表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

635/1530

第624話 激闘! 轟風のザスキア! ザマスッ!!

「やってみろっ!! おばさんっ!!」


 カーチス兄ちゃんが一声吠えて背中のホウズを抜き打ち斬り下ろした。


 バウンッ!


 何か六角形の模様が浮き出た出来た球状の膜が現れてホウズの斬り下ろしを受け止めた。


『カーチス! 引けっ! 今の我では切り裂けぬっ!!』

「ぬっ!! なんだこれっ!!」


 柔軟な障壁か!!


「おばさんとは何事ザマスかっ! わたくしはまだ三十路前ザマスよっ!」


 カーチス兄ちゃんとザスキアさんはキンキンと打ち合った。


「畜生! 地味に上手えっ!!」

「ほほほ、その若さにしてはなかなかザマス。褒めて差し上げるザマスよっ!!」


 いかんっ、カーチス兄ちゃんが押されているっ!!


『ザスキア、これはホウズだ! 起動する前に倒せ』

「え、聖剣ザマスか? ど、どうして?」

『久しぶりだなっ!! タンキエム!! 前回はくつわを並べて魔王と戦った仲だが、手加減はせぬぞっ!!』

『おお! ホウズよ、勇者が持っておらぬお前なぞ、怖くは無いぞっ!!」


 なんだよ、タンキエムはインテリジェンスソードなのかよ。

 そしてホウズの知り合いか。


「カーチスさま! お下がりを!!」


 ヒルダさんの声でカーチス兄ちゃんは後ろに一歩飛び退った。

 彼女は両手を交差させて引いた。


 バミュン!!


 柔軟障壁が凹んだが切り裂けない。


「くっ!! アラクネ糸を弾くの!!」


 ヒルダさんの必殺糸が効果を現さないのか。


「代わろう、ブロウライト卿」


 カーチス兄ちゃんの前にナーダンさんがのっそりと立った。


「ありがたいっ! ナーダン先生!!」

「建国の魔剣タンキエムと打ち合えるとはな。ちと持ち手が物足りないが」

「ははは、剣神ナーダンといえど、このタンキエムの敵では無いザマスッ!!」


 おお、さすがはナーダン先生、危なげなくザスキアさんの剣をいなしている。

 だが、踏み込んで切り上げても柔軟障壁が剣をはばんだ。


「気を付けろっ、ナーダン!! タンキエムは熱線ビームを発射するぞっ!!」

「ちいザマスっ!!」


 ザスキアさんは舌打ちをするとアダベルの横の子供王子に向けて剣を振った。

 刀身から真っ赤な熱線が発射された。


「あぶないっ!!」


 アダベルが熱線の前に立ち塞がる。

 さらにリーディア団長がアダベルごと王子を抱えてかばった。


 ジュアアアアッ!!


「ぐああっ!!」


 熱線が金甲蟲鎧を焼き切る。

 そこへ私が障壁を斜めに発生させた。


 熱線は障壁にぶち当たり大量の火の粉を斜めに上げて止まった。


「大丈夫っ?!」

「命拾いしました聖女さま」

『ハイヒール』


 甲蟲の切れ目とリーディア団長の背中のやけどを一緒に治療する。


「くそっ!! 聖女がやっかいザマスね。最初に奴を殺す。いや勿体ないザマス」


 ゆらりとカトレアさんが凄い笑い方をしてエッケザックスを構えた。


「マコト~、かまわないよなあ、あのジーンの魔剣、ぶっ壊してもさあ」

「かまわないっ!! やっちまえっ!! カトレアさんっ!!」


 カトレアさんがザスキアさんに向けて駆けだした。

 エルザさんがリジンを発動させてコマ落としのような速度で先行する。


「なっ、加速ヘイスト剣!?」

『避けろっ!! リジンはいいっ! エッケザックスがくるっ!!』

「は? え? な、なんザンス? せ、聖剣が何本あるザマス?」


 エルザさんはナーダンさんと共に振り下ろされたタンキエムを受け止めた。


「振り下ろされなければ熱線はでないのね」

「上手いぞ、君!」


「あははははは、ジーン皇国の建国の魔剣をぶっこわーす!!」

「や、やめろ~~っ!!」


 皇子の泣き声が聞こえたが、知らぬ。

 きちがいのように笑いながら突撃するカトレアさんは誰も止められないのだ。


 カトレアさんは、ナーダンさんとエルザさんの間の隙間からエッケザックスを柔軟障壁に突き入れた。

 切っ先だけが柔軟障壁を突き抜けていた。


「ぬ、抜けただけザマ……」

「いっけーっ!! エッケザックスッ!!」


 バクン!


 エッケザックスの二つの刀身が左右に開き柔軟障壁を切り裂いた。

 刀身の根元が真っ赤に光りエッケビームが発射される。


 バシュウウウッ!!


 真っ赤な細いビームがタンキエムの柄頭にあたり貫通してザスキアさんの手を撃ち抜いた。


「ぎやあああああああっ!!」


 タンキエムの柔軟障壁は消え、ガランと甲板に剣が落ちた。

 ザスキアさんは手を押さえ絶叫していた。


「わっはっはっ!! 私とエッケの勝ちだ!!」


 ディーマー皇子はへなへなと甲板にひざまずいた。


「建国の魔剣が……。ジーン皇国の魂の剣が……」


 チェーン君が絶叫しているザスキアさんにのしかかり縛り上げた。


「ふう、あぶなかった」


 私は額の汗をぬぐった。


 カーチス兄ちゃんがホウズをタンキエムに近づけた。


『さらばだタンキエム』

『久しぶりに楽しかったぞ、ホウズ。建国博物館で二百年も見世物になっているよりは良い最後だった……』


 タンキエムの声が囁くように微かになっていく。


『来世で会おう、友よ』


 私はタンキエムを手に取った。


 無生物と生物の差はどこにあるのかね?

 魔剣ってのは鉱物製だが魔力が循環してる訳だよな。


『エクストラヒール』


「お、直った」

「「「「な、な、直った~~~~!!」」」」


 よし、砲撃の穴は塞がった。


「調子は? タンキエム」

『すばらしく良いぞ、聖女よ』

「それは何より」

『どうだタンキエム、我の新しい主人は最高じゃろうっ』


 わたしが、いつお前のご主人さまになったんだよっ。


『願わくば、聖女よ、私もホウズのようにあなたの冒険の旅に連れて行ってはくれまいか』

「えーー」

「駄目だ駄目だ駄目だーっ!! この剣を持っていかれては困るっ!! 皇室の至宝だぞっ!!」

「だってさ」

『残念だ』


 さすがに他人の国の至宝の剣をかっぱらうと国際問題だからな。

よろしかったら、ブックマークとか、感想とか、レビューとかをいただけたら嬉しいです。

また、下の[☆☆☆☆☆]で評価していただくと励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] あーあ、光魔力入れちゃったw
[一言] ザスキアさん見たらリンダさんが黙ってなさそうです
[一言] ヤパそうなふいんき()を漂わせつつあっさり終わりましたね。絶対そのうちまた出て来るんだろうけど・・・ タンキエムはとりあえずディーマー君が持ってたらいいんじゃないかな? ナーダン師が持って…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ