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第661話 さらばホルボス村、明日も来そうだけど

「村人に仕事を頼まれたら、ハナさんを通して契約してもらってくださいね」

「は、はい」

「甲蟲騎士さんたちは人が良いから無料でやってあげようとか思ってるでしょうが、労働には対価を取らないといけないわよ。好意につけ込む人はどこにでもいるからね」

「き、気を付けます」


 一応、釘をさしておいたけど、きっと無料でやっちゃたりするんだろうなあ。

 なあなあになるとお互いにとって良くないのよね。


「およびですか?」

「あ、ハナさん。甲蟲騎士さんたちは世間慣れしてないから、あなたが上手に間に入ってね」


 出来るOLという感じのハナさんが二階から下りてきた。


「お仕事のお話ですか、かしこまりました」

「よろしくお願いする、ハナどの」

「大丈夫です、リーディア団長。この私にお任せを」


 情報分析諜報メイドなんだから、契約事務とかお手の物だろうね。

 頼もしい。


「ジェシーさんは?」

「基地で学者さんにご飯を出していますよ。本当にほっとくと食事もしないで研究してるんですね、びっくりしました」


 ジェシーさんが学者さんの面倒を見てくれているのか。

 助かるなあ。

 あの人たちは浮世離れしてるからなあ。


「それでは私は王都に戻ります。またすぐ来ますよ」

「はい、ありがとうございました、マコト様」


 リーディア団長は深く頭を下げた。

 なんというか彼女は律儀だよなあ。


 カロルとコリンナちゃんと一緒に邸宅を後にした。


「早く道路計画を立てないとなあ。はちまき道路にしたいのか?」

「半円だから、完全なはちまきじゃないけどね。ホルボス村から地獄谷に抜けて、そこからは街道、麓にそって街道を行って、山を一回りしてホルボス村に戻ってくる感じで」

「サイズは馬車が通れるぐらいか」

「石畳だとコストが凄いわね」

「最初は砂利道で良いかな。火山礫の大地だからぬかるまないでしょ」

「見た目よりも馬車が通る事優先だな」


 測量とか計画に飛空艇を使えないかな。

 画面をプリントアウト出来ないのが地味に痛い。

 迷宮で太古のプリンターを掘り出さないといけないのか。


 などと話ながら歩いていると広場に着いた。

 子供達はもう蒼穹の覇者号の前で待っていた。


「お、マコトが来た」

「遅いよマコねえちゃんっ」

「ごめんごめん」


 アダベルはトール王子とティルダ王女の方を見た。


「それじゃ、私たちは帰るね」

「今日は楽しかったっ」

「また来てねっ、明日これる?」

「え、明日か? えーと、そのー」


 アダベルさん、私をチラチラ見るのはやめなさいよ。


「孤児院の保母さんが良いと言ったらね」

「本当かっ、マコトっ!」

「お昼休みに送ってあげるわよ。保母さんに聞いて来なさいね」

「やったーっ! マコト大好きっ!!」

「「「「わーいわーーい!」」」」


 子供達はかごに何かの虫を入れて持っていた。


「何を取ったの?」

「カブト! かっちょいいっ!」

「私はタマムシ捕まえたのっ、綺麗っ!!」


 トール王子とティルダ王女もカブトとクワガタを持っていた。


「リーみたいで格好いいんだっ」

「見た事無い虫がいっぱいいたっ」


 村のおとぼけ三人組がそれを見てニヨニヨしていた。


「ありがとうね、あんたたち」

「いいってことよ、聖女さんっ」

「小さい子の世話は子供の仕事だしなあ」

「俺らも楽しいし、お礼とか良いんだよ」


 子供達が仲良くしてるのを見るのは良いね。


「さ、乗って乗って、大神殿まで送るから」

「ありがとう、マコねえちゃん」

「今日は楽しかったよーっ」

「トールちゃんもティルダちゃんも良い子良い子」


 王都からあまり外に出ないから、孤児院の子にとっては新鮮だったのかもね。

 森の中には弱いけどモンスターも出るから、甲蟲騎士さんに付いていって貰うといいかもしれないな。


 子供達はトール王子とティルダ王女に手を振って飛空艇のタラップを上がった。

 王子と王女は名残惜しそうにいつまでも手を振っていた。


 子供達がメイン操縦席の後ろのベンチに鈴なりになった。

 ベンチの片方は秘密結社が邪竜召喚した時に壊れて、そのままだな。

 鍛冶部にでも頼んで修理しないとなあ。


「さて、出発します。私が操縦するね」

「わかったわ、マコト」


 ハッチを閉めて、魔導エンジンの出力を上げる。


 ファーーーーーッ!


 という音と共にふわりと飛空艇は浮き上がる。


 そのまま上昇して、王都の方向へ旋回、前進だ。


 ピューッとヒューム川を飛び越す。

 今日も川舟が沢山下りてきてるね。


 王都の中に入り、大神殿へ向けて飛ぶ。


 んで、さくっと着陸だ。


「はい、着いたよ~」

「早ーい」

「凄いよねえ、飛空艇」

「カロルの方が運転が上手いな」


 うるさいザマス、アダベルめ。


 ハッチを開けて、ちびっ子達を下ろす。


「それじゃ、私は保母さんに話を付けてくるよ」

「帰りは?」

「近いから一人で歩けるよ」

「キルギスにでも送って貰いなさいよ」

「わかったわかった」


 解って無いな。

 まあ、アダベルをさらっても閉じ込められたりはしないだろうから、それは安心よね。

 竜化したら勝てる。

 安心安心。

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― 新着の感想 ―
[良い点] リーディアさんの恩を返そうというところが好きです。 律儀なんですよね。 この異世界では、というか、マコト様の周囲が なんとも素敵な人たちに囲まれてるから、 だからかもしれませんが、こういう…
[一言] アダベルをさらう…どうやって? それなんてエロゲ…ぢゃなくて無理ゲ?
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