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第731話 ターゲットたちを積んで地獄谷へ寄り道

 とりあえずサイズ王国関係者を蒼穹の覇者号に詰め込んだ。

 子供達が廊下でドタバタ暴れるし、帝国メイドさん達は行き来してるし、なんだか人口密度が上がったなあ。

 

 操縦席に付くと後ろのベンチにディーマー皇子、グレーテ王女が並び、その横にトール王子とティルダ王女が並んでいた。

 孤児院の子供とアダベルが床にゴロゴロと寝転がっておる。

 とてもカオスな状況だなあ。

 ああ、もう一脚のベンチを早く直さないとね。

 鍛冶部に行こうと思って、すぐ忘れるのよ。


「学園に戻るの? マコト」

「ちょっと地獄谷の様子を見にいくよ。あっちにも諜報員が来てるかもだし」

「そうね、集落の人にも知らせた方が良いわね」


 というわけで垂直上昇、山頂を飛び越して地獄谷に向かう。

 下を映したディスプレイにせっせと道路を作っている甲蟲騎士さんたちの姿が見えた。

 結構進んでる感じだね。


 山を飛び越えて馬車溜まりに着陸した。

 小綺麗な馬車があるからサーリネン商会が来てるかな。

 硫黄採掘場から硫黄を運んでる人が何人かいる。

 マスクに防護服だと、なんだか怪しい人だな。


 タラップを降りると子供達と、トール王子とティルダ王女、さらにディーマー皇子、グレーテ王女も付いてきた。


「なんでついてくる?」

「いや、止まった飛空艇にいてもな」

「面白い場所ですわ、すこし臭そうございますわね」

「温泉が湧く所はこのような匂いがするのだ」


 まったく、野次馬ジーン帝国人め。


 集落の高い塀が無くなり見通しが良くなったね。

 ヘイスさんが駆けよって来た。


「聖女様、お帰りなさいませっ」


 私の領地だからお帰りなさいでいいのか。

 なんとなく変な感じだなあ。


「ちょっと見に来ましたよ、調子はどうですか?」

「はい、防護服とマスクのお陰でみな健康です。ありがとうございます」


 それは何よりだね。


「あの黄色い石はなあに?」

「あれはイオウだ、臭い」

「臭い石なのかー」

「なんか薬品に使われるらしい」

「村と景色がちがうねー」

「地獄谷だって、こわいー」


 子供達が硫黄とか触らないようにエルマーがガードしてるな。

 偉いぞ。


 えっちらおっちらと太ったおっちゃんが坂を下りてきた。

 背中には硫黄が山ほど積まれている。


「聖女さまー、こんにちはー、わあ、子供が沢山ですね」

「孤児院の子供たちよ、チャップマンさん」

「いいねえ、ここは子供をあまり見ないから」


 チャップマンさんはマスクを外してにこやかに笑った。


「順調そうね、儲かってる?」

「そうですなあ、まあまあですよ」


 それじゃ、と言ってチャップマンさんは事務所の方へ行った。

 他の下りてきたおじさんたちもにこやかに挨拶をして事務所に向かう。


「上手く行ってるみたいね」

「そうね、なによりだわ」

「サーリネン商会が計量して買ってくれるようになりました、近くのディオールの街まで買い出しに行けますし、だいぶ暮らしがよくなりましたね」

「それは良かった。今、ホルボス村との道路を建設中だから待っててね」

「何から何までありがとうございます」

「私は領主なので当然の仕事ですよ、礼にはおよびません」


 ホルボス村と行き来ができるようなれば、もっと便利になるね。


「おお、凄いぞ、温泉が湧き出てゴウゴウ出てる」

「「ほんとっ?」」


 子供達が集落の外れに駆けていった。

 付いて行くと、確かに温泉が地面から滝のように出ていてゴウゴウと川に流れ込んでいた。

 この湯量は凄いなあ。


「温泉だけは沢山湧くんですよ」


 お、事務所から誰か駆けてきた。


「聖女様~~」


 フレデリク商会長であった。

 現場にきてたのか。


「こんにちは、こっちに来てたんですか」

「はい、計量の時間だったのでご挨拶が遅れました」


 商会長はぺこぺこと頭を下げたが、突然の訪問なのだから気にすることはないと思うよ。


「上手く行ってるみたいね」

「はい、昨日からロイクさんが雑貨店を始めましたよ、あ、来た」

「聖女さん、おお、ガキどもも、いらっしゃい」


 元ヤクザのロイクは子供達を見てニコニコと笑った。

 なんだか人相が柔らかくなりおったな。


「来てくれ来てくれ、俺の店を見せるよ」

「何を売ってるの」

「いろんなもんを仕入れたぜ、集落の奴らに注文を聞いてまた王都で仕入れてくるぜ」

「真面目にやんなさいよね」

「わかってるって、なんだな、誰かにありがとうって言われるのは良いよな」


 食堂だった建屋の半分が雑貨店になっていた。

 お、教会の本とかも売ってるな。

 売れるのか?


「教会の本はだめだな、リンダ師に押しつけられたが」

「聖典は人気が無いのかあ」

「ちがうちがう、誰も字が読めないんでなあ。絵本とかの方が良いかもしれねえ」


 ああ、そうか、教育を受けてないんだな。

 算数もできなさそうだから、賃金はごまかし放題だったわけね。


「小等舎の教科書とか置いても良いかもね」

「そりゃ良いですな、次の仕入れで入れときます」


 あとは、お菓子とか、食料品、お酒、衣料品、薬、いろいろあるなあ。

 うんうん。


「ロイクさんのお店が出来て便利になったよ」

「酒とか、つまみとかを買うよ」


 おっちゃん達が色々と買っていた。

 意外に繁盛しているな。


「良い所になりそうね」

「うん、そうなると良いね」


 前は酷い所だったけど、人が普通に住める場所にしたいね。

 あと、大量に湧いてる温泉を活用したいな。


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― 新着の感想 ―
[一言] 日曜学校みたいなシステムがあると良いのかな?
[一言] 温泉だばだば沸いてるなら活用しないと勿体無いもんね。 谷から少し離れたところに温泉を引いて温泉宿とか。簡単なところで温泉卵なんかいいかもしれんけど、日持ちには気を付けないといけないからむずい…
[良い点] 地獄谷が「地獄」ではなく天国、とまではいわないまでも、 快適な場所になりましたね。 よかったです。 劣悪なブラック環境は許すまじですからね。 マコト様のおかげで改善できてよかったですよ。 …
感想一覧
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