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第716話 アダベル達を拾って籠を見に行く

 というわけで武道場倉庫口から地下に入り、蒼穹の覇者号発進である。

 今日の操縦はエルマーだ。

 

「アギヨンの街はポッティンジャー公爵領よね」

「そうだね、良さそうな街だった」

「意外だわ、公爵領は重税で大変って聞いていたけど」


 そういや他のポッティンジャー領と違ってアギヨンは暢気そうだったな。

 領主さんによって税率が違うのかもね。

 

 などと話しながら離陸して大神殿上空、いつもの聖騎士団の練兵場へふわりと着陸である。


 子供達が待ち構えていて飛空艇に駆けよってきたのでハッチを開けてあげた。

 どどどとアダベルと孤児達がメイン操縦室になだれ込んできた。


「さあ行こう行こう、籠、籠」

「はいはい、これでみんな?」

「みんなみんな、キルギスはさぼってこない」


 まあ、行きたくないならしょうが無いね。

 みんな乗ったみたいなのでハッチを閉めた。


「さあ、行きますよ」

「「「わーいわーい」」」


 子供は飛空艇好きだなあ。

 でも、気持ちは解る。

 私も飛空艇は好きだ。


「では……、行く……」


 蒼穹の覇者号は空に舞い上がる。

 一路ポッティンジャー公爵領のアギヨンへ。


 高速でアップルトンの田園風景の上を飛ぶ。


「やっぱり飛空艇は速いなあ」

「アダベルの速度より早いかな?」

「最大の力で飛べば同じぐらい出せるけど、疲れる」


 たしかに疲れそうだ。


 丘や田園の上を三十分ほど飛ぶとアギヨンの街が見えてきた。


「どこに……、着陸……?」

「昨日みたいに工房の裏の空き地に駐めよう」


 エルマーはうなずいて舵輪を回し、綺麗に工房の裏の空き地に着陸した。

 操縦が上手くなってるなあ。

 いかん、艇長として焦る。


 さっきの子供達みたいに工房のおっさん達が待ち構えていて駆けよってきた。

 なんだか笑ってしまうね。


 さて、下りよう。


「おまちしておりました、出来てます、籠、自信作ですっ」

「本当です、親方頑張りました、聖女様っ」


 うっは、親方もお弟子も圧が強いな。


 工房の中に籠をみんなで見にいった。

 お、昨日のより倍ぐらい大きいな。

 座席が五個ある。


「ここをこうすると」


 座席の横の機構を降ろすと小型の椅子が出てきた。


「補助席です、子供が二人乗れます」

「計、七人乗りなのね」

「そうですそうです」

「沢山乗れるとお得だなあ」


 ドアは横開きだね、天井もついて、窓には格子がはまっていてこれなら安全だね。


「座席にはベルトを着けました。安全です」

「アダベルの背中に乗せる感じね」

「そうですそうです、胸に付けると揺れますので羽の前に乗せる感じですね」


 やあ、一日でずいぶん本格的な物を作ったなあ。

 良く見ると、カイレ親方もお弟子さんも目が赤い。

 徹夜か、徹夜したのか?


「では、ちょっと試しに乗ってみて、危なく無さそうなら子供を乗せてみましょう」

「そうですね、さっそく実験しましょう」


 お弟子さんとカイレ親方が皆で神輿を担ぐようにアダベルの籠をわっしょいわっしょいと空き地に運んだ。

 装具もあるから結構重そうだなあ。

 大きいから大神殿に置いておくかな。


 地面に置かれた籠の下にアダベルが潜り込んだ。


「はい、そのまま竜化してください」

「こうかな?」


 ボワンと煙がでてアダベルがドラゴンに変身した。

 装具の輪に両前足を通した。


「胸の前で金具を、そうそう、そうやって止めてください」

『こうか、うむ、カッチリはまる』


 ベルトで微調整をして装具を締めると緩みが無くなった。

 ちょうど羽の前に乗る感じで良いね。


「乗るから腹ばいになって」

『こうか?』


 腹ばいになっても結構高さがあるな。

 カイレ親方がハシゴを出してきた。

 よいしょよいしょと籠まで登り、戸を開いて中に入った。

 おー、中は結構広い感じ。

 座席に座ってベルトを着ける。

 カロルが隣に座った。


「私が乗った時もここら辺だったわね」

「乗りやすい部分なのかな」


 カイレ親方も乗ってきた。

 エルマーは下で見ている。

 メイン座席は大人が五人乗れる感じだね。

 子供だと余裕だな。


『大丈夫か?』

「大丈夫、ちょっと待ってね、戸を閉めるから」


 カイレ親方が戸を閉めて中から金具で閉じた。

 うん、カッチリ閉まってる、子供が押しても開かないね。


「アダベル、飛んでみて」

『解った、危なかったら、すぐに言え』


 バッサバッサとアダベルが羽ばたき始めて空にゆっくりと上っていく。

 おお、揺れもそんなではないな。


「これなら大丈夫ね」

「昨日の揺れは凄かったからね」

「良い感じですね」


 だんだん高度が上がって空から街が見渡せるようになった。

 格子が入っているけど外もよく見える。

 ホルボス村に行くぐらいなら問題無さそうだね。


「雨の日は乗れないね」

「さすがに雨の日はおすすめできませんね」


 だんだんと高度があがり遠くまで見渡せるようになった。


「ちょっと速度を出して、一回りしてみて」

『わかった』


 バサバサと羽を動かしてアダベルは速度を上げていく。

 意外に風が来るけど耐えられないほどじゃないね。

 前世の自動車と同じぐらいの感じだ。


 アダベルは旋回したり降下上昇したりした。

 あ、意外に耐えられる。


『これは楽に飛べる。昨日のは邪魔であった』

「良い感じよ、降ろして子供を乗せてみましょう」

『そうだな、これでみんなとホルボス村に行ける』


 アダベルはふわりと空き地に着陸した。

 これは、なかなか良い籠だぞ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] アダベル籠完成!!って回ですね。 アダベルがうれしそうでよかったです。 実はめっちゃ子供好きなアダベルさん。 というか、邪龍と呼ばれていただけで、 実は良い龍だったということですね。 マコ…
[一言] 縄梯子必須? 聖竜アダベル便…正式には討伐対象から外すセレモニー後かな? 天候やアクロバット飛行に気をつけて運行するんやで。
[一言] アダちゃん便本日より運航開始いたします! アップルトン←→ホルボス村往復便となりまーす! お子様しか乗れませんので悪しからず。そのうち教皇さまとか教会関係者乗せてホルボス行くかもだけど。
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