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第620話 玄関ホールに集まる聖女派閥の武闘派たち

 さあ、お腹もいっぱいになった事だし、ドルガンツ城に殴り込みと行きますか。


 という訳でカロルとコリンナちゃんと一緒に邸宅に戻ってまいりました。


「あ、聖女さま」

「よ、よろしくおねがいいたします」


 甲蟲騎士団のリーディア団長とガラリアさん、あと二人の赤銅甲胄の男性団員がいた。

 みんな甲蟲鎧を着込んでいるねえ。


「ガラリアさんの甲胄は綺麗な緑色だね」

「お、おはずかしい……」


 ヘルメットの所に虻の頭があって、威嚇するようにチイと鳴いた。

 ちょっと可愛い。


「突入の前に虻で偵察してもらうから」

「か、かしこまりました」


 ディーマー皇子とナーダンさんが二階から下りてきた。


「集まっているな。今宵は良い月だ、叔父上の城に突撃するのに良い塩梅だな」

「お兄さま、ご武運を」

「行ってくるぞ、グレーテ」


 突撃の塩梅ってなんだよ、皇子よ。


 アダベルとカーチス兄ちゃんとエルザさん、そしてエルマーとカトレアさんがドアを開けて入って来た。


「遅くなった~」

「アダベルがシチューをかっこんでたから遅れた」

「それを言うなカーチス」


 まあ、いつものアダベルだなあ。


 ヒルダさんとヘザー先輩が階段を下りてきた、マルゴットさんも一緒だ。


「やあやあ、僕も行って良いんだよね」

「かまいませんよヘザー先輩。諜報系の人は現場を踏むのも仕事ですし」

「解ってるねえ、マコトちゃん、好き好き」


 宝塚ボイスで好き好き言わないでくださいよ。


「私が悪さをしないか見ていますので、ご安心ください」

「ヒルダさん、おねがいね」

「悪い事なんてしないさー」


 これで、私とカロルとコリンナちゃんを足して、全員かな?

 あと、アンヌさんとダルシーも居るけど。


 クロがニャーンとイケボで鳴きながら玄関ホールに入って来た。


「おお、クロ! 忘れるところだった」


 アダベルがクロを抱き上げた。

 なんだな、遠くでもクロの視界は繋がっているのかね?


『遠くへ行けば俺の視界は当然切れる。だが、クロが自立行動が出来るように式を組み直した』

「しゃ、しゃべっちゃだめ、クロ!」

「にゃーん」


 しかし、ヴィクターは王都にいるだろうに、ここまで視界が繋がってるだけでも凄い性能だな。

 さすが闇魔法の手練れだぜ。


「ど、どこかの諜者の使い魔ですか?」

「そうよガラリアさん、ちょっとした知り合いの使い魔」

「ちがーうっ、クロは只の猫だっ、私のペットなんだっ」

「そうかそうか」


 私はクロの背中をもしゃもしゃした。

 良い手触りだなあ。

 元が紙とは思えない。


「では、サイズ王国の王子と王女救出作戦を決行します。完全な不意打ちを仕掛けられますので戦闘は小規模と思われます。敵戦力で注意すべき者はおりますか?」

「は、はい、兵は普通なのですが、諜報メイドが轟風のザスキアと言って二つ名持ちです」

「けけけ、やっぱりザスキアが詰めてた」

「しってんの、マルゴット?」

「はい、ヘザーお嬢様。ザスキアは凶悪な帝国諜報メイドです。皇弟と聞いて出てくるかなって思ってましたよ」


 マルゴットさんが嬉しそうだ。

 豪傑メイドなのかな。


「では、蒼穹の覇者号に乗り込んでください」


 みんなでぞろぞろと階段を下り、地下礼拝堂を通ってホルボス山基地へ行く。

 礼拝堂のお掃除も誰かしてくれたみたいね。

 綺麗になっていた。


 ホルボス山基地では学者さんたちが待ち構えていた。

 あんたらお食事会に遅れてきたくせに、早く戻って来たなあ。


「学者の資質として早飯があるんだよ、マコト」

「ちゃんと味わって食べてくださいよ」

「食事は死なない程度にとればいいのだよ、マコト君、さあ、早くカタパルトを起動してれたまえ」


 健康に悪いですよサーヴィス先生。


「危ないので、船の進行方向には出ないでくださいね」

「心得ている。映像球も準備完了だ」


 サーヴィス先生が紫色の球を両手で構えていた。

 映像球というのは錬金道具で、いわばビデオカメラだね。

 撮り終わったら水晶球に投影できるのだ。


 タラップを上がって船内に入る。

 

 航行スタッフ以外はラウンジに上がって貰う。

 結構長時間のフライトとなりそうだからね。


「私もスタッフだ、クロもだ」

「にゃーん」

「我も見ていて良いか」

「いいぞ、デーマー、隣に座れ」

「うむ、座るぞアダベル」


 かまわないが、今回は高空を行くので景色はわりと単調だぞ。


「操縦は私がするわ、マコトは居眠りしてなさい」

「え、でも」

「帰りはエルマーが操縦してくれるわ。無理しないで休んでいなさいよ」

「そうだ……」

「ん、ありがとう」


 カロルもエルマーも優しいなあ。

 胸がほわほわとするぜ。


「エイダさん、副操縦席にコントロールを委譲してください」

【了解です、マスターマコト。副操縦席にコントロールを移します】


 カロルが船長帽を被り直し、出力レバーを押し上げた。

 ふわりと浮遊感。


【カロリーヌさま、カタパルトを使いますか】

「学者さんが期待してるから使いましょう」

【了解しました。カタパルトに魔力接続、ゲートを開放します】


 目前のゲートがシャンシャンシャンと四枚開く。

 奧でレールが展開された。

 遠くに王都の灯が見える。


 赤いパイロンが回り、ファーンファーンと警報がなる。

 外の学者さんが喜色を浮かべて観察をしているな。


【蒼穹の覇者号、発進します】


 蒼穹の覇者号はすべるように加速していく。

 上部に付けられた金具で本体を挟み、レールに沿って加速して打ち出す方式のようだ。

 後ろに去って行く学者さんが腕を上げてぴょんぴょんはねて喜んでいる。


 蒼穹の覇者号はカタパルトを抜けて空中に飛び出した。

 カロルは操舵輪を引き上昇していく。

 前方には大きな満月。

 吸い込まれるように船は加速して高空を目指す。


 うん、離陸は飛行の醍醐味だね。

 テンションが上がるぜ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] メイドってなんだっけ……
[一言] いよいよ初?の他国へのカチコミだー!
[気になる点] >これで、私とカロルとコリンナちゃんを足して、全員かな? あれ、コリンナちゃんも行くんでしたっけ? [一言] 轟風のザスキアとか怠惰のマルゴットとか、メイドの世界も奥が深い……w
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