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第754話 エバンズを図書館地下に案内する

 派閥のみんなと別れて、エバンズを図書館に案内した。

 お養父様とうさまが見つけた蒼穹の覇者号の建造ルポタージュは地下の書庫かな。

 アダベルもクロを持ったまま付いてくる。


「アダベルも本を借りるの?」

「ルカっちにドラゴンの絵本を探して貰う~~」


 学園の図書館に絵本はあまりないかもね。

 画集があるかな?

 ああ、印刷技術が無いから前世の画集的な物も無さそうだね。


 三人で階段を上がって図書館に入った。

 貸し出しカウンターでルカっちが本を読んでいた。


「ルカっち、ビアンカさまの蔵書の飛空艇の本は地下?」

「地下、三十三番書架の中段」


 さすがはルカっちだぜ。


「ルカっち、ドラゴンの絵が一杯の本はどこ?」

「ドラゴンかあ……、一階の児童書の棚の四段目、『図解、世界のドラゴン』があった」

「やったあっ! 借りるのはどうすればいい?」

「君は学生じゃ無いから借りられない、図書館内で読むなら問題はないよ」

「むうっ、しかたがないか」


 ドラゴンの本あるのかー。

 しかも図解。


「船でトールとティルダと一緒に読みたいのになあ」

「私のカードで借りるわ」

「わあっ、マコトありがとうっ」

「本当はいけないのだが、まあ、ヨシとしよう」


 アダベルは一階にすっ飛んで行って本を持って来た。

 綺麗な絵が描いてある本ね。

 私はルカっちに貸し出し処理をして貰った。


「おおっ!! 私が書いてあるっ、ほらエバンズっ」


 アダベルが開いたページには邪竜アダベルトが牧場を襲う絵が描いてあった。

 あっはっは、すごく怖い竜に描いてあるなあ。


「これがアダベルなのかい?」

「そうっ、よく牧場を襲った、牛食べたっ」


 エバンズはあまり本気にしていないみたいだね。

 無理も無い。


「ルカっち、ありがとーっ」

「本を汚しちゃだめだよ」

「わかってるっ」


 階段を下りていく私たち二人の後をアダベルはどたたと付いてきた。


「しかし、大きい図書館ですね」

「アップルトンの古い書物が集まっている感じよ」


 地下書庫のドアを開けて螺旋階段を下りる。

 私たちが入ると自動的に灯りが点いた。

 エイダさんが点けてくれたっぽいね。



「これは凄いっ!!」


 地下に並ぶ書棚を見てエバンズが声を上げた。


「うちのお養父様とうさまが適当に積んであった書籍の山を整理したのよ。ええと三十三書架、ここだ」


 おお、この書架は飛空艇と先史魔導文明のオーパーツの本が並んでいるね。

 蒼穹の覇者号のルポもある。


「おおお、これは轟滅の踊り手号の建造録! こっちは高天の射手号の設計録!! ずっと探していた本がこんな所で!!」

「有名な船なの?」

「どちらも歴史的な設計の船です。ああ、凄いなあっ」

「ソファーもテーブルもあるから、ゆっくり読んでいってね」

「ありがとうございます。これは嬉しいっ」


 さっそくエバンズは本を沢山抱えてテーブルに持っていった。


「私は船の中で読む~~」

「それじゃ、船まで行こうか」

「行こう行こう」

「エバンズ、こっちの通路は飛空艇の格納庫に繋がっているからね」

「ありがとうございます」


 と言っても、あの感じだとずっと本を読んでるだろうなあ。

 食事もしないだろう。

 あとでダルシーにご飯でも運ばせるかな?


 私はアダベルと手を繋いで図書館通路に入った。

 二人でトコトコと地下通路を歩く。


 メイン通路を格納庫まで行くと自動で開いた。

 エイダさん、いつもありがとう。


 蒼穹の覇者号の甲板にディーマー皇子が出ていて、こちらを見て船内に引っ込んだ。

 で、ハッチから出てきた。


「聖女よ、暇だ」


 あんたは、アダベルと一緒の事を。


「知らぬ」

「遊覧飛行をしようではないか、山の方とか」

「魔力が勿体ないよ。本でも読んでなさいよ」

「あまり読書は好きでは無いのだ、絵を描こうにも道具がなあ」


 私は収納袋から羊皮紙と木炭を出して渡した。


「よし、聖女マコトを、お前を描いてやろう」

「え、やだ、モデルとかだるい」

「そう言わないでくれ」

「マコトも絵が上手いから、お互い描きっこをすれば良い」

「おお、お前も絵を描くのか」

「まーねー」

「是非描いてくれ、そして我も描く!」


 んもう、面倒臭いわね。


「さっそく部屋に行って描こう、思い出になるぞ」


 私たちはタラップを上がって船内に入った。

 廊下にジェシーさんがいた。


「ジェシーさん、トール王子とティルダ王女は」

「まだお昼寝ですよ」


 幼児は良く寝るなあ。


「よし、スケッチだスケッチ、それを元に我は本国で油絵にしよう」


 まあいいか、ディーマー皇子とグレーテ王女のスケッチを残しておいても。

 ディーマー皇子に誘われて私とアダベルは部屋に入った。


「あら、聖女さま、アダベルさま、こんにちは」

「こんにちわ、グレーテ」

「こんちゃー」


 ディーマー皇子はさっそく座って私を描き始めた。

 意外に迷いの無い手つきだな。


 私も羊皮紙を出して木炭でディーマー皇子を描き始める。


 シャッシャ。


「おお、上手い」

「あら、凄いですわね」

「まあねえ」


 ディーマー皇子が描けたので、グレーテ王女を描いてみる。

 王女は美人なので絵になるね。


「どうだ!」


 皇子がスケッチを見せてきた。


 おお、ディーマー皇子、絵が上手いな。

 しっかりとした描線で素描の私が笑っていた。


「まあ、素敵、お兄さま、国に帰ったら油絵にしてくださいまし」

「そのつもりだ、聖女の絵も見せろ」

「ほい」

「おおおっ!! 私への愛があふれるようだっ!! というか普通に上手いなっ!!」

「私も私も、描いてくれ」

「あいよ、クロ持って止まってて」

「こうかっ」


 さらさらさらーっとアダベルも描いた。

 クロ付き。


「にゃーん」


 満足げにクロがイケボで鳴いた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 飛空艇のレポとか。 めっちゃ読みたいですね。 自分もそういう技術の塊の本とか好きなので。 エバンズさんの気持ちわかります。 しかしディーマーくん。 絵、うまいのね。 まぁ、皇子だからそつな…
[一言] この絵が後の世で両国の美術館に並ぶんですね。わかります。「蒼穹の覇者に佇む皇帝○世」とか「聖竜と妖猫」みたいなタイトルで。
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