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第70話 三人で下着屋さんにいくぜ

 ぷりぷり怒りながら集会棟を離れる。


「お隣さんなのだから、そう怒らないのよ」

「ドア閉める事はないじゃないの」

「公爵家派閥と揉めてるんだから、一般生徒にとっては怖いわな」


 とりあえず155号室を施錠して女子寮の方へと歩く。


「そろそろお店も開く頃でしょう、街に行く?」

「そうね、行きましょうか」

「正直ブラの必要性を感じないんだけど、わたし」


 コリンナちゃんの耳を引っ張りカロルがこそこそと喋った。


「うん、そうか、私も高等生だから必要だねっ、高等生だからっ」


 くそう、私の視姦から逃げられるとか吹き込みおったな、カロルめ。

 私の生きがいが……。


 ま、でも、三人できゃっきゃうふふと下着屋さんに行けるのだからいいか。

 どうせ、一二年すれば、みんなブラをするんだしさ。

 でも、くやしい、ちっくしょー。

 ビクンビクン。


「なに痙攣してるのよ、マコト」

「な、なんでもない」

「変なやつ」


 休日のお昼近くなので、かなり人通りが多い。

 女の子三人なので、悪漢とか絡んでくるかな?

 と、思った瞬間にアンヌさんがカロルの背後に現れた。

 おお、絶妙なタイミングで、こちらの気持ちを読むなあ。

 長身のアンヌさんがいれば、悪漢どもは逃げ散っていくからね。


 さて、お目当ての下着屋さんは、王都のメインストリートを歩き、大神殿の向こうにあった。

 小洒落た店構えに、ドロワースとか、ブラジャーとかがいっぱいだ。

 この世界、パンツはドロワースなのに、ブラは鯨の髭入りの近世っぽい、後ろホックの奴である。

 看板には青薔薇ブルーローズ下着店と書いてあった。


「ここか」

「ここね」

「さあ、入ろう」


 開け放たれた入り口から店内に入ると、色とりどりの下着がいっぱいであるな。

 サイズも沢山あるし、素材も絹、木綿、繻子しゅすといろいろだ。


「綺麗ねー、ブラはこっちかな」

「げ、結構高いな」

「高くても買うのだ」


 コリンナちゃんがブラの値札を見てうめき声を上げた。

 ちっぱい向けのが無いなあ。

 全部、大おっぱい向けだ。


「小さいブラは無いんですか?」


 小柄な黒髪店員さんに聞いて見た。


「お嬢様方がおつけになる物ですか。こちらの製品はいかがでしょうか」


 ……。

 あれ、スポーツブラだな、これ。


「シンプルなのね」

「あ、意外に安い」


 チッパイ用ブラを持って伸ばしてみる。

 伸びる伸びる。

 ゴムを編み込んでいるのか?

 オーパーツじゃないか、これ?

 ふと、目を動かすと、横の棚にパンティが。

 なんで?

 これはゲームの世界改変力なのか?

 確かにゲーム開始時の主人公は結構胸があったし、ブラも付けていただろう。

 なぜか、私はちっぱいだがな。


「なにかしらそれ」

「ハンカチ?」

「下履きですよ」

「「……!!!」」

「しょ、娼婦が付けるものかな?」

「は、破廉恥ではないですかー、こ、こんな小さい布でっ!」


 ちなみに、この世界、下着はドロワースだが、水着は普通にビキニだ。

 そこらへんの羞恥心はどうなっているのだろうか。

 これは、夏に確かめてみなければなるまいて。


 小柄な店員さんをじっと見る。

 黒髪黒目……。


「あ、あれ、あなた、マコト・キンボール?」

「……転生者?」

「……え?」


 店員のお姉さんと、私の間に沈黙のとばりが降りた。


 彼女が、私の近くに寄ってくる。

 小声でささやくように私に語りかけてくる。


「あなたも転生者?」

「主人公をやっているよ」

「そ、そうなんだ、いいなあ、私はカマラ。日本では蒲田だったけどね」

「私は日本でも真琴だったわよ」


 なんというか、こんな所で同郷の人と会うとは。

 なんか、外国で日本人に会った感じだなあ。

 外国は行った事無かったけど。


「カマラさんは、モブかな?」

「そう思う、ヒカソラの世界にせっかく来たのに、服屋の娘よ。まあ、前世の知識で色々やらせてもらってるけど」

「スポーツブラは売れそうだけど、パンツは売れたの?」

「あんまり売れないわ、娼婦の人にちょっとぐらい」


 それはざんねんだなあ。

 二三枚買っておくか……。

 でも、カリーナさんやダルシーにパンツを洗われるのは恥ずかしいな。

 ドロワースでいいや。


「このブラを三つください」

「ありがとうございます。伸びますからね、Sで大丈夫でしょう」

「サイズは三つしかないのかー」

「伸びるから大丈夫だよ、コリンナちゃん」


 スポーツブラは1,900ドランクであった。

 三つ買っても一万しないなあ、安い。


 私はあと、木綿のドロワースを二つ買った。

 カロルも、コリンナちゃんもそれぞれ下着を購入していた。


「こんどじっくり話したいわね、カマラさん」

「そうねえ、こんど一緒にお茶でも飲みましょう、マコトさん」

「なんか、急に仲良くなってるわね」

「え、いやまあ、その」

「なんだか気があってしまいまして、はい、お品物です」


 カマラさんはそれぞれの下着を亜麻袋に入れてくれた。


「じゃあ、また来るわ、カマラさん」

「はい、おまちしていますよ、マコトさん」


 そう言うと、カマラさんは深々と頭を下げた。


 なんだか面白い人と知り合ったぞ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 転生者、こんなところに!?
[一言] カマラさんは「ドロワースの中に着けるサニタリーパンツ」を売り出せば大ヒット間違いなしかと…
[良い点] マコトさんの生き甲斐が無くなったのは残念ですw へぇ、ゲームの主人公が巨乳なのにマコトさんが貧乳か?何その恐ろしい修正力w 他の転生者も居ますか。正直に言うとあまり多くの転生者が出て来るの…
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