ると、奧の壁で人だかりがしていた。

 新聞部の壁新聞が新しくなったみたいね。


 どれどれ。

 近寄って見て見ると、『王都に邪竜出現、だが、その正体はアダベル嬢?』という見出しで記事が書いてあった。

 先週のアダベルがヤクザの邸宅を踏み潰した事件と、その正体が学園でも良くみかけたアダベル嬢であること、そして、黄金週間に彼女が洗礼を受けて聖心教教徒になる事が書かれていた。


「よく調べてるなあ」

「大変だったのですよ。聖女さまがちっとも情報を流してくれないから」


 振り返ると新聞部のレイラさんが膨れていた。


「あはは、洗礼を決めたのは教皇さまで私じゃないからね」

「来週は、覇軍の直線号爆破事件についての記事を書くつもりなので、今度取材をさせてください」

「話しても良いけど、ジーン皇国関係は政治的に色々あるからねえ。ジェラルドにでも相談しなさいよ」

「それもそうですね」


 大人の新聞にも載らないスクープを学園の壁新聞がすっぱ抜いてもなあ。

 当たり障りのない学園記事を載せた方が良いと思うのよ。


 私はレイラさんに別れを告げて階段を上がった。

 B組の前でお洒落組とコリンナちゃんと別れ、カロルと剣術部の二人と一緒にA組を目指す。


「おはようマコトくん、やっと覇軍の直線号がいなくなって静かになったね」

「おはようございます。ディーマー皇子はトラブルの元でしたからね」


 ケビン王子とジェラルドが私の席に近づいてきた。


「マコトくんのお陰でいろいろと助かったよ。ありがとう」

「なりゆきなので、お礼にはおよびませんよ」

「これで、気持ちよく領地を受け取ってくれれば最高なのだが」

「領地が増えると内政が大変なのでいらん」

「有能な派閥員が多いのだから楽勝だと思うが」

「学校に行きながら行政するのは時間がね」


 ジェラルドは自分の才覚と同じだけ他人も才覚があると思ってるからなあ。

 お前とタメを張れるのはコリンナちゃんぐらいだぞ。


 アンソニー先生がやってきて、ホームルームを始めた。

 来週から中間テストだからしっかり勉強をしておきましょう。との事だった。

 まあ、A組にいるのは皆勉強好きな生徒なので大丈夫でしょう。

 C組は元より勉強しないクラスだし、問題はB組よね。


 始業の鐘がなり、月曜日の授業は始まった。

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― 新着の感想 ―
[一言] いつもの風景が戻ってきましたね。ホッとします。 そしていつもの朴念仁なジェラルド君、そういうとこだぞ。人の上に立つ人間になるならもう少し他人の視点も持たないとね。目の前にアバカスの君がいるの…
[良い点] 本当にトラブルのない穏やかな日ですね。 王子様はマコト様に領地をあげたがるし、 ジェラルドは完璧を求めるし。 いろいろと振り回されてますが、 なんだかマコト様が楽しそうなのでよいです。 こ…
[一言] その派閥も卒業までだからなぁ…卒業したあとも内政はしなきゃならんし
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