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第741話 ホルボス山を目指すザマス(ザスキア視点)

Side:ザスキア


 ワタクシは今、豪華馬車に乗ってホルボス村というしけた場所を目指しているザマス。

 豪華馬車に似合うように貴婦人のドレスを着ているザマス。

 今のワタクシは貴族の奥方、に化けているザマス。

 我ながら惚れ惚れするような変装ザマスわね。


 一緒に乗っているのは下働きに化けた『城塞キープ』の工作員ザマス。

 ホルボス村に潜り込んで、トール王子とティルダ王女めを捕まえてジーンに戻るザマス。


 馬鹿聖女に飛空艇から下ろされてから人里に戻るまで朝まで掛かったザマス。

 その後、皇弟閣下の連絡員と落ち合い、命令を聞いたザマス。


 皇弟閣下は大変お怒りになっていて、サイズの遺児を連れ戻すまで帰って来るな、と言われたザマスね。

 ドルガンツ城では処刑されてもおかしく無い失態ザマしたから、ほっとしたザマス。

 早馬で必死に走ってアップルトンに入ったザマス。

 この国に入ったのは十年ぶりぐらいザマスね。

 あいからず小綺麗で癪に障る国ザマス。


「やや、あれが聖女の飛空艇か」

「そうザマス、憎たらしいザマスねっ」


 馬車の窓から空に小型飛空艇が見えたザマス。

 小娘のくせに個人で飛空艇持ちだなんて生意気ザマス。


 とはいえ奴らは王都の方へ飛んで行くようザマスね。

 しめしめ。


「あの飛空艇は武装がついているのか?」

「艦首に魔導機関砲が付いているという噂ザマス。他にも有るらしいザマスね」

「武装飛空艇とは……、あれ一隻で戦争が変わるな」

「あんな物をアップルトンに持たせておいてはいけませんね。ジーン皇国こそ持ち主にふさわしい」

「まったくだ、早く戦争をして奴らから取り上げなくてはならないな、地域の平和の障害だ」


 まったく同感ザマス。

 『城塞キープ』の工作員は若者ばかりで良いザマスね。

 まっすぐな若者たちざます。


「なぜアップルトンにばかり、しかも聖女だけ三代続くのだ、不公平では無いか」

「自分も話を聞いた時は嘘だと思いました。あんまりにも作為的であろうと、ですが本物のようですね」

「きっとビアンカの生まれ変わりの性悪聖女ザマスよ。本人を見ましたざますが、なんだか生意気そうで傲慢なガキざましたねえ」

「とりあえず、聖女もジーンにお連れしたい、最悪の場合は死んで貰うしかないな」

「地域のバランスが崩れますからね。こればかりは女神さまの思し召しでも許せません」


 おっと、馬車が止まったザマス。

 なんザマスか。


「バンホーテン伯爵夫人、何か工事の獣人が……」


 御者をやっている工作員が私に声を掛けて来たザマス。

 何事ザマス?

 獣人風情が……。


 扉を開けて馬車を降りると、なんだかヘルメットを被った猫の獣人が道を掘り返しているザマス。


「ここは工事中にゃ、先には村が一つしかないにゃ、引き返せにゃ」

「ホルボス村に用事があるザマス。さっさと通すザマスよっ」

「何の用事にゃ、お貴族様に関係がある物は何にも無い村にゃぞ」


 なんザマスか、この獣人は? 人間様と対等に口をきくだなんて教育がなってないザマス。

 皇国では獣人は厳しく躾けられて、こんな口を人間様にきいたら市民が集まって袋だたきザマスよ。


「アップルトンでは獣人にも人権があります、ザスキアさま」


 若者工作員が小声で教えてくれたザマス。

 いけないいけない。

 ここは業腹ザマスが、調子を合わせるザマス。


「お前には関係の無い事ザマス! 早く道を空けるザマスッ!!」

「関係あるに決まってるにゃ、我々は聖女さまに工事を頼まれてるんにゃ、どこの貴族か知らないが、帰れ帰れにゃっ!!」

「ザスキアさま……」


 若者工作員が呆れたような声を出したザマスが、獣人に舐められるなぞ、まっぴらごめんザマスよっ!!


「バンホーテン伯爵夫人がここを通ると言ってるザマスっ!! お前達っ、この見苦しいケダモノどもを排除するザマスよっ!!」

「「「はい、奥様」」」


 『城塞キープ』の工作員たちが馬車を降りて来たザマス。

 この者達は破壊工作班なので腕っ節はとても強いザマス。

 相手は十人ぐらいザマスが、猫獣人ばっかりザマスね。

 赤子の手をひねるほどの簡単な相手ザマス。


「気は進まないが伯爵夫人のご命令だ、恨むなよ」

「逃げるなら今のうちだぜ、ちびちゃんたちよお」

「あぁん?」

「舐めてんじゃねえにゃぁ」

「こちとらラブリーな外見にゃが、中身はドカチンのオヤジにゃぞっ」


 なんと、獣人のくせに人間さまに逆らおうとシャベルやツルハシを構えてるザマス。

 なんという躾の悪い獣人なんザマスかっ!


 その時、馬車の屋根に空からドカンと何かが降って来たザマス。

 見上げると、蜻蛉甲蟲騎士ザマス!!

 まずいザマス!!


「ザスキアーッ!!」

「こいつがザスキアにゃ?」

「確かにごっつくて美人で変なメガネに変なしゃべり方にゃっ!」


 速攻でばれたザマス。

 完璧な変装だったのにおかしいザマスっ!


「ザスキアさまっ!!」


 若い工作員が私を呼んだザマス。

 彼の指さす方向を見ると、赤い甲蟲騎士が道を爆走してきているザマスッ!!

 しかも、一人や二人では無いザマス。

 三十人は居るザマス。

 先頭には銀甲胄も居るザマス!!


「あんた達は足止めするザマスっ!!」


 ワタクシは踵を返して森に走るザマス。


「ちょ、ちょっと!!」


 工作員が困り声を出したが知らないザマス。

 昨日今日会った工作員なんか仲間じゃないザマスよっ!


「逃がすかっ!!」


 ひいっ、蜻蛉甲蟲騎士が追ってくるザマスっ!!

 轟風のザスキア、大ピンチザマスっ!!

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[一言] どうも国のトップが比較的優しくてマトモじゃないと聖女は生まれてこない可能性があるな? 女神が聖女を利用させない為にそうやってる感じあるな。
[良い点] 親方と仲間達がお仕事なネコさん達にしか見えなくなってしまったw  [一言] ジーン皇国人は蛮族ばかりでどうしようもないザマスね。ポッティンジャー派が紳士ばかりに見えてくるザマス。 それにし…
[一言] ザマスザマスのドラキュラ〜(古い
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