第591話 部屋に帰って仮眠を取って晩餐に向かう
みんなで女子寮まで行ってエレベーターホールでカロルと別れた。
晩餐まで錬金作業だという。
あいからわず働き者だなあ。
「私たちは自室で本を読みますわ」
「服飾史はお洒落の参考になりますわね、楽しみですわ」
「そうかそうか」
みんなで階段を上って二階へといく。
踊り場から見る空はそろそろ暗くなって来ている。
四時頃かな。
お洒落組と別れて205号室に入るとコリンナちゃんが勉強していた。
「マコト、お疲れ~~」
「ジーン皇国人は文化が違うから疲れるよ」
「聖女さまは大変だよなあ、ちょっと寝てな、晩餐頃に起こしてやるから」
「ありがとう、助かるよ」
「気にすんな」
私はのそのそとハシゴを登ってベットに潜り込んだ。
ああ、ベットの中大好き。
すやあ……。
あ。
「コリンナちゃん、甲蟲騎士たちが下水道を通って移動してるらしいんだけど、王都外への抜け道ってあるのよね」
「あるよー、親父が毎日のようにぼやいていたよ。適当に壁を壊して掘り抜かれるんで塞いでも塞いでも増えるって」
「密輸?」
「密輸とか、関税外しとか、あと麻薬禍の時は薬を運んでる奴らもいたらしい」
「あぶないねー」
「ヤバイ時は警備騎士団に応援を頼むらしい。意外に下水道局も大変なんだよ」
危ないなあ、といって放っておくと下水が詰まったりして大変だしな。
あまり尊敬はされないけど、大切な仕事だな。
「下水処理ってどうやってるの?」
「え、解らないよ」
「解らないって」
「王都の西側に閉鎖された区画があって、そこに下水を流すと綺麗になって川に流せるんだよ。でかいスライムが居るのかもしれないし、超魔導文明の魔導具があるのかもしれない」
「そんないい加減な」
「どこの大都市もそうらしいぜ。中規模都市だとそういうのが無いので衛生に難があるそうだ」
まあアップルガルドも、すごく古い都市だからなあ。
古代文明とかの遺産があってもおかしくないね。
「下水道からはたぐれないかあ」
「割と簡単に引込口作れるからね」
あまり騒ぐと下水道局の人達が危ないね。
「変な心配してないで寝ろ寝ろ」
「あいよー」
今日の午前の授業の勉強をしておきたかったのだが、まあしょうがない。
魔力もなあ、もっと欲しいなあ。
私は、人より相当高い魔力量なんだけど、飛空艇乗り回すにはちょっと足りない感じ。
エルマーやカロルよりも高いのだがなあ。
聖女活動は魔力をくうな。
すやあ……。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「マコト、晩餐に行くぞ」
「うんにゅ……」
ふわああ。
ちょっと寝たらすっきりしたな。
私はのびをしたあとハシゴを下りた。
「具合が悪いなら後で何か持ってくるぞ」
「大丈夫、結構すっきりした」
「うん、それは良いな」
二人で廊下に出て施錠する。
階段まで行くと料理の匂いがしてきた。
今日はシチュー系かな。
たのしみたのしみ。
一階のエレベーターホールに行くと、みんなが待っていた。
「うん、顔色良くなったわね」
「ありがとうカロル」
さて、みんなで晩餐だ~~。
ぞろぞろと食堂に入る。
「今日は何のシチュー?」
「ふふふー、今日の下級貴族食はビーフシチューよ」
クララが勝ち誇ったような顔で言った。
「おーっ」
それは張り込みましたな。
昔の食堂のビーフシチューは肉とか入って無かったけど、最近はゴロゴロしてるので食べ応えがあるのよね。
というか、上級食も今日は豪華っぽいね。
「王女さまが泊まっていたので、今日は王宮から食材の補助があったのよ」
「おお、それで今日は豪華なのね」
ジーン皇国人のめったに無い嬉しい特典だなあ。
ホクホクしながら料理をトレイに乗せていく。
今日はビーフシチュー、ポテトサラダ、ザワークラウト、黒パンという感じ。
スープの代わりにザワークラウトだね。
ケトルからお茶をついでテーブルに持っていく。
みんながテーブルに付くまでビーフシチューの匂いを楽しんでいる。
ふんわりとブラウンソースの良い匂い。
王宮から食材提供があったというだけあって、お肉がごろごろしてるね。
「いただきます」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
むしゃぱく。
んーー、美味しいっ。
良いお肉を使ってて口の中でほろほろととけるよ。
「今日は美味しいわね」
「王女が昨日来てたから、王宮から食材提供してくれたんだって」
「そうなんだ、ああ、人参も美味しいっ」
やっぱりご馳走系の献立は良いね。
テンションが上がるよ。
ザワークラウトも少し酸っぱい感じで美味しい。
ビーフシチューの良い箸休めになるね。
そしてほっこりしたポテトサラダ。
美味しい美味しい。
ぱくぱく。
「これは、キャベツの酢の物かしら?」
「ジーン皇国料理を食べて欲しかったのね。ザワークラウトというのよ」
「少しすっぱいけど、面白い味だわ」
グレーテ王女も食べられたら良かったのだけれども、まあ、飛空艇で豪華な王宮料理を食べているでしょう。
「美味しい料理を食べると充実するみょん」
「またお前は酢キャベツに塩をしこたまかけて」
「うちの地方ではこうして食べるみょんよ。ああなんだか懐かしい味だみょん」
コイシちゃんの地方でもザワークラウトを食べるのか。
北の地方のお料理っぽいね。
完食した。
ああ、美味しかった。
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