第630話 ホルボス山に着いたので邸宅で寝る
さて、私は今、第一スイートである。
船の良い所は寝転んで休める所だよね。
前世の車旅ではこうはいかない。
今日は色々とあって疲れたから、ちょっとだけ、ちょっとだけ横になるだけですから。
ベットで横になって休むだけだから。
大丈夫大丈夫。
すやあ……。
馬に揺られる夢を見た。
前世で家族旅行で山に登った時、私とお母さんだけ馬に乗って登ったんだ。
なつかしいなあ、お母さん元気にしてるかな。
コミケで無理をして死んじゃう娘でごめんね。
でも、私は新しい世界で楽しくやってるから、心配しないで。
と、目を開けるとダルシーが私をおぶってホルボス基地を出る所であった。
「あわわ、もう着いたの?」
「はい、ぐっすり寝ておられたので、運ばせていただきました」
「ありがとう、ダルシーの背中は二回目だね」
「はい、二人で黄金の暁号に飛び乗りましたね」
ふと見回すと、みんなも歩いていて、私を見てニヨニヨしていた。
「ダルシー、おろしてっ」
「はい、大丈夫ですか?」
「ちょっと寝たから大丈夫」
ダルシーが私を下ろしてくれた。
起こしてくれれば良いのにさあ。
そんなにぐっすり寝てたかな。
カロルが優しくほほえんでいた。
なんだか私は照れくさくなったよ。
トール王子とティルダ王女もおねむのようで、王子をリーディア団長が、王女をガラリアさんが抱っこして運んでいた。
洞窟の道を抜けて地下礼拝所に入ると、ゆりゆり先輩とお洒落組、そしてコイシちゃんが迎えてくれた。
「お帰りなさいませ。作戦は成功のようですね」
「うん、上手く行ったよ、みんな、お出迎えありがとうね」
「マコト様とみんなが怪我とかをしないように女神さまにお祈りをしていましたの」
「まあ、可愛らしい王子さまと王女さま、天使のようですわね」
「あまり騒がないで、寝ているから」
「そうですわね」
マリリンもふんわりと笑った。
「作戦成功、おめでとうみょん」
「ありがとう、コイシちゃん、他のみんなは寝た?」
「はいみょん、ケビン王子さまもみんな寝ましたみょん」
そうかそうか、もう十二時近いからね。
この世界だとわりと深夜だ。
「では、みんなお部屋に戻って寝ましょう」
「それがいいわね」
「そういえば学者さんたちは?」
「もう、待ち構えていて船に乗り込んで行ったわ。村で宿を取った人は居ないみたいね」
本当にもう、学者さんたちはよう。
「最悪ラウンジで雑魚寝ですってよ」
「学者さんたちは幸せそうでいいねえ」
みなで階段を上がって邸宅にはいる。
「王子様と王女さまは、私たちの部屋で寝て貰うわ。リーディア団長とガラリアさんは悪いけど、メイド部屋に泊まってね」
「そ、そんな、悪いですよ。わたしたち甲蟲騎士団は外でも大丈夫です」
「今日は邸宅に泊まってなさい。これからはトール王子とティルダ王女とあなたたちが暮らす家ですからね」
「本当に何から何まで……」
「いいのいいの」
リーディア団長は遠慮しいだねえ。
「エクストラベッドを移動させますわね。ミーシャ」
「はい、おじょうさま、およびですか」
「西ウイングの第一室にエクストラベットを二つ」
「私もマコトと泊まる~~」
「アダベルさまもですか、三つ、設置してちょうだい」
「かしこまりました~」
ミーシャさんはたったと階段を上がって行った。
「私はどこで寝れば?」
「ヘザーさまは、私たちと一緒に寝ましょう、エクストラベットを設置してありますわ」
「ユリーシャ先輩とかあ、ただならぬ夜になりそうだ」
「何をおっしゃるのかしら、婚約者さまと熱々なくせに」
「えへへ、ばれてた~~」
さて、玄関ホールから階段を上がって、二階に上がる。
みんな寝てるだろうから静かにね。
「カーチス様とエルマー様は東の第二室で寝て下さいませ。ケビン王子とジェラルドさまが寝室でねておりますから、応接室のエクストラベットでおねがいしますわね」
「わかった、ユリーシャ先輩」
「疲れた……、早く寝よう……」
「じゃあ、おやすみマコト」
「おやすみ、マコト、カロル……」
男子どもは東ウイングの方へ歩いて行く。
私たちは西じゃ。
西の第一室に入った。
まあ、すんごい部屋だなあ。
飛空艇のスイートみたいな調度で、さらに広い。
「王子さまと王女さまはメインの寝室に寝かせてください。小さいからエクストラベットは可哀想だし」
「アダベルも寝室で寝たらどうかしら?」
「え、いいのかー?」
「そうですね、トール王子とティルダ王女はまだ小さいので同じベットで良いでしょう」
リーディア団長とガラリアさんが寝室に入り、ベットに優しく二人を寝かせた。
アダベルは隣のベットに飛びこんでボーンボーンと跳ねていた。
君はそれをやらないと死んでしまうのかい?
広い応接室にはエクストラベットが置いてあった。
というか、小型折りたたみだが凄く品質がいいな。
学園の女子寮のベットよりも感触が良いぞ。
「はあ、お金掛かってんなあ」
コリンナちゃんは鞄から寝間着を出して着替えながらため息をついた。
「ビアンカさまって本当に大金持ちだったみたいね」
カロルも制服を脱いで収納袋から寝間着を出して着替えていた。
「あの人は、お金の使い方がおかしい」
聖女の魔法で異常に儲けていたのだろうなあ。
超高価なアメニティとか売れるわけだし。
などと考えながら私も着替えてベットに潜り込んだ。
うわあ、寝やすいベットだな。
持って帰って寮のベットと取り替えたい。
はあ、一日色んな事があったなあ。
「では、おやすみなさい」
ダルシーがパチリと魔導灯のスイッチを切ってくれた。
おやすみ~~。
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