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第640話 皆で楽しく昼食を食べる

 村のずっこけ三人組と別れて私たちは宿屋の食堂に入った。

 トール王子とティルダ王女は、もっと遊びたそうにしてたけど、それはお昼を食べてからね。


「まあああっ、教皇様っ、こんなへんぴな村にようこそいらっしゃいました」


 我々が宿屋の食堂に入ると女将さんがテンション高く出迎えてくれた。


「沢山で押しかけてすまないね。お昼ご飯を出してくれるかな」

「はい、田舎料理でお恥ずかしいですが、いま、用意をいたします」


 教皇様は私の上司なので、手配をみんなやってくれて助かるな。

 あちこちに出かけて祝福を与える仕事なので、教会スタッフさんも動きが良い。


 VIPの群れと派閥員たちが入って食堂はいっぱいになってしまった。

 剣術部はテラスの方に座らされた。

 すまないね。


 今回は、旧サイズ王国の王子王女が主賓になるのかな。

 教皇様がおもてなしになる感じだ。

 ディーマー皇子とグレーテ王女は隅っこの方にいるな。


 私とカロルとコリンナちゃんは聖女派閥の執行部なので教皇様の隣に座らせられた。


 反対側にトール王子とティルダ王女がちょこんと座って、となりにアダベルがいて、リーディア団長も座っている。

 その隣がケビン王子とジェラルドだね。


 で、王族が続くなかに、なぜか村長がいて異彩を放っている。

 あの顔は晴れがましいが、居心地は悪いという顔だ。


 学者さんやお養父様とうさまの姿が見えないが、きっと基地で研究しているのだろう。

 お養母様かあさまとお義姉様ねえさまはどこにいるのかな?


「リンダから話は聞いたよ。地獄谷は酷い状況だったらしいね」

「はい、人倫にもとる商売をしていましたね。奴隷みたいなものでしたよ」

「人は利益の為に悪魔にもなるか、嘆かわしい事だね」

「地獄谷の方は相手の商会に儲けを吐き出させて整備させようと思っています」

「わかった、教会の力が必要ならば言いなさい」

「はい、教皇様」


 というか、教皇様は私に甘いよなあ。

 その気になれば教会権力を盾になんでも出来そうだ。

 やらないけどね。


 

「この村はとても良い場所だね。教会として今後は開発に尽力したいのだが、よろしいかね、村長さん」

「は、はいっ、問題はございません。恐れ多いぐらいでありますじゃ」

「聖女マコトの別邸がある場所だ、教会も大きくしておかないと、巡礼者が来るだろうね。色々と生活が変わってしまいそうだが、これも信仰の為ですから、どうか我慢してください」

「そそ、そんな、恐れ多い、村は教会と領主さまの為に全力を挙げて協力しますぞ」


 村長は顔を赤くして協力を宣言した。

 村の人の意見も聞きながら教会の建物を建てていこうかな。

 でも中世の建物って、何十年とか普通に掛かるのよねえ。

 私が生きているうちに全部の建物が完成するのは見られないかもしれないね。


 などと話していたらお料理が出てきた。


「やあ、これは美味しそうだ。そば粉を混ぜたパンに猪のシチューかね?」

「はい、ホルボス村はそばが特産ですから」

「それは楽しみだ。では、みなさん、食前のお祈りを」

「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」


 さすがに教皇様の前で一人だけ「いただきます」とは言えないのであった。

 空気を読む聖女なんだぜ、私は。


 教皇様がそば粉パンを口に運んだ。


「ああ、これはソバの風味があって美味しいですね」

「体にもいいんですじゃよ」

「特産物がある場所はよろしいですね。特徴が出ます」


 うんうん、ソバパン美味い。

 そば粉を買って帰って、ひよこ堂でも焼いてもらおうかな。


 私は猪のシチューを口にはこんだ。

 うんうん、昨日食べたけど、やっぱり美味しいね。

 ちょっと堅いんだけど、かみしめると山の滋味みたいな物が口に広がる。

 ごろごろと入っている根菜類もここらへんで取れる物らしい。


「おいしいっ!」

「ソバのパン、不思議な味っ!」

「美味しいですか、それは良かった。大陸には色々な土地があって、色々な食材が作られています、それを食べるのも楽しみなのですね」


 教皇さまは微笑みながらトール王子とティルダ王女に語りかけた。

 二人はうなずきながらシチューを口に運んでいる。


「教皇さま、お二人をお世話するメイドが必要なのですが、大神殿で手配していただけないでしょうか」

「ふむ、確かに、お供が甲蟲騎士団だけだとお困りですね。そうだ、聖女さま付きのジェシーとハナを出向させましょう」

「ああ、それは良いですね」


 ジェシーさんは前世の見る家政婦のような雰囲気だからお料理もきっと上手いだろう。

 ハナさんは出来る人だから書類とか経理とか細々とした処理が早そうだ。


「なにからなにまで恐れ入ります」


 リーディア団長が頭を下げた。


「これも何かの縁なのですから、お気になさらぬように」


 教皇様は鷹揚おうように笑った。


 ジャガイモのサラダを食べる。

 うん、ジャガサラだね。

 ジャガイモが甘い感じね。

 良い芋だわ。


 食材なんかは問題がなさそうね。

 問題は地獄谷だなあ。

 街道まで結構遠いので食材を運ぶのも大変だな。

 かといって土地があまり良くないので耕作には向いて無いし。

 ホルボス村と簡単に行き来ができればいいんだけどなあ。

 さすがに火山の土手っ腹にトンネルは掘れないしなあ。


 ちょっと考えねば。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 段々と蕎麦湯や十割そばが食べたくなってきました…
[一言] 村が少しずつ形になっていくのはほっこりしますね。 元々資源のある場所だから生活環境が改善されればきっと流行る。下手したら旧縁からスラムの人が移住してくるまであるかもね。 しかしディーマー君と…
[一言] >何十年とか普通に掛かるのよねえ 魔法のサポートで20世紀初頭程度の高層建築技術があるんだから高速建築技術もあるかも知れない
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