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第592話 食後の諜報報告を聞く

 ダルシーのお茶を飲みながら、みんなの食事が終わるのを待つ。

 ヒルダさんが立ち上がった。


「木曜日の諜報報告です。明日の夜にジーン皇国皇太子殿下、王女殿下の歓迎レセプションがあり、聖女派閥が警備協力を王家より依頼されましたので、領袖が参加します」

「あと、蒼穹の覇者号のコクピットにカロル、会場にカーチスとエルザさんを置きたいのですが、エルザさん、ご都合はどうでしょう」

「問題ありませんわ。喜んで参加いたします」


 快諾だ、よしよし。


「マコト、私は?」

「わっしも参加したいみょん」

「エッケザックスは今回必要無いのでカトレアさんは女子寮に居て、コイシちゃんも」

「ぬう、パーティ会場ではエッケは使いにくいか」

「ああ、聖剣需要かみょん」


 ビーム攻撃なんで、人が一杯いる所では危なくて撃てないのよね。

 切る攻撃ならホウズかリジンで良いし。


「了解した、女子寮の警備をうけたまわった」

「わっしも女子寮を守るみょん」


 メリッサさんが目をキラキラさせていた。


「外国の歓迎レセプション、出てみたいですわ、でも危ないですわね」

「そうですわね、警備の邪魔になりますわ」

「危ないからね、今度別の夜会の時にお願いね」

「わかりましたわ」

「なるべく多く夜会に行きたいですわねえ」


 お洒落組はぶれなくて良いなあ。


「マリリンも武道をしっかりやると、隠密警備に需要が出ると思うけどね」

「まあ、そういう手もありますわね」

「マリリン、がんばらないとっ」

「そうですわね、そう思うとやる気もでますわ」


 目的も無しに武道をやれって言ってもモチベーションは上がらないけど、興味のある事に役に立つ、となるとやる気もでそうね。

 マリリンには、やっぱり鉄扇かな。

 棒とかも良いんだけど、ドレスに似合わないしなあ。


「ジュリちゃんは歓迎レセプションに出るの?」

「でまーすっ、ロイドさまのパートナーとしてでまーす」

「あれ、そうするとビビアンさまも?」

「出るみたいですよっ」


 ビビアンさまも出るのか、やっかいな。

 ヴィクターも王都にいるみたいだから奴も会場のどこかにいるかな。


 あ、アダベルはどうなんだろ。

 学園長連れて来そうだな。

 後で確かめよう。


「歓迎レセプションの警備の方は甲蟲騎士の襲撃の可能性もあり、かなり各騎士団が力を入れているようです。大神殿の聖騎士部隊も来るそうです」

「リンダ師が来るなら安心だな」

「安心だみょん」


 剣術組にリンダさんは絶大な信頼を得ているな。

 まあ、めちゃくちゃ強いからしかたがないね。


 エルマーには明日の朝聞いてみよう。

 カーチス兄ちゃんはお昼の時だな。


「今回のジーン皇国皇太子殿下の表敬訪問ですが、ポッティンジャー公爵派が動いております。ビビアンさまとの会談を申し込まれたそうです」


 ふうむ、ビビアンさまは外交交渉とかできるのかな。

 ポッティンジャー領はジーン皇国に国境を接しているから心配は心配だね。


「ジーン皇国の皇太子殿下と王女殿下は、週末のホルボス山行きにも同行しますので、一緒に行かれる派閥員の皆さんは失礼が無いようにお願いしますね」

「それは気詰まりだな、迷惑な」

「皇太子殿下に会えるのは楽しみみょん」

「コイシ、お前には愛国心は無いのか」

「北方は良く上が変わるから微妙だみょんな」

「嘆かわしい」


 カトレアさんは愛国心バリバリだなあ。


 ふと上級貴族ブースを隔てている衝立の上にヘザー先輩の頭がぴょこっと出た。


「皇太子さん来るのかあ、面倒だねえ」

「すいませんね、ヘザー先輩」

「まあ、飛空艇に一度乗りたいだけだから気にしないで良いよ、マコトくんっ」


 ヘザー先輩もついてないね、なかなか乗れなかった上に、皇太子付きだ。


 しかし、皇太子一行と、学者さんたち、聖女派閥と飛空艇は一杯だな。

 一応一泊したいのだけど、ホルボス村の宿泊施設次第だなあ。

 船の中は皇子と王女でスイート二つ塞がってるし。

 たしか宿屋は一軒あったよね、温泉施設が付いてるやつ。


「それでは諜報報告を終わります」


 ヒルダさんが席についた。

 さて、お部屋に帰って寝るかな。


「マコト、これ」

「ん?」


 カロルが瓶を手渡ししてきたので受け取った。


「栄養剤、寝る前に飲んで」

「ありがとう、うれしいよ」


 やっぱり錬金術士の親友がいると色々と薬を貰えて助かるなあ。

 風邪引いても怖くないぜ。

 まあ、病気はキュア系でふっとばすので、しばらく掛かってないですけどね。

 気持ち気持ち。

 あと、魔力枯れは病気じゃないからキュアが効かない。

 あたりまえである、魔法で魔力回復できたら無限機関になっちゃうしね。


 とりあえず、コルク栓を抜いて、コッコと喉を鳴らして飲み干した。

 あれだ、リポビタンDのような味がする。

 素材が似てるのかな。


「ごちそうさま」

「寝る前に飲んでって言ったのに」

「すぐ寝るから大丈夫」


 カロルに空き瓶を渡して食堂を後にする。

 エレベーター組を見送ってから階段を上って部屋まで帰る。

 ふわあああ。

 眠い眠い。

 パジャマに着替えてベットに潜り込む。

 おやすみなさい。

 すやぁ……。



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― 新着の感想 ―
[良い点] ああそうか、そのうち魔力を時間で戻して魔力回復する魔法とかがいるのか だからわけわからん量の魔力わざ多いのね
[良い点] 予定報告回ですね。 ヒルダさんはかっこよいですね。 諜報の長というのは斯くも堂々としているというのは うっとりします。 それを平然と受けるマコト様、素敵です。 そしてカロルの気遣いが素晴ら…
[一言] エッケは頑張れば曲射できたりするビーム出たりしないのかな ホーミングビームとか >ビビアンさまは外交交渉とかできるのかな 国と娘を差し出しますのでよしなに、という密約でただの顔見せなら外交…
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