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第748話 晩餐はガラガラの食堂で食べる

 湯船に浸かりなおして一息つく。

 というか、お腹が空いたなあ。


 浴槽から出て脱衣所に入った。

 ダルシーがバスタオルで全身を拭いてくれて、そのあとにドライヤーでブイーーンであるよ。

 あー、ドライヤーを開発して快適だね。


 よしよし、髪が乾いたらつやつやピカピカである。


「いつもありがとう、ダルシー」

「いえいえ、お礼は無用です、マコト様」


 ダルシーはふんわりと笑った。

 もう、便利で気が利くからダルシーが居ない生活とか考えられないね。

 一家に一人ダルシーは必要だ。


 お風呂を上がって来たコリンナちゃんと、ヒルダさん、お洒落組と一緒に大浴場を後にする。

 ああ、さっぱりした。


 エレベーターホールに行くと誰も居なかった。

 時計を見るとまだちょっと早いか。

 しかたがないのでロビーの椅子でのたのたすることにした。


 エバンズはちゃんとご飯を食べたかな。

 おっちゃんで博士なのに、なんで呼び捨てにしてしまうのだろう。

 なんとなく親戚のおっちゃん風味だからかな。


「明日の舞踏会が何事も無ければ、今回の事件は終わりですわね」

「なんだか世界がぐっと身近になった気がいたしますわ」

「ジーン皇国とは油断のならない国ですわねえ」

「どこの国も似たようなもんだよ」


 コリンナちゃんがシニカルに言い放った。


 まあ、中世だからねえ。

 全体的に世界が野蛮だね。

 前世では産業革命が起こって、植民地支配とかが起こったけれど、こっちの世界ではどうなのかな。

 昔、飛空艇があった分、前世よりも世界の事をみんな知っている感じだな。

 帆船で、東洋とも、アメリカにあたる大陸とも細々と貿易があるのだが。

 色々と今後の歴史も違うのだろうなあ。


 お、エレベーターが止まって、カロル達が出てきた。


「マコトは、なんだかくつろいでいるわね」

「たまにはね~~」


 さて、みんなでご飯を食べよう。


 食堂に入るとガラガラであった。

 三十分の違いで凄いね。


「あ、マコト、悪かったね」

「いいっていいって、今日は何?」

「今日はビーフシチューだよ、大盛りにしてあげるよ」

「ありがとう、嬉しいな」


 なんか得した気分だな。


 カウンターにトレイを滑らせてお料理を乗せて行く。

 おお、メリサさんがシチューをなみなみと注いでくれた。


 今日はビーフシチューに、トマトソースのペンネ、オニオンサラダに黒パンだ。

 いやあ、良い匂いだなあ。


 ケトルからカップにお茶を入れてトレイにのせてテーブルまで運ぶ。

 ああ、今日は色々とあったなあ。


 皆さんが席に付いたのでお食事のご挨拶。


「いただきます」

「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」


 パクリ。

 んーー、とろりと牛肉が口の中でほどけて美味しい。

 お肉も沢山入っているぜ。

 ペンネもプリプリしていて美味しい。

 あー、幸せ。


「今頃、アダベルたちはお休みかしらね」

「子供は寝るの早いからね」


 明日は土曜日かあ。

 いつもなら孤児院に行くのだけれど、今週は行けないなあ。

 まあ、今週はアダベルの籠とか、ホルボス山行きとか、ちょこちょこ孤児院の子供と遊んだから大丈夫かな。


 はー、美味しかった。

 イルダさんのシチューは本当にハズレがないなあ。


「諜報報告です。飛空艇の爆破は領袖の活躍でなんとか回避できました、今回の襲撃ではあれがメインの計画と思われます。ですがジーン皇国の『城塞キープ』は三班まるまる残っていますので、いぜんとして注意が必要だと思われます」


 ヒルダさんが諜報報告をしてくれる。

 私たちは食後のお茶を飲みながら聞いていた。


 『城塞キープ』の工作は三班とも陽動であったみたいだけど、まだ最終日が残っているので安心は出来ないね。

 ナージャも、ザマスも、悪口触れ回り隊も残っている。

 あと『肉屋ブッチャー』もね。


「ナージャがディーマー皇子かグレーテ王女を狙う危険は?」

「もはや無いと思われます。ターゲットの二人は明日の舞踏会まで蒼穹の覇者号の中で守られていますし、舞踏会会場は王城です、かりに王城内で狙撃したとして、逃げるのは困難です。ナージャが我々に捕まった場合、ジーン皇国の暗殺主謀の証拠となりますので、あまり利口なやり方ではないですね」


 そうだよなあ、狙撃は出来るかもしれない。だけど逃げにくいからなあ。

 まあでも、学園と王城に甲蟲騎士団を引き込んだ奴がいるから安心は出来ないな。

 意外に王城の警備はザルだし。


「明日はコリンナちゃんも舞踏会に出なさいよ」

「うぇ~~?」

「狙撃に対して、コリンナの磁気誘導魔法は有効だわ」


 カロルが私の意図をくみ取って言ってくれた。


「相手がいな~い」

「明日ジェラルドに聞いてみるよ」

「なら出る」


 まったく、コリンナちゃんは現金だな。

 エーミールも来て欲しいのだがあいつはポッティンジャー公爵派だしなあ。

 王家の行事に協力すると、あいつが派閥で肩身が狭くなるだろう。

 なかなか面倒臭い事だ。


 さあ、ここを乗り切れば、日曜日はカロルと音楽会デートで、帰りに百貨店でアイスクリンを食べれる。

 がんばろうではないか。

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― 新着の感想 ―
[一言] 本日のブラック聖女派閥劇場 『スープの具材』 メリサ「今日はビーフシチューだよ、大盛りにしてあげるよ」 マコト「ありがとう、嬉しいな」 メリサ「肉屋のオヤジさんが良い肉が入ったって言って…
[一言] 舞踏会となればコリンナもとうとう眼鏡は外すのかなとも思ったけど狙撃対策だから外せなかったわ。
[一言] 一家に1ダルシーとな? カロルの錬金室でポッドの中にプカプカ浮いてたりして。 「ダルシリーズッッ!? 完成していたの?」 前世組ならこういう遊びも可能かもしれない。
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