第723話 お風呂から上がってコリンナちゃんをねぎらう
浄水スライムの事は気になるが、それよりもお風呂だ。
ちゃっちゃと服を脱いで浴室に入る。
木曜日の夕方という事であまり人は入っていなかった。
基本的にお風呂は晩餐の後の人が多いみたいね。
かけ湯をして湯船に入る。
ああ~~~、しみるねえ。
やっぱりお風呂は良いね。
「本当にマコトさまはお風呂が大好きですわね」
「大好きだよ」
「淑女は清潔が第一ですわね」
あー、ガチリアルな中世欧州に転生しなくて良かった。
あっちは風呂が悪徳だったりするからね。
まだ中世の始めあたりは街に公衆浴場とかあって良かったんだけど、ペスト後の近代からだね、お風呂で病気がうつるという事で欧州は不潔大陸になりおった。
地獄地獄。
さすがにこっちの世界は乙女ゲームなのでお風呂設定があって良かった。
どうも設定が無いところは中世準拠なのでちぐはぐな感じだけれども、お風呂があればええんやっ。
暖まったので洗い場に出てダルシーに洗って貰う。
はあ、髪の毛を洗って貰うのが気持ちが良い。
だいぶ人に体を洗って貰うのになれてきたね。
髪の毛にバスタオルを巻いてもらってまた湯船に。
のんびりするなあ。
明日からテロがやばそうだから、今日はのんびりね。
土曜日に終わればいいんだけど。
日曜の朝にディーマー皇子どもが覇軍の直線号で帰ればミッション終了で、午後からは音楽会だ。
その後、百貨店のパーラーでアイスクリンを食べようっと。
楽しみ楽しみ。
ほかほかになって脱衣所に戻り、ダルシーに全身の水気を拭いてもらう。
ドライヤーでブイーーンと髪を乾かしてもらう。
「そのドライヤーも一号機でもっさりしてるよね、新しいの買おうか」
「いえ、記念すべき一号機です、壊れるまで使います」
ダルシーは物持ちがいいなあ。
偉い。
そういう所も好きだ。
新しい肌着に着替えて制服を着る。
ああ、さっぱりした。
エレベーターを使うヒルダさんと別れて、メリッサさんとマリリンと一緒に階段を上がる。
さて、晩餐までのたのたしよう、そうしよう。
部屋に入ったがコリンナちゃんが居ない。
まだエーミールに引っ張り回されているのかな?
短期間でアーチャー修行だから大変そうだなあ。
ベットに入ってのたのたしようとハシゴに足をかけたらコリンナちゃんが帰ってきた。
「お帰り~~、どうしたの、ぐったりしてる」
「つかれた……」
「ダルシー、お茶を入れて」
「はい、ただいま」
コリンナちゃんと応接セットで向かい合った。
ぐったりしているなあ。
「いやあ、最初武道場で何十本も弓を打たされて肩が痛い」
「おお、実践だね」
「毎日弓を引け、だそうだ」
「当たった?」
「良い弓なんで引きやすいから良く当たる、けど、疲れた」
「それは疲れるよ、初めてなんだし、だんだんと慣れるよきっと」
弓が当たるようになったのか。
向いている弓を選んで貰えたんだなあ。
「その後、王都中を引っ張り回されて狙撃ポイントを一つ一つチェックだよ」
「それは大変だったねえ」
「意外に屋上がある建物が多くて、高い物もあるんで面白かったけど、疲れた、足が棒のようになったよ」
コリンナちゃんの足を持って『ヒール』をかけてあげた。
「おお~~、疲れが溶けた~~、ありがとう」
「なんのなんの、がんばってくれい」
「射手って見ている所が違うね、射線と射程距離で世界を測っている感じ、なるほどなあって思ったよ」
「おー、修行っぽい」
「明日も弓を引いて、街の狙撃ポイントをチェックだって、射手は先に準備をするから痕跡を探すらしい。意外と足を使う仕事だね」
ダルシーがケトルを持って来てお茶を入れてくれた。
「ありがと、ダルシー」
「いえいえ、コリンナさま」
「ダルシーも狙撃するの?」
「私は接近戦メインですので、遠距離はアンヌですね」
「メイドの里で勉強しなかったんだ」
「いえ、しましたけれども、使わないので忘れました」
「諜報メイドも色々なんだなあ」
コリンナちゃんがお茶を含みながらしみじみと言った。
「あ、ヒルダさんが、敵の情報をくれたよ、相手は一撃必殺のナージャ・キルヒナーだって」
「おお、知らん」
そりゃ女学生は知らないだろうね。
「マコトが治してた呪矢を打つ家だっけか。うはー、受けたくないなあ」
「もの凄く痛いらしいよ、体に矢が呪いに変化して残るからポーションでは治らないのよ」
「光のヒールポーションなら治る?」
「んー、子狐丸で呪いを切らないと治らないっぽいから、私のポーションでは無理じゃないかな?」
薬系だと、解呪ポーションとかになるのかな。
確かにあると便利だな。
晩餐の時にカロルに相談してみよう。
「とりあえず、ナージャが出てきたら逃げるか私に知らせなさいよ」
「それが良さそうだ、マコトの障壁ならはね返せるかな?」
「呪の魔力がある矢だとどうかな? エーミールのボルトだと障壁は二発で砕けたけどね」
あの時は何枚も張り直して接近したな。
「まあどっちにしろ射手なら閃光で目を潰せるから、私と相性が結構いいよ」
「師匠の目を潰したやつか、次は何とかしてしのぐって言ってたぞ」
「ゴーグルとかしてくるかな、まあ、その時はゴーグルの中に打ち込んで破裂させるけどね」
光弾は基本的に光なんでガラス系とか布地とかはすり抜けるのだ。
次もまた目を潰しちゃる。
まあ、仲良くなったので、あんまり戦いたくは無いけどね。
どうもヴィクターにそこらへんを読まれて仕組まれた感じもある。
あいつも食えない男だぜ。
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