第751話 午前の授業を粛々と聞く
アンソニー先生が来てホームルームだ。
昨日の地下避難について語っていたぞ。
何か天災などがあった場合、また地下道に避難する事もあるので良い訓練になりましたね、との事だ。
王城にも地下があるけど、地下牢だったな。
避難とかの時はどうするのだろうか。
どこかに抜け道とかがあるのかな?
ありそうだね。
さて、土曜日の授業である。
四コマ、座学だね。
数学、地理、国語、魔術理論である。
地理はジーン皇国を含む北方の国々の授業だった。
ジーンは帝国だけあって広い。
そこから北に行くと魔王領が広がっている。
魔人と呼ばれる魔石がある人類の版図だね。
体内に魔石がある分、一般の人間よりも魔力が高く、身体機能も高いんだ。
ただ、個々の能力は高いが、協力するという概念が弱いので連携があまり出来ないため、集団戦になると人類とどっこいどっこいなのな。
百年に一度、魔王さんが生まれて人類の版図に攻めて来たりして戦争になったりするのだな。
んで、魔王軍が来ない平和な時はジーン皇国が小国を虐めて戦乱が起こったりするのだ。
人類は戦争好きだよなあ。
国語、魔術理論と授業は進む。
やっぱりアップルトンで一番の学校だから先生方も教え方が上手いよね。
どの授業も面白い。
鐘が鳴って今日の授業は終わり。
アンソニー先生が来て、ホームルーム。
日曜日にジーン皇国の皇太子と王女が帰るので第三グラウンドが空くと伝えていた。
ああもう、せいせいするぞっ。
早く帰れっ!
終業の鐘がなり放課後である。
「本当にキンボールさんには今回もお世話になったね」
ケビン王子とジェラルドがやってきた。
「褒美はいらん」
「国王からの褒美をそんなに嫌がるのはお前だけだな」
「領地が広がると面倒臭い」
「でも、下賜されたらお世話するんでしょ、キンボールさんは気が良いから」
「ぐぬぬ」
「王国としても、お前の領地になると教会が色々とインフラを整えてくれるのでお得なのだ」
「教会系の設備が良くなるのは助かるね」
「こいつは飛空艇もあるし、知り合いに竜もいるから、もっと遠くの都市で良いのでは?」
「ああ、それはあるねえ、マーラー領ぐらいまでの距離なら日帰りできるし」
「ホルボス山以外いらんのですっ!」
学生の身分で領地の内政ばっかりできるかいっ。
カロルも領主代理だけど、領内の事は家令さんに頼んでいるだろうし。
「普通の貴族の人が聞いたらうらやましくて悶死しそうだわね」
「そんなにみんな領地欲しいの?」
「自領は一クレイドルでも広く欲しいのが人情というものだ」
めんどくさいなあ。
ああそうだ。
「領地はいらんから茶器をくれ」
「「「?」」」
「茶器は褒美にならんぞ」
「褒美になるような茶器って、ダイヤでも付いてるのかな?」
「あまり聞かないですね」
くそう、褒美には茶器か刀剣と戦国シミュレーションゲームでは決まっているのだ。
こっちの世界ではあんまり骨董品とか流行ってないのかな?
「東洋だと、領地の代わりに茶器とか刀剣とかを送るらしいよ」
「そんな価値のある茶器は無いなあ」
「刀剣も、聖剣がキンボールさんの近くにゴロゴロしてるしね」
「ふむ、しかし、茶器や刀剣を下賜するのは良いかもしれませんな。お手軽ですし」
「ドワーフ産の武具や名馬も良いかもね。これは良い事を聞いた」
「領地はどこかが取り潰しにでもならないと出てこないですからな。無い時は王領を切り取らなければなりませんし」
お、鍛冶部の部長の仕事が増えるかな。
王都に武具ブームとか起こればいいねえ。
A組にカーチス兄ちゃんを筆頭にB組の派閥員たちがやってきた。
「マコトー、今日の昼はどうする?」
「うーん、ひよこ堂でパンを買って」
「お、自然公園か、なんか久しぶりだな」
「学園に戻って中庭で食べる」
「なんでだ」
「ナージャがまだいるから」
あ、と言ってカーチス兄ちゃんは眉を上げた。
「そういや、お前もターゲットだったな、忘れてたよ」
「そうね、パンを帰って学園の中で食べた方が安全だわ」
「ではそうしようではないか」
ジェラルドが割り込んできおった。
「おまえらは危ないから上級レストランとか行けよ」
「い、良いでは無いか、オニオンベーコンが呼んでいるのだ」
ジェラルドの癖にエルマーみたいな事を言いおって。
そして、だまってうなずくなエルマー。
「あ、そうだ、コリンナちゃん、ジェラルドが今晩の舞踏会、エスコートしてくれるって」
「あ、ありがとうございます、ジェラルドさま」
「かまわないさ。凄い弓矢の魔法をビアンカに貰ったんだって?」
「は、はい」
にやついたジェラルドと頬を赤く染めたコリンナちゃんを見て、ケビン王子がニマニマしていた。
さて、ひよこ堂に行こうか。
テロの可能性があると行動に制限が出来て嫌よねえ。
しかもナージャは狙撃屋だからなあ、どこから狙われるか解らないので見通しが良い自然公園はNGなのであるよ。
私たちは派閥員を拾って校門から外に出た。
天気も良いのになあ。
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