第675話 子供達を大神殿に下ろし学園に帰投する
エルマーも操縦が上手になって、聖騎士団の練兵場にふわりと蒼穹の覇者号を着陸させた。
負けられん。
私は艇長なのだからっ。
子供と一緒に地上に降りると教皇さまが待っておられた。
「おかえりなさい」
「ただいまー、教皇さま」
「今帰りました、すごく楽しかったです」
「また行きたいです」
孤児達にまとわりつかれて教皇さまはニコニコしていた。
「聖女マコト、教会の建築部が明日からホルボス村の道路を整備しに向かうそうです」
「飛空艇で運びますか?」
「いえ、街道から村まで舗装しながら上がるそうなのでそれには及びません」
資材とかあるから地上を行った方が能率的かな。
しかし、着手が早いなあ。
もうちょっと後かと思っていたよ。
「そして地獄谷の惨状を知った者が配管整備に行ってくれるそうですよ」
「配管? 水道とか下水道ですか?」
文官トリオの集落デザインが終わらないと配管とか決まらないのだけど。
なんで配管?
「あっしらが特にと教皇様にお願いしたんですよ」
「俺らもスラム出なんで他人とは思えなくてねえ」
「聖女さまに恩返しもできますし」
「スラムの配管工さんたちか」
山高帽の銃器工場で働いていた三人であった。
すっかり小ぎれいになって神殿の下働きの人な感じだ。
「そっかー、とりあえず上水道だけでも仮設してあげれば喜ぶと思うよ。ありがとうね」
「そんなそんな、家族みんなで神殿で働けてるんですから」
「これくらい何でもありませんよ」
「本格的な配管は計画書が出来てからね」
「わかりやした」
「俺らが配管の面倒は見やすから、安心してくだせえ」
配管工のおっちゃんらは良い笑顔で笑った。
いやあ、助かるなあ。
「彼らは明日、地獄谷へ向かいます」
「本当にありがとうございます」
わたしが深々とお辞儀をすると、教皇さまはイヤイヤと手を振った。
「当代の聖女の領地なのです、みな何かしたくてしょうがないのですよ、謹んで受け入れてください」
「はい、助かります」
いやあ、教会の人達は愛に溢れていて助かるね。
子供達と教皇さま、配管工の人に手を振って船に乗り込んだ。
メイン操縦席に戻るとアダベルと学園長がいた。
「学園からお家に帰るの?」
「その予定だー」
「すまないね、マコト君」
「かまいませんよ」
「あの作業員の人達は?」
「あれよ、山高帽の銃工場の人。神殿で働けたからありがたがって地獄谷の配管工事してくれるって」
「マコトが成した善行が返ってきたのね」
「善行というほどのものでもないよ」
銃の設計が拡散したら不味いからだったけど、当人たちが喜んでいるのならいいやね。
なによりだ。
スイっとビアンカ邸基地に到着である。
タラップを下りて地上に降りる。
みんなで格納庫を後にして、アダベルと学園長、エルマーと待合室前で別れる。
「また、明日……」
「今日もありがとうね、マコト」
「色々と発見があった。またよろしく頼むよ」
「はい、みんな、また明日ね」
カロルと二人で地下道を歩く。
「不思議ね」
「ん、何が?」
「一ヶ月前には、こんな学園生活を送るなんて思ってもみなかったわ」
「私もだよ」
「みんな、マコトのお陰だわ、ありがとう」
「いやあ、そんなあ」
カロルに面と向かって褒められると照れちゃうよ。
えへへへ。
「こ、これからひとっ風呂あびていくのだけれども、カ、カロルもどう?」
「ん、でも錬金作業が残ってるから、明日ね」
「そうかーー」
まあ、最近はお風呂にも付き合ってくれるようになったけどね。
あんまり焦っても良くないか。
でも残念だなあ。
「明日までがまんなさい」
カロルは笑って私の頭を撫でてくれた。
ほっこりと嬉しい。
大浴場の前でカロルと別れて、私は単身、脱衣所に入った。
適当にポイポイっと脱ぐと、後ろでダルシーが拾い集めてたたんでくれた。
本当に便利だなあ。
夕方のお風呂は空いているので好きだ。
夕食後が混むのよね。
お風呂にはお洒落組と、ジャンヌお義姉様と、バッテン先生が入っていた。
「あら、マコトさま、もうお帰りでしたか」
「そうよー、ホルボス山は近いからね」
かけ湯をして湯船に入る。
普通のお風呂だけど、大きい湯船は良いよね。
「バッテン先生、ディーマー皇子は帰りましたか」
「うむ、帰ったよ」
「カーチスとの勝負はどちらの勝ちでしたか」
「だいたい引き分けだったよ。さすがにナーダン師が鍛えただけあって皇族とは思えないぐらいの腕だね」
意外にやるのか。
「マコトちゃん、お疲れ様」
「いえいえ、そんな」
孤児をかまうのは私の趣味みたいなものだからね。
「所で、キンボール、何か邪竜の噂を聞いていないか?」
「な、なんですか、バッテン先生も討伐隊に入るのですか?」
「い、いや、本当に王都に邪竜が潜んでいるなら警戒した方が良いなと思って」
「警戒しなくて良いですよ、正体はアダベルなんで」
「は?」
これはマジで気がついてなかったのか。
「あの子は竜人で、でかい邪竜ではなかろう」
「邪竜が人化してるんですよ。聞こえが悪いので教会で改心セレモニーをして聖龍に祭り上げてしまうようですよ」
「あら、あの可愛い子はドラゴンなの?」
アダベルは、ジャンヌお義姉様の前で竜化した事は無かったか。
「なんだ、幽霊の正体見たり枯れ尾花だったな」
まあそうですね。
よろしかったら、ブックマークとか、感想とか、レビューとかをいただけたら嬉しいです。
また、下の[☆☆☆☆☆]で評価していただくと励みになります。




