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第717話 子供を乗せてアダベルが遊覧飛行をする

 安全も確認できたので、子供達を籠に乗せる。


「ナタリーちゃん、あなたは年長だから、ちゃんとドアが閉まってるかチェックしてね」

「はい、マコトさまっ、チェックします」

「空を飛ぶのは危険があるから気を付けるのよ」

「はいっ、カロル先生っ」


 ナタリーちゃんはしっかりしてるから大丈夫かな。

 カロルのお弟子さんだし。


「ああ、子供だけで乗る時は安全に気を付けないとだめですね」

「ベルトしてなくて、ドアが開いたら落っこちるからね」

「籠の二号機はドアを固定しないと飛べない仕組みを作った方がいいですね」

「もう次の作る予定なんだ」

「初めての竜の籠ですから、色々不満も出てくるでしょうからね。しばらく使ってもらって意見を聞いて二号機を作ろうと思います」


 なんというか技術者の鑑だなあ。


「助かりますよ。おねがいしますね。とりあえず乗るためのハシゴが要りますね」

「籠に折りたたみ式のハシゴを付けましょうか、小さい子だと上れないかもしれない」


 アダベルはぺったりと腹ばいになって子供達が上るまでじっとしていた。

 年長の子供が年下の子が上るのを手伝ったりしていた。


「みんな乗りましたー、ドアも固定しましたーっ」

『よし、ちゃんとベルトを着けるのだぞ』

「全員、ベルトをしていまーす」

『では飛ぶ』


 うん、ナタリーちゃんはちゃんと安全確認してるね。

 感心感心。


 アダベルがバッサバッサと羽ばたいて空に上がって行く。

 真っ青なドラゴンが空に吸い込まれるように小さくなっていくなあ。

 下から見ると綺麗だなあ。


 なんか後ろを見ると、住人の人や、お弟子さんたちが列を作っていた。

 わあ、みんなアダベルに乗りたいのね。

 そして、身なりの良いお爺ちゃんも当然のように並んでいて、こちらを見てにっこりと笑った。


 ヘルムート爺ちゃん……。


「今日はドラゴンに乗りたいのじゃ」

「あはは、順番に乗ってくださいね」

「いやあ、竜に乗れるだなんて、長生きはしておくもんじゃなあ」


 安全確認のために工房のお弟子さんが住民さんたちと同乗することと、カイレ親方と相談して決めた。

 なんだか、前世の遊園地の乗り物みたいになったね。

 アダベルも飛び上がっては下りて大変だ。


 列がはけたのでアダベルは着陸して人化した。


「ふわあ、疲れたよう」

「アダちゃんおつかれさまー」

「すっごく楽しかった」

「これでアダちゃんにホルボス村につれて行って貰えるね」

「まかせておけー」


 アダベルはうししと笑った。


「やあ、楽しかったわい、ありがとうなアダベル嬢ちゃん」

「爺ちゃんは乗りたかったらいつでも乗せてあげるよっ」

「そうかそうか、またおいでアギヨンはお前さんをいつでも歓迎するよ」

「わあ、ありがとう爺ちゃんっ」


 あいかわらずアダベルは爺転がしだな。


「本当にお金の追加はいいの?」

「はい、こちらも好きでやった仕事ですから、いただけませんよ。二号機の時にまたお願いします」


 なんだなあ、技術者の人って商売が下手よな。

 好きな仕事ならロハでもかまわないって奴だ。


「親方ー、凄い籠をありがとうっ、また調整にくるねっ」

「お待ちしてますよアダベルさん」


 よしよし、さて、籠を飛空艇に乗せて大神殿まで運ぼう。


「さっそくみんなを乗せてホルボス山まで飛ぼうっと」

「気を付けてね、事故が起こったらお友達が死ぬからね」

「お、おう、そうだね、気を付けないと危ない」


 航空機事故はヤバイからね。

 気を抜いたときに事故は起こるのだ。


 蒼穹の覇者号に乗り込みマジックハンドで甲板に籠を乗せた。

 ロープとか掛けた方が良いかなと思っていたらダルシーとアンヌさんがちゃっちゃと掛けてくれた。

 助かる助かる。


 アギヨンの街の人達が手を振る中、蒼穹の覇者号は飛び上がった。


「良い街だなあ、人の世界にはいろんな街があるな」

「まだまだ、色んな街があるよ」

「いろいろと行ってみたいなあ」

「そうだね、一緒に観光をしてまわろうよ」

「いいなあいいなあっ」


 ああ、飛空艇で世界中ぶらぶら散歩したいなあ。

 夏休みは色々行こう。


 蒼穹の覇者号は一路、大神殿を目指して飛行中だ。

 パイロットはエルマー。

 田園風景の上を飛ぶ。


 時々農家の人がこちらを見上げて驚いているね。

 飛空艇は珍しいからね。

 王都でもそんなには見ないし。


 で、大神殿に帰ってきました。


「なにか……、騒いでいる……」

「あ、本当だ、なんだろ」


 聖騎士団の練兵場の柵あたりに人だかりがしていて聖騎士団が対応してる感じ。

 暴徒か何かか?


 飛空艇が着陸態勢に入ると群集はこちらを見上げてわあわあ言ってる。


「冒険者みたいね、沢山いるわ」

「なんだろう、とりあえず行ってみるわ、アダベルと子供達はここで待ってて」

「私も行くよう」

「私も」

「僕も……」


 私に任しておいてくれよう、とは思ったがしかたがない、四人で様子を見に行く事にした。


 タラップを下りると聖騎士さんがお出迎えである。


「何が起こってるの?」

「それが、教会が邪竜アダベルトを隠している、さっさと出せと難癖を付けてきまして」

「うわー」


 アダベルが頭を抱えた。


「リンダさんは?」

「あちらです」


 見れば最前列で冒険者と怒鳴りあっておる。

 うおう、人死にが出ないうちに冒険者を口で追っ払わなければ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] アダベル籠の第一弾完成ですね。 これでホルポスには自由にアダベルだけでも 行き来ができます。 しかしおじいちゃんはいいキャラが多いですね。 いやポッティンジャーの現当主は除きますが。 あ、…
[一言] 帰るのです・・・命が惜しくないのですか? 例えドラゴンに勝てたとしても、リンダさんに冥土送りにされるのですよ? ここ教会なんだしテキパキと葬式出されちゃいますよ?
[良い点] 良い職人さんと出会えてよかった(=´∀`)人(´∀`=) [一言] 冒険者は特に命あっての物種なのに教会に喧嘩売るとは…名誉心かな?
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