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第71話 道々の者たちが襲ってくるのでダルシーに撃退させる

 青薔薇ブルーローズ下着店を出た。

 天空の頂点に太陽が照っていて、暑いぐらいだね。

 日陰に入るとまだ寒いけど。


「ご飯食べて帰ろうか」

「いいわね」

「お金が……」


 もー、お金の事は言わないの、コリンナちゃん。


「コリンナも居るし、下町の定食屋さんに行こうか」

「そうね、コリンナちゃんもそれでいい?」

「たすかるよっ」


 コリンナちゃんは節約家だなあ。

 そこが良いところなんだけど。


 大通りを南下し、下町方面へ曲がる。

 とたんに通りの雰囲気が悪くなるね。

 街行く人たちも貧しい身なりになっていく。

 人品もガラが悪くなっていくなあ。

 だが、まあ、スラムよりはましであるね。


 アンヌさんが私たちの前にでた。

 なんぞ?


「賞金首がおります、脅威度A、ドワンゴ、殺害人数15人」

「おや、見つかっちまったかい」


 我々の前に超ゴツいオヤジが現れたぞ。

 汚い皮鎧姿で、背中に大剣をしょっている。

 髭まみれ、傷まみれでニヤニヤ笑っている。


「賞金首っていうなら、そこの金髪娘と栗毛もお仲間だあな」

「そうなんだ、いくら掛かってるの?」

「一人頭百万ドランクだ、ちょっくら貰って行こうと思ってよお」


 ドワンゴは嬉しそうにゲタゲタ笑った。


「安いね、やめとけば?」

「そうはいかねえよ、こんな楽な稼ぎは滅多にねえしなあっ!」


 ドワンゴの殺気が膨れ上がると同時に奴は背の大剣を抜いた。

 私は障壁を無詠唱で展開する。

 やっぱり、閃光からの金蹴りだろうか。

 なんかワンパターンだなあ。


「マコトさま、私がやります」


 ダルシーが私をかばうように前に出た。


「大丈夫?」

「私の腕を見ておいてください」


 まあ、良いか、危なくなったらアンヌさんも居るし。

 怪我しても私が治してやれるからね。


「よし、ダルシー行きなさいっ」

「はっ」

「かかか、俺も舐められたもんだぜ、戦闘メイドがなんだってんだ、あー?」

「ふん、脅威度Aふぜいが」

「なんだとてめーっ!!」


 ドワンゴは激昂してダルシーに斬りかかった。

 するりとダルシーは避けて、かるくポンとドワンゴの二の腕を打った。

 ダルシーの身のこなしが軽くて早い。


「へ、なんだその拳はよお、効かねえぜ」

「……」


 ダルシーは黙ってドワンゴの斬撃をくるくると避け、ぽんぽんと拳を当てていく。

 避けては当てる。

 軽戦士的な戦い方なのかな。

 あんな軽い拳で、屈強な賞金首が、どうなるとも思えないのだけど……。


「ちっとも……、なんだ?」


 ドワンゴの動きが目に見えて遅くなっている。


「あれだけ重拳を当てられては、もう動けなくなります」

「アンヌ、重拳とはなんなの?」

「お嬢様、重拳とはダルシーの得意技です。土魔法系の重力魔法を拳に付与して、敵の体を重くしたり、軽くしたりができます」


 おー、ダルシーの拳に当たったら、デバフ効果で敏捷度が削れるのか。

 それは地味ながら、凶悪な効果だなあ。

 軽いジャブ並の拳が何発か当たるだけで致命傷だ。


「く、くそうっ!! 体が重めえっ!! 何しやがった糞アマっ!!」

「……」


 もう、ドワンゴはのろのろと老人のような動きしかできない。


 ダルシーの動きが変わる。

 重くゆっくりの動きで拳を振りかぶり、

 殴った。

 殴った。

 殴った。

 殴るたびに、拳の重量があがっていくようで、ドワンゴの体に凹みが生まれ、腕が曲がり、血が噴き出した。


「今のダルシーは拳の重量を上げています。大型のスレッジハンマーで殴るぐらいの衝撃がドワンゴに与えられています」


 うはー、敵の足をデバフで止めて、自分の拳に攻撃力バフを掛けて殴るのかあ、えげつねえー。


「お、おれのまけだーっ、た、たすけてくれーっ」

「まだ喋る元気がある」


 ダルシーは、更に、殴る殴る殴る、かち上げ、打ち落とす。

 彼女の攻撃は、ドワンゴが地に伏せ、動かなくなるまで続いた。


「そ、そこまでせんでも」

「大量殺人犯の賞金首ですからね、完全に無力化しないと危ないのです」


 やれやれ、この世界は回復魔法がある分、逆に血生臭いんだよなあ。

 簡単に傷が治るから、簡単にボコボコにするのだ。


 アンヌさんが役人を呼びにいった。


 あまりに哀れなので、ドワンゴの傷をヒールで治してやった。

 なんだな、ヒールでは半分ぐらいしか治らないが、いいか、賞金首だし。

 おっと、賞金いくらかな。

 ダルシーと山分けしようか。


「がはは、油断したな、こいつの命が惜しければ……」


 ドワンゴが私のまわりの障壁をつかんで揺らした。

 さすがの馬鹿も違和感に気がついたようだ。


「これなに?」

「障壁」

「マコトさま、どういたしましょうか」

「こいつを、ヒールで治した分ボコっておいて」

「あ、たんまたんまっ!」


 ダルシーは馬乗りになって無言でドワンゴをボコった。

 ボコってボコってボコりまくった。

 うん、治して貰った相手を人質にする馬鹿には良い薬だろう。


「ダルシー止めて」

「はい」

「私とカロルの賞金は誰が出してるの?」

「し、しりません。賞金の話はスラムの長が、い、言ってました」

「ふむ」


 ポッティンジャー派閥からの賞金かな、マーラー家かな?

 スラムのオヤジに聞きに行くかなあ。


 あ、でも、ご飯を食べてからにしよう、スラムでご飯とかありえないし。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 作者さん、また早い更新はお疲れ様です! 戦闘メイドこそ格好いいロマンだと思いますw ダルシーさん、中々凄く強いです! でも暗殺には向いていないかも? マコトさんの善意に付け込むとは、性格が…
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