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第747話 お風呂に入りながら爆破計画を振り返る

 生徒達が居なくなった地下道はがらんとしているね。

 

「カーチス、エバンズを男子寮に連れていって、ご飯を食べさせてお風呂に入れてあげて」

「わかった、行こうぜ博士」

「何から何まで申し訳無い」

「いいのよ、うちの派閥に入ったんだから、身内よ。寝泊まりは廃教会に部屋があるからそこで泊まってね」


 ソファーがあるから寝具を持っていけば寝られるだろう。

 さすがにジーン皇国の連中と共に蒼穹の覇者号に泊めさせるのは気の毒だし。

 まあ、船室も空いてないしね。


「ダルシー」

「はい、マコトさま」

「蒼穹の覇者号から寝具を出して廃教会の地下室に持っていって」

「かしこまりました」


 ダルシーは格納庫の方に向かった。


 派閥の男子と共に武術場口へと向かうエバンズを見送って、女子組はぶらりぶらりと女子寮に向けて歩く。


「これでジーン皇国の諜報機関の攻撃は終わりかしら?」


 カロルが声を掛けてきた。


「明日一日あるけど、何かあるかな? ナージャとザマスさんがまだ居るけど」

「狙撃手と暴れメイドね……、何をするのか見当もつかないわ」


 明日の夜の舞踏会があって、日曜の朝にはディーマー皇子どもは覇軍の直線号でお帰りだ。

 とっとと帰って欲しいね。

 これだけもめ事を満載に持って来た表敬訪問相手も珍しいだろう。


 階段を上がって女子寮に戻る。

 そういやお風呂も浸かっただけで出てきてしまったなあ。

 食後にまた入ろうかな。


 一階に階段であがり、食堂を見ると、うっは、混んでるなあ。

 クララがこっちを見てやってきた。


「ごめん、席がいっぱいだよ、三十分後にしてもらっていい?」

「大丈夫よ、んじゃ、お風呂入ってくる」

「悪いね、学園の危機を救ってくれた救世主なのに」

「まあ、食堂は早い物勝ちだしね」


 いつもは一時間の幅で徐々に来る生徒が一気に押しかけたので満席になったのだな。

 三十分すれば空くでしょう。


「お風呂に行く人!」

「「「「はーい」」」」


 お洒落組とヒルダさん、あとコリンナちゃんか、カロルは首を横に振ってる。


「錬金をちょっとしてからまた来るわ」


 相変わらずつれないなあ。

 一歩進んで二歩下がる感があるね。

 まあ、ゆっくりと距離を詰めようではないか。


 再び階段を下りて地下大浴場へ。

 脱衣所に入ると、あまり人は居ないようだ。

 先にご飯よねえ。


 ぱっぱと服を脱いで、かけ湯をして湯船に浸かる。

 ああ、極楽極楽。


「ああ、今日は疲れた」

「コリンナちゃんもお疲れ様」

「鉄火場は初めてで怖かった~~」


 まあ、一般の女生徒は生きるか死ぬかの鉄火場には出くわさないよな。

 なんで、私は入学してから鉄火場続きなのだろうか。

 もうちょっとのんびりさせてもらっても良いと思うんだよ、女神様。


「しかし、なぜエバンス博士を『肉屋ブッチャー』は始末しなかったんだろうか」

「どういうこと、コリンナちゃん」

「博士を消しておけば確実に覇軍の直線号を爆破できたのに、つめが甘い気がする」

「さすがに領袖が一瞬で博士を寝返らせて協力させるとは思っていなかったのでしょう。そして、生かしておいたのは実行犯として捕まえさせる為ですね」


 ああ、そうか、実行犯がいないとジーン皇国の自作自演を疑われるからか。

 甲蟲騎士団は死んでも解りやすいけど、エバンズは生きてないと顛末がわからないからね。


「なんでそんなややこしいまねをしてまで戦争をしたいかね」

「ジェイムズ翁が死んで二年、そろそろ良さそうだと動きはじめたのですわね」

「ポッティンジャー公爵家があれだけ麻薬で大失点を重ねたのに、なんで取り潰しとかに動かないのかなと不思議だったんだけど、ジーン皇国の事を知ると解るね」

「そうですわ、ポッティンジャー公爵家を取り潰すと、これ幸いとジーンが攻めて来ますから」


 いろいろと面倒臭いねえ。


「ポッティンジャー公爵家は徐々に力を削って行く感じになるかと思いますわ。ジーン皇国に関しては、ディーマー皇子が皇帝に即位すれば、少しは両国の関係も良くなりそうですけれども」

「大丈夫、マコトと知り合ったから奴は皇帝になれるよ」

「なんでまた?」


 コリンナちゃんはにっこりと笑った。


「お前はなんか不思議な運の好転力がある、みんな色々な方向に運命が変わるんだ。カロルはもちろん、メリッサさんとか、マリリンとか、ヒルダさんとかもな」

「そうかー?」

「本当ですわよ」

「マコトさまが中心になって台風みたいに状況が動きますわ。マコトさまは中心におられるから解らないのですよ」


 よせやい。

 私は福を呼ぶ招き猫じゃないぞ。

 それはメリッサさんの勘違いだ。


 さて、体を洗ってもらおうと、湯船からでるとダルシーが出てこない。

 あ、寝具の移動を頼んだのだった。

 仕方が無い、自分で洗うか。


 と、思ったらダルシーが浴室に入ってきた。

 なんだか息が荒い。

 格納庫から走ってきたっぽい。


「お、遅れました」

「いや、今、洗おうと思った所よ」

「寝具の方は廃教会の地下室のソファーの所においておきました」


 うんうん、ちょっとの間はエバンズに辛抱してもらおう。


 その後、ダルシーにみっちり洗われた。

 人に体を洗われるのは、まだまだ恥ずかしいなあ。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] もし爆破阻止に失敗してその上実行犯が確保できなかったらどうなっていたかと考えたとき、 「アップルトン王家に提供された魔石を積み込んだら、船が爆発した」 という文脈の話がどうしても出…
[良い点] なむなむ(-人-) [一言] 高度な政治的取引処理済みになるんだろうけど、エバンズ博士は一応、事情聴取あるんだろうなぁ…。 ジーン皇国は皇弟と宰相の要塞をなんとか…皇子にはタンキエムがつ…
[一言] お風呂の後のご飯もいいものですよ、と風呂→ご飯派のワイが言ってみる。 台風の目というか、騒動の中心に居る人って案外自然に振舞ってるだけだったりするのよね。回りが呆れるところまでがセットなのは…
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