表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

571/1530

第566話 覇軍の直線号とドッグファイトする

 後ろからどんどん覇軍の直線号が追いかけてきて背面モニターに姿が見えるようになった。

 かなり大きくて綺麗な船だな。

 赤と銅色のツートンの船だ。

 大きさは黄金の暁号と同じぐらいか。

 三百人ぐらい乗れるやつだ。


「エイダさん振り切れないの?」

【かなりの高速船ですね、こちらよりも最高速度が高いようです】

「くっそー、背面マジックミサイルをぶち込みたい」

「駄目よマコト。戦争が始まっちゃうわ」

「国際紛争……」


 アダベルが背面モニターを振り返った。


「おー、いっちょ行って落としてくる?」

「駄目よアダベル、クロと遊んでなさい」

「はーい、カロル」


 アダベルをけしかけるのは最後の手段だなあ。

 というか落とす気になれば落とせるのだが政治的な問題が山盛り付いてくるからなあ。


【諦めて停船せよ、蒼穹の覇者号】

「うるせえ、死ねっ」

【なっ、なんだ貴様、ジーン皇国の皇太子に向かってっ】

「お前は山賊と一緒だ、滅びろジーン皇国人」

「マ、マコト、挑発しないの」

「だってー」


 しかし、速力が凄いのか覇軍の直線号は。

 飛空艇最速は蒼穹の覇者号だと思っていたぞ。

 なんだかくやしい。


「カロル、操縦代わって」

「……駄目、マコトは疲れてるし」

「それが無難……」

「私が一番蒼穹の覇者号を上手く操縦出来るんだっ」

【そうでもありません、カロリーヌ副操縦士と同じぐらいです】


 エイダさん酷いっ。


「渓谷に誘い込んで運動性で勝負するのよ」

「そうね、覇軍の直線号は大きいし、直線速度が速くても運動性はよくなさそうね」


 ぐいっとカロルは舵を切って山岳方向へ船首を向けた。

 覇軍の直線号は蒼穹の覇者号にのしかかるように肉薄してきた。


【船が壊れないうちに降伏しろ、蒼穹の覇者号は我々の物だ】

「馬鹿言うんじゃねえよ、破門するぞ皇太子めっ」

【ああ、お前が新しい聖女候補か、よかろうお前も戦利品としてジーン皇国に連れて行こうではないか(がしっ)】

【あんたが新しい聖女候補なのね、平民上がりだから下品な事、私が皇国でみっちり躾けてあげるわっ】

「うるせえっ、泥棒王女に教育される筋合いはねえよっ、てめえこそ教会に破門されて泣くんじゃねえぞっ! 結婚式に坊主が出ないからなっ!!」

【そ、それは困るわね……、でも、教会なんか怖く無いわよっ】


 くっそー、クズの皇太子に、クズの王女だ。

 帰ったら教皇様に報復行動を取って貰うからなあ。


 蒼穹の覇者号は峡谷に入り込んだ。

 よし、覇軍の直線号の速度はまっすぐ飛ぶ時だけのようだ。

 峡谷をって飛ぶようにしたら少し離れた。

 カロルが能面のような顔で舵輪を握り谷の中を飛んでいる。

 エイダさんが補助をしてるが、わりとヒヤヒヤするな。


【くそ、待てっ!! 峡谷に逃げ込むとは卑怯なっ!!】

「うるせーっ!! 馬鹿っ!!」

【艦首バリスタ発射用意!!】

【皇子! さ、さすがにそれはっ】

【うるさいっ!! 僕に逆らうというのかっ】

【くううっ!! 了解しました】


 覇軍の直線号の艦首付近が開いてバリスタが四門姿を現した。

 げげ、撃ってくるつもりかっ!


【バリスタ発射!!】


 バフン!!


 バリスタというのはボウガンの大きい物だ、エイダさんは当たっても平気というが凄い怖いっ!!


 カロルが発射のタイミングを振り返って見て、舵輪を回した。

 蒼穹の覇者号の船尾をかすめてバリスタの矢は谷に落ちていった。


「あぶないっ」

「撃ちやがった!」


 なんて奴だ、もうぶっ殺す!

 戦争が何だ!!

 何が皇太子だっ!


「カロル! 操縦権を私に!!」

「でもっ!」

「もう、怒ったっ、目にもの見せちゃる」

【カロリーヌさま、操縦権をマコト艇長に、あのバリスタが当たっていたらバリアが貫かれました、特殊矢です】


 ひゃあっ。

 こええっ!


「解ったわ、マコト、あまり無茶しないでね」

「無茶しまくる!!」

「もうっ! 操縦権を艇長席に委譲しますっ」

「マコトに任せた……」


【降伏しろ、これが最後の勧告だ】

「てめえこそ女神にお祈りを唱えろ、ぶっ殺すっ!!」

【生意気なーっ!! バリスタ発射せよ!!】


 二弾、三弾のバリスタが発射された。

 私は舵輪を左右に回して避ける。


 同時に峡谷の立体地図を見ながら反撃の運動を組み立てる。


【なぜ当たらないのだっ】

【皇子、さすがに高速飛行目標への命中率は下がります】

【それを完遂するのがジーン皇国軍人ではないかっ】


 私は一時岩陰に隠れ急上昇した。


【あら、お兄さま、敵船が】

【むむ、どこに行った】

【あっ、上空っ、直上っ!!】


 私は反転して覇軍の直線号の直上を取り、そして垂直降下した。


着陸脚スキッド展開」

 ガチョ。

着陸脚スキッド展開を確認】


 ガッシャーン!!


 蒼穹の覇者号は覇軍の直線号の上部構造に乗り上げた。

 そのまま降下出力を全開にする。


「このまま谷の底に落としてやるっ!!」

【くそうっ!! 小型艇が生意気なあっ!! 船長全力上昇!!】


 蒼穹の覇者号と覇軍の直線号は上下に押し合いをする。


「エイダさん、押し込める?」

【両船のエンジン出力は拮抗しています】


 んにゃろう、落ちやがれっ!!


「エイダさん、マジックハンド展開」

【左舷、右舷、マジックハンド展開】

「マ、マコト何をするの?」

「ぶんなぐるんだよっ、カロル!!」


 私はマジックハンド用のハンドルを持って覇軍の直線号をぶん殴る。


 ドッカン。

 ドッカン。

 ドッカン。


【やめろーっ!! 野蛮人めーっ!! そんな攻撃があるかーっ!! 船長バリスタを撃て】

【む、無理です、直上に撃てる武器がありませんっ】


「マ、マコト……」

「マコト……」


 メイン操縦室にお義兄様にいさまとジャンヌお義姉様ねえさまと、ヒルダさんが飛びこんできた。


「マコトーッ!! 何やってんだー、あの船はなんだーっ!!」

「あ、お義兄様にいさま、これからジーン皇国との戦争が始まりますから、御覚悟おねがいしますね」

「なんでだーっ!!?」


 と、対応しつつも、私はマジックハンドを振り回して、ドッカンドッカン覇軍の直線号をぶっ壊していく。


 さて、そろそろかな。


【覇軍の直線号、上昇出力ロストしました】


 よし、狙い通り。

 私も蒼穹の覇者号の降下出力を止めた。


「船長さん、そいつを王都に持って帰ってください」

【魔石切れが狙いか、まったく。見逃してくれるのか】

「落とすつもりならば、幾らでも落とす手段はあったのです」


 私は船首魔導機関銃を起動させて、近くの岩を撃って砕いた。

 船長さんはひいと呻いた。


【どういう事だ、なぜ抵抗をやめるのだ、船長】

【魔石切れです、もうアップルトン王都に到着ギリギリしか魔石がありません、戦闘不能です】

【な、なんだとっ!! 馬鹿なっ!!】

「馬鹿皇子、お前の負けだっ!! まだ続けてどっかに不時着するか? ああんっ」

【馬鹿な馬鹿なっ!! あんな小型艇に皇国の外遊艦、覇軍の直線号が負けるというのかっ】

【皇子もあの武装を見たでしょう、聖女さんは手加減してくれてたんですよっ! 死にたいんですかっ】

【ぐぬぬっ】


 けけけ、ざまあっ。


「相手の燃料切れを狙っていたのね」

「蒼穹の覇者号より早いって事はたぶん恐ろしく燃費が悪いと思ってね。ぼかぼか殴ったのはムカついたから」

「さすがだ……」


 義兄様おにいさまは真っ青になってディスプレイを凝視していた。


「お義兄様にいさま、ジーン皇国との戦争は無いようです。良かったですね」

「マコトちゃんすっごーい」


 ジャンヌお義姉様ねえさまはいつも通りサーバルモードだなあ。

 お義兄様にいさまは胃の辺りを押さえて苦い顔をしている。


「領袖……、王都に帰ったら王様に怒られますよ」

「しるかっ、皇太子が蒼穹の覇者号を鹵獲するとか抜かしやがるから」

「まあ、そういうのが領袖ですわね」


 ヒルダさんがため息をつくように言った。


 私は蒼穹の覇者号を上昇させた。

 覇軍の直線号はボコボコになっていた。

 わっはっは、爽快爽快。


【お、覚えていろよ、聖女候補め、必ずその船はいただくからなっ】

【大国ジーン皇国に逆らった事を後悔させてあげますからねっ】


 うるせえ、とっととどこなりと行っちまえ。

よろしかったら、ブックマークとか、感想とか、レビューとかをいただけたら嬉しいです。

また、下の[☆☆☆☆☆]で評価していただくと励みになります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 仮にも外交使節だろうにガチで物理で喧嘩仕掛けてくるとか…。それも補給も援軍も望めない仮想敵国の真っ只中で、アップルトン王国とは別に存在する教会勢力に。これだけ後先考えない狂犬なら、コイシち…
[一言] あーやっぱこういう国だったかぁ… 王国はコレを聖女に押し付けないだろうな?マジで王族というか国として力が無くて終わってるって自分たちから証明してることになるけど…。
[良い点] 教会のほうがでかいんじゃもん……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ