表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

585/1517

第580話 集会場でお昼ご飯

 王家主従はビビアンさまの昼食会にいきおった。

 リンダさんもナーダンさんと一緒に中庭の方に行った。

 もうちょっと手合わせをしたいそうだ。


 しかし、ジーン皇国のやつらのやることを見たら、早急にポッティンジャー公爵派を壊滅できないのが解るね。

 王家の攻撃が始まったら絶対にジーン皇国へ寝返りそうだ。

 そして皇国もそれの救援要請に乗って少しでもアップルトンの領土を削ろうと攻めてくるだろうしね。

 あー、中世の偽欧州の政治は野蛮でめんどくせえな。

 やれやれざますよ。


 集会室に入り、みなテーブルに付く。

 さあ、ご飯ご飯。

 亜麻布の袋を開いてパンとレモンスカッシュの瓶を出す。


「蒼穹の覇者号に皇子たちが居座ると、週末のホルボス山の旅行は?」

「ああ、困ったな。スイートが二つ塞がるし、あいつら邪魔だなあ」

「旅行が中止になったら残念ですわ。またガレットを食べたいのに」


 いや、飛空艇で行くと途中のアチソン村には止まらないぞ。

 ガレットはまた食べたいけどね。

 三時にでも食べたい人を積んで飛ぶかな。


 ミーシャさんのお茶ワゴンが来て、みなにお茶を入れてくれる。

 彼女のお茶は別格な感じに美味しいよねえ。


 聖女マリアパンをもしょもしょ食べる。

 ああ、甘くて美味しいね。


「マコトさまが、ディーマー皇子の頬を叩いたって本当ですの?」


 ぐっ、誰がばらしおった。

 まあ、ヒルダさんだろうなあ。


「嘘です、いくらなんでも、そんな事実はございません」

「そ、そうですか。でも、そうだったならとてもスカッといたしますわね」


 メリッサさんがうふふと笑った。

 私がヒルダさんを睨むと、彼女は聖女パンを噛みながらそっぽを向いた。


【マスターマコト、ディーマー皇子がお話したい事があるそうです、繋ぎますか?】


 なんだよ、めんどくさいな。


「繋いでください」

『君に話しかければいいのか、エイダくん』

【もう接続されています】

「なんだよ?」

『おお、聖女候補か、我々はいつまでこの穴蔵に居ればいいのだ』

「帰るまでいろよ、他に居る所あるのか?」

『そんなのこまりますわっ、せっかくアップルトンの王都に居るのに、美術館にも、コンサートにもいけませんの?』

「いや、行ってもかまわないが、甲蟲騎士に襲われて死ぬよ、王女」


 なんだか、昨日解らせたのに、ちっとも変わってないなあ、馬鹿兄妹。


『ジーン皇国の皇族がテロリストを恐れるなぞ名折れではないかっ』

「そういう事は自国スタッフで警護出来る国の言う事だ。訪問先に迷惑を掛けている時点で皇国の評判はがた落ちだと思うぞ」


 私はダルシーが注いでくれたお茶のおかわりをずずっと飲んだ。


『どちらにしろ退屈なのだが』

「しらねえ、メイドに図書館から本でも借りてきてもらえ」

『まったく、こんなもてなし方があるか、酷い待遇だ』

「あんな馬鹿強いテロリストを連れてくるおまえらが悪い、気楽に外遊をたのしみたいならあんな物連れてくんな」

『ぐぬぬ』

『せめて、美食の国アップルトンならではの食事ぐらいは楽しみたいわ。覇軍の直線号のコックには飽きましたの』

「アップルトン王家に伝えておくよ、王宮のコックでも派遣してくれんじゃないか?」

『しかたがないですわね』

「切るぞ」

【通信を切断します】


 なんというわがまま者どもなのか。

 命があるだけ大もうけだと思え。


「さすがはマコトさまですわ、大国の皇族相手に下町なまりでまくし立てる、そこに痺れる憧れますわあ」


 うっさいね、ゆりゆり先輩は。


「僕が王宮に話をいれようか?」


 すっかり派閥員として馴染んでいるロイドちゃんが聞いて来た。


「お願いできるかな?」

「ああ、彼らの為に料理班が組まれたはずだから、問題は無いと思う。料理は運んだ方が良いかな」

「あら、飛空艇で調理もできますよっ、ロイドさまっ」

「そこらへんはキッチンを見て貰ってからだね」


 コックさんたちは武道場地下入り口から来て貰えば良いかな。



「週末のホルボス山行きを中止するべきね」

「逆に考えるみょん。暇をしてるのだから連れて行ってあげれば喜ばれるみょんよ」


 コイシちゃんは元々ジーン皇国領だった家だから、わりと皇族に尊敬の念があるんだなあ。

 人によって色々だな。


 しかし、ホルボス山行きなあ。

 ブリス先輩を連れて代官業の引き継ぎとかもあるしなあ。

 あと、学者さんたちと、ヘザー先輩とマルゴットさんか。

 なんか、派閥のみんなも一緒に行くし。

 せっかくの楽しい行事なのに、馬鹿兄妹と一緒なのはなあ。

 アダベルに面倒みてもらおうにも、彼女もわりと心配だしなあ。


 孤児たちもホルボス山に連れて行きたかったけど、だめだね。

 馬鹿兄妹が孤児に失礼な口を利いて嫌な思いをさせちゃいそうだし。

 また今度連れて行ってあげよう。


 甲蟲騎士の移動速度はどんなもんかな。

 馬を走らせるとホルボス村まで半日。

 飛空艇の行き先を突き止められないとこれないかもな。

 だが、付いて来たらホルボス村で大立ち回りだなあ。

 リンダさんも積んでいくかな?


 ああもう、麻薬禍が終わったのに、ちっとものんびりできないなあ。

 くたばれジーン皇国人だ。

よろしかったら、ブックマークとか、感想とか、レビューとかをいただけたら嬉しいです。

また、下の[☆☆☆☆☆]で評価していただくと励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] くたばれジーン皇国人!! ものすごくよくわかる言葉ですね。 まぁ、全員が悪いわけではないと思いますが、 バカ皇子とバカ王女のおかげで印象が最悪ですからね。 これからのお出かけにコブ付きとな…
[一言] まあ皇国のバカどもは歩く災厄だしね 下手に動かすとそこがテロに巻き込まれるだけ そういや甲虫騎士捕らえてるんだからバカとセットで皇国に送り返してやれば済む話じゃ?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ