第648話 寮のお風呂はやっぱり良い
カポーン。
ご飯を食べたので絶賛お風呂タイムである。
カロルも一緒だぜー。
えっへっへ。
「嫌らしい顔をしないの」
「すいません」
大人しくしていよう。
カロルは怒ると怖いし。
コリンナちゃんとお洒落組、ジュリエットさんも一緒であるよ。
「ホルボス山の温泉も良かったですけれども、やっぱり寮のお風呂が落ち着きますわね」
「でも、邸宅に温泉が引かれましたら素敵ですわ」
「ああ、邸宅で温泉に入れますのね、それは素敵ですっ」
「向こうで温泉に入って帰るつもりだったのに、治療に夢中で忘れた」
コリンナちゃんが顔をしかめながら言った。
「私も忘れてたわ」
「そうだねえ。また行って入ろう。地獄谷の方の温泉も同じ成分なのかな」
「同じ火山でも違う成分のお湯がでる事があるから、ちょっと違うかも」
「集落を整備して、温泉施設も作ろう。今のままでは入る気にはならないな」
そうなんだよなあ。
地獄谷に温泉がでるって言っても囲いもない野趣あふれる露天風呂だしね。
良いお湯が出るなら温泉マニアに受けそうではあるね。
「ホルボス村と地獄谷間の道はやっぱり山頂経由が早いかな」
「ホルボス村から山頂までは登山道あるものね。地獄谷へ下りる道を作ればいいのか」
「馬車が通れないと時間が掛かっていけないよ。山麓に道を切るべきじゃないかな」
山奥の開発はインフラ整備からしないといけないから大変よね。
「道の敷設はお金がかかるし、維持費も結構かかるのよね」
「硫黄のあがりだと維持費でトントンぐらいか」
「まあそれでも、地獄谷集落の人が文明的な生活をしてくれればいいや」
「マコトは欲が無いからなあ」
お金は嫌いじゃないけど、人を虐げたり騙したりして儲ける気はないなあ。
女神さまに怒られちゃう。
湯船から上がってダルシーに体を洗ってもらう。
ああ、ラクチンだなあ。
自分で洗うのは手間だと昨日知ったのである。
私も、お貴族さまになっているのだなあ。
ダルシーに髪を洗って貰うのは気持ちがいい。
ああ上手だなあ。
髪にバスタオルを巻いて貰って再び湯船につかる。
やっぱりお風呂はいいね。
体中の力が抜けていく。
体を洗い終わったジュリエットさんが横にしずしずと入って来た。
「みんなでお風呂に入るのは最初は抵抗がありましたけれども、今は慣れて、良い感じですわっ。仲良くなれた感がありますわっ」
「ジュリエットさんもずいぶん優しい顔になってきたね」
「そうですか、そうかもしれませんわね。いまでもロイド様に言い寄る令嬢にはキーっとなりますけれども、昔みたいに激しく憎む事は無くなりましたわね」
「ロイドちゃんはチャラいからねえ。奴が悪いわ」
「でも、色々あってから本当にロイド様と仲良くなれた気がしていますのよっ。ありがとうございます、マコトさまっ」
「仲良くしているなら、なによりだね」
ロイドちゃんも将来は警備騎士団の上に立つ人だからね。
しっかりしてもらわないと。
「マコトも騎士団持ちになったわね」
「あ、あれはその、借りてるというか、私兵という訳でもないからね」
「村に騎士団があると治安が良くなっていいぞ」
「盗賊とか出るの、あそこらへん」
「あまり聞かないわね、王都近くの村には王立騎士団が来るから盗賊は来ないのよ」
「地方にはもっと警備がガバガバな村があるから、そっちを襲うんだろう」
盗賊団も昔は多かったんだけど、今はだいぶ減っているらしい。
長い間戦争が無いから、だんだんと治安が良くなっていくのだな。
「面白い噂を聞きましたわ、マコトさま」
「ん、なになに？」
「村の女の子とおしゃべりをして聞き出したんですけれども、どうも村長のお孫さんがブリスさまを狙っているとか」
「おおー」
「今は廃嫡されて平民身分ですけれども、あれだけの人物だからまた貴族に返り咲くだろうからとても優良物件なんですって」
あはは、ブリス先輩を落とせたら大金星だなあ。
頑張れ、村長のお孫さん。
「村娘さんたちは、マコトさまのお陰で新しい風が入ってきてとてもわくわくしているそうですわね」
「そうですわ、マリリン。あと、甲蟲騎士の人も人気が高くってよ」
「そうなの？」
外国の騎士さんたちだぞ、村娘たちよ。
「サイズは誉れ高い勇者の末裔の国ですし、国民性は真面目で誠実で、まるで理想の旦那様らしいのですわ」
「意外な人気なんだね」
「村に居着いて貰っても良いし、サイズが復興すれば騎士なれどお貴族さまと、夢が広がりまくっているらしいですわ」
あはは、村のお嬢さん達は面白いなあ。
そういう事で恋の花が咲くこともあるんだろうな。
村の恋話も面白いな。
というか、お洒落部はそういった方面の話が得意なので面白いな。
剣術部女子は、まあ、カトレアさんがアレだからな。
コイシちゃんとでっかいオーバンさんの間は進展したかな。
というか、ダンパからそんなに日が経ってないやないかいーっ。
先週の事でした。
イベントが盛りだくさんで、ダンパがもう半年も前みたいに感じるよ。
やれやれである。
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