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第753話 学園の中庭でお昼を食べる

 馬鹿な事で時間をくってしまったが、ナージャの襲撃も無く学園に戻ってまいりました。

 私に頭を撫でて貰えなかったリンダさんが激怒して奴らを潰すと言っていたから、警備騎士団と聖堂騎士団の挟み撃ちで馬鹿どもはすり潰される事だろう。


 しかし、地獄谷といい、メイド丸といい、ヤクザのコスイ商売が流行っているなあ。

 やだねえ。


 中庭にみんなで行って敷布を引いて座り込む。

 自然公園の方が開放感があるけど、学園の中庭もなかなか良い感じ。

 さっそく亜麻布袋からパンを取り出してぱくつく。

 ああ、聖女パン甘くて美味い。


「今日の午後は何かするのか?」

「学園から出られないなあ」


 特に用事は無いんだが、テロが怖いので学園から出られないな。

 せっかく予定が無い土曜の午後なのに。

 ああそうだ。


「午後は集会室で勉強会です」

「うぇ~~」


 カーチス兄ちゃんが情けない声を出した。

 君は勉強が嫌いだなあ。


「中間テストも近いしね」

「仕方が無いか」

「がんばりますわ……」

「良い点を取らなくては……」


 お洒落組もローテンションだな。


 そういやエバンズはどうしたかな。

 あとで廃教会の地下に見に行ってみるか。

 あの人は飛空艇が好きだから、蒼穹の覇者号を案内して自慢したいが、ジーン皇国の連中がいなくなってからだな。


 もぐもぐ。


「うおー、マコトーっ!!」


 そんな事を考えていたらアダベルがこちらに走ってきた。

 後ろにはエバンズがいるな。

 片手にはクロだ。


「アダベル、どうしたの」

「暇だ、飛んでない飛空艇はつまらないっ」

「トール王子とティルダ王女は?」

「昼寝してるーっ」


 エバンズがこちらに来た。

 お風呂に入ったら、イケオジになったな。


「こんにちはエバンズ、お昼は?」

「頂きました」

「何してるの?」

「学園見物ですね。いやあ大きな学園です」


 なんか顔から憑きものが落ちた感じだね。

 エバンズは優しい表情になっていた。


「暇だ暇だ、そうだエバンズ、私の籠を見ないかっ、大神殿に置いてある」

「籠というと?」

「竜になったときにお客を乗せる籠だ、マコトに作って貰った」


 エバンズはいぶかしげな表情でアダベルを見た。

 アダベルの存在は、飛空艇博士の理解の範疇を超えているようだ。


「駄目よ、今日は大人しくしてなさい」

「えー、暇だよう」


 サイズのお子様二人と一緒に昼寝してれば良いのに。


「地下室でちゃんと眠れましたか?」

「はい、居心地の良い部屋ですね」

「ジーンの連中を追い出したら、飛空艇で泊まっても良いし、どこかに部屋を取っても良いわね。王都ではホテルだったの?」

「そうですね、ホテル住まいでしたよ」


 私は少しカロルの方にずれて、アダベルとエバンズが座れる場所を作った。

 アダベルはでんぐり返しをして座った。

 エバンズは普通に座った。


「マコト、なんかくれ」

「アダベル、お昼は?」

「食べたー、でももっと食べれる」


 私は収納袋からソバボウロの袋を出してアダベルに渡した。

 彼女は歓声を上げてもっしゃもっしゃ食べ始めた。

 ミーシャさんがお茶ワゴンを引いてきて、エバンズとアダベルにお茶を渡した。


「ありがとうございます」

「ごゆっくり」


 クロが近寄ってきたので私は背中を撫でた。

 ふわふわ~~。


 エバンズは目を細めて、派閥員がランチを取る風景を見ていた。


「博士、あんたはエンジンがあれば飛空艇を建造できるのか?」


 カーチス兄ちゃんがエバンズに話しかけた。


「ええ、ですが、動くエンジンがなかなかありませんよブロウライト卿」

「ダンジョンで一発掘り当てたいな、派閥の二号機だ」

「そんなに何隻もいらないよ」

「あると便利だぞ」

「便利だけどコストがね。光魔法エンジンでも無いと個人では持てないよ」

「あの小型飛空艇は火風魔石エンジンではないのですか?」

「光魔法を貯めて動かしてるわよ。コスト掛からなくて良いけど、私が魔力入れすぎでふらふらになるよ」

「それは凄い、後で見せて下さい」


 やっぱり光魔法エンジンって珍しいんだな。

 勇者、聖女専用機だ。


 私は収納袋から蒼穹の覇者号のマニュアルを出してエバンズに渡した。


「メンテナンスをお願いするから、勉強しておいて」

「おおっ、これは、なんと……」


 エバンズは目をらんらんと光らせてマニュアルを読み始めた。


「光エンジン、なんという速力! これは凄いっ」


 うん、あれだ、この人、ホルボス山に泊まってる学者さんと同じ生き物だな。

 飛空艇オタクだ。


 アダベルはソバボウロにも飽きたのかクロを抱いたまま敷布の上をごろごろと転がっていた。

 メリッサさんとマリリンが飴ちゃんを与えていた。

 彼女はバリバリと飴をかみ砕いた。


 みんな食事が終わってのんびりとしている。


「エバンズ、あとで図書館に行く? たぶん地下倉庫に飛空艇の本があった気がするよ」

「行きたいです」

「私は面倒臭い」


 いやアダベルは誘ってないよ。


「集会室で遊んでなさいよ」

「みんな勉強してるのでつまらない。大神殿に行っちゃだめ?」

「明日まで駄目よ」

「なかなか人生はままならないなあ」


 いや、あんたは普通にフリーダムだと思うけどね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] まだまだテロリスト潜伏中の都。 なんていうか自由にならないのはちょっと腹が立ちますね。 アダベルがぶー垂れるのもわかる気がします。 普段が自由な分、それがいざ制限されると ものすごく不便に…
[一言] アダちゃんのフリーダムさには誰も勝てないんだぞ。そろそろ自覚するべきよアダちゃん。 ブロウライト家は辺境伯なんだから飛空艇一隻位あってもいい気がしますけどね。国境に近いところにそんなのがある…
[良い点] アダちゃんはフリーダムで可愛いなぁ♪ [一言] >私に頭を撫でて貰えなかったリンダさんが激怒して奴らを潰すと言っていたから、警備騎士団と聖堂騎士団の挟み撃ちで馬鹿どもはすり潰される事だろう…
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