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第738話 飛空艇に戻って王城へと飛ぶ

「マコト、この後はどうするの?」

「うーん、集会室で勉強かな」


 今はだいたい午後三時ぐらいか。


「コリンナちゃんはどうするの?」

「どうします師匠」

「今日はコリンナの魔力も無いし、射手アーチャー修行は今日は終わりだな」

「よしっ、勉強するぞっ」


 コリンナちゃんはガリ勉だなあ。


 皆でぞろぞろと集会室に向かう。

 なんでエーミールまで付いてきておるのだ。


「それでは僕はここで、コリンナ、続きは明日だ」

「わかりました師匠」


 エーミールは集会室の前で別れ、奴は校門の方へぶらぶらと歩いていった。

 ナージャの再襲撃が無いと良いんだが。


 集会室に入ると、ジェラルドがお洒落組に勉強を教えていた。

 なぜに?


「お、帰ったかキンボール、待っていたぞ」

「二人とも、ジェラルドに勉強を教えて貰っていたの?」

「はい、とても解りやすくて助かりましたわ」

「さすがは入学テストの首席さんですわね」


 こいつは勉強だけは出来るからなあ。

 あと、行政手続きとかも得意だ。


「ありがとうジェラルド、悪いね」

「いや、待っている間は暇なのでな、効率の悪い勉強をしているのを見るのは苦痛なのだ」


 効率厨だからなあ。


「宮廷の料理班が物資の用意が出来たから飛空艇で王城に来て欲しいそうだ」

「あら、格納庫にしまったばっかりだよ。しょうが無いもう一度飛ぶかな」

「二日分だが、人数が人数だ、物資も大量らしい」

「解った、じゃ、カロル、行ってくる」

「私も行くわ」

「僕も……」


 パイロット組の連帯は強いなあ。

 なんか嬉しい。


「じゃあ、俺らも」

「カーチスは勉強しなさいよっ」

「えーー」


 武道脳の人は、すぐにさぼりたがっていかんね。


 ジェラルドを伴って、また武道場倉庫口へ行く。

 まったく、早く第三グラウンドを開けてくれないと蒼穹の覇者号を呼べないじゃないか。

 めんどうくさい。


 階段を下りて待合室を通り格納庫へ。


 おろ、クロが船の外に出ているな。


「にゃーん」


 船舷からアダベルがひょっこり頭を出した。


「ああ、マコト、良い所に、クロをこっちに投げて」

「そんな乱暴な」


 式神といえど、猫の形をしている物を甲板まで放り上げるのは抵抗があるね。

 私はクロを抱き上げて船内へと入った。

 肌触りがふっかふかやで。


「にゃーん」


 そして声はイケボだ。


 どたどたとアダベルが走ってきた。

 後ろにトール王子とティルダ王女がくっついてきている。


「おおクロ、逃げ出してはいけない」

「にゃあああ」


 アダベルはクロを抱き取った。


「なんで帰ってきたの?」

「王城へコックさんを迎えにいくのよ」

「また飛ぶのか!」

「飛ぶんだ」

「飛ぶのね」


 三人の子供は跳ね飛んで喜ぶ。

 元気だよなあ。


「操縦室で見よう」

「みるみる」

「みるよーっ」


 私たちは子供達と一緒にメイン操縦室に入った。

 子供達は後ろのベンチにちんまり座った。


 私は艇長席に座って伝令管の蓋を開ける。


「お知らせします、こちらは艇長のマコト・キンボールです。これより本艇は王城に向けて飛行します。王城では物資の搬入のためしばらく停泊して、その後また格納庫へと戻ります。急な揺れがあるかもしれませんのでご注意ください」


 パタリ、蓋を閉める。


「揺れるのかマコト」

「たぶん全く揺れないけど、一応ね」


 さてと、出力レバーを押し上げてエンジン出力上昇だ。

 ふわりと蒼穹の覇者号は浮かび上がる。


【四番、三番、二番、一番ゲート開放します】


 シャキンシャキンとゲートが開いていく。

 ゆっくりと蒼穹の覇者号を前進させる。


 飛行と言っても王城は目と鼻の先なんだけどね。


 伝令管を開ける。


「こちらコールサイン547498、蒼穹の覇者号、王宮管制室どうぞ」

【コールサイン335685、王宮管制室です】

「これより食糧の積み込みのため王城に着陸します」

【王宮管制室、了解しました。もう料理班さんたちが荷物を積み上げていますから気を付けて着陸ねがいます】

「了解しました。気を付けて着陸します」


 通信しているうちに飛空艇発着テラスの上空に来た。

 下を映したディスプレイを見るとコックさんたちが帽子を取って振っていた。

 帽振れだな。


 私は集中してふわりと着陸した。

 ドヤっとカロルを見ると、彼女は苦笑して小さく拍手をしてくれた。

 えっへん。


「着陸が……、上手くなった……」

「でしょでしょーっ」


 私は貨物ハッチのボタンを押して開いた。

 コックさん達が食材やお酒を積み込み始めるのがディスプレイに映る。


「飛空艇いいねえ、お兄ちゃん」

「将来、僕も迷宮で見つけてくるよっ」

「いいなあ、一緒に行こうぜ」


 そうそう見つかる物でも無いとは思うけどね。

 そうだ、ビアンカさまのもう一隻の飛空艇が見つかったら復興したサイズ王国に寄贈しても良いな。


 飛空艇が有ると無しでは国の格が違うのだな。

 ジーンの覇軍の直線号も小国が持っていたのを侵略してぶんどった物だ。

 アップルトンに飛空艇が二隻あるから、どうしてももう一隻欲しかったらしい。

 まったく、ジーン皇国はろくな事をしないね。

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― 新着の感想 ―
[一言] 飛空艇盗ったのか・・・ ジーン皇国ったらもう!
[良い点] 侵略を是とする国が考えることは理解できませんね。 飛空艇が欲しいからアップルトンに攻め込むって。 まぁ、欲しいのはわかりますが、どこか別の努力をすべきでは? と思います。 しかし、クロのイ…
[良い点] 待ち時間に勉強を教えるジェラルド。 伝言とかで済ませないあたり、真面目さんや。 [一言] クロの中の人、格納庫の偵察かな=φωφ= 一撃必殺…失敗を隠蔽する為にエーミール狙われそう…呪…
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