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第537話 チークダンスで桃色雰囲気

 チークダンスとは、頬をくっつけあうぐらいに密着して踊る舞踏だよ。

 うむむ、カロルの頬がすべすべでなんかやばい、なんだか色々とやばいね。

 酔いもあいまって、なんだかうっとりする。

 ああ、いい匂いだなあ。


「私ね、こんなに学園生活が楽しくなるとは、思ってなかったの」


 カロルが目を細めて、そう言った。

 

「きっと、寂しい三年を送るんだなって、覚悟していたわ、誰も私なんかと友達になんかなってくれなくて、一人で錬金をして、勉強をして、十八歳になって卒業するまで一人なんだなって思ってたんだ」


 カロルは静かに語る。

 私と抱き合いながら、小さな声で。

 そんな事は私がさせない。

 今世でも、ゲームでも、カロルの一番の友達は私、マコト・キンボールなのだから。

 きゅっとカロルの繋いだ左手を握る。

 彼女もきゅっと握り返してくる。


「でも違ったわ、なんか凄く馬鹿っぽい女の子が大声を上げながら私に走り寄ってきて、敵の騎士の金的を蹴り上げてお友達に立候補してくれたの」

「な、なんか事実とちょっと違う感じが」

「私ね、凄く嬉しかったの、マコト。お馬鹿で突拍子も無い事をする聖女さまのお友達が出来て、自分が久しぶりに笑ってる事に気がついたわ。心の中の重りが全部外れて、子供の頃みたいに笑えてるのよ」


 そ、それは何より。

 お、お馬鹿な事とは、どれだろう。

 ああっ、なんか心当たりがありすぎる。

 出会った頃はなんか、平気でセクハラしてたからなあ。

 はっはっは。


「マコトと会ってたった一ヶ月半だって信じられないわ。あなたはもっと沢山私に色々な物をくれたから」


 うん、私も思えない、一年ぐらい経った気がするよ。

 事件が起こりすぎだよねえ。

 普通の学生というのは、こんな密度で事件には合わないものだろう。


「マコトは何時も明るくて、困っている人に親切で、悪い奴には容赦がなくて、凄く強くて凄くやさしくて、私はね、私……」


 お、おっ?

 肩に回った手に力が入ったな。

 な、なんだ、なんだ?


「私は、マコトが好きよ」

「!」


 こ、こここ、告白されましたよーっ!!

 ふおおおおおおっ!!

 どっと汗が出てくる。

 顔が凄く熱い。

 どどど、どうしようどうしよう。

 私もカロルが好きだよと重ねるべきか。

 うわー、どうしよう。


「私も、カロルが好きだよ」


 ぎゃー、口にするとすんげえ恥ずかしいっ!!

 そういや、前世でも誰かに好きとか伝えた事ないからなあっ!!

 初めてだからなあっ!!

 顔が熱いっ!!


「わあ、嬉しい」


 カロルの満面の笑みが可愛いっ。

 うわあ、どうしようどうしよう、相思相愛だ。

 いや、確かに態度のふしぶしからカロルは私の事を好いてくれてるなあとは思ってましたが、ほら、重症の友情という可能性もあるわけでっ。

 でも、こうしてちゃんと告白してくれたという事は、真っ赤になって微笑んでいるという事は、相思相愛で良いんじゃ無いですかね。

 どうですかねっ!?

 誰に聞いているか解らないのですけどねっ!


 カロルがガバッと抱きついて来た。

 うおっと不意を突かれてちょっとバランスを崩したが背中側に障壁をとっさに作って寄りかかる。

 カロルの顔が近づいてきて、唇と唇が触れあった。

 わあ、キスであるよ。

 ほわわわーっ。


「マコトが好きよ」

「うん、私もカロルが好き」


 キスを交わす。

 ほわほわの脳に吹き上がる竜巻みたいな幸福感。

 カロルの体をぎゅうぎゅう抱きしめる。

 抱きしめられる。


 うっは、すんごい幸せで、すんごい照れくさい。

 なんだか身の置き所がない。

 知性が蒸発した感じで何も考えられない。

 キスの味はわからないけど、とんでもなく脳に甘い。


 障壁に背中を預けて、脳が溶けたのでぼんやりしている。

 と、思ったら、カロルが私の肩に顔を埋めて、お尻と胸を触って来た。

 な、な、ななななっ、ええっ、なんですか、初キッスの直後に先に進みますかっ。ちょ、ちょっ!


 あ、やばいやばい、カロルの目が肉食獣みたいな感じになっておる。

 あれだ、今世の人々は綺麗だから解って無かったが肉食人種の外人であるよ、淡泊なお豆腐の国の平たい民族じゃあないんですよ。

 やるときはどんどんやる感じなんで、気を抜くと礼服のズボンの股間に手をつっこまれますよ。


 カロルさん、なんかクスクス笑いながら私をまさぐってきてましてね、もう、私はファーストキスだけで、こう、頭が煮えてしまいましてね、その後まで果敢に攻めて行く気力が無いのでして、つまりですね。


「そ、そのっ、あのっ、カロルっ!! ま、また今度っ!!」


 ブーッと、観戦していた、コリンナちゃんとアンヌさんが同時に吹き出しましたよ。

 カロルはどうして、という感じの目で私をみてくる。

 ああ、あれは肉食獣、豹の一種なのだ、私は両手を前にして後ずさり。


「心の準備が出来てないのーっ、お休みーっ!!」


 くるっと振り返ってダッシュでにげる。

 ドアを開けて、廊下を全速力。

 いやあ、いやあ、そんな高速で大人の階段を駆け上がらなくてもですね、ゆっくりのんびり行きましょうよ、ねえっ。


「うひゃひゃひゃ、マコトがヘタレたーっ!」


 コリンナちゃんの罵声が飛びましたよ。

 くっそう、笑わば笑え。

 思春期は急に怖くなるんだっ!!

 過度なペッティングは厳禁でございますっ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] これが、蛙化現象……!(違う)
[良い点] ここ最近の展開が本当に本当に面白くて、聖女様としてブチギレているマコトが格好良くてたまらなくなり3周目の読み返し中です。 普段は感想やレビューなどを書いたりしませんが、ここのお話は1回目に…
[良い点] おおぉ、マコトさんカロルさんおめでとう御座います〜 まさか肝心な時にはマコトさんの方がヘタレとは誠に残念です。。。続ければ良かったなw
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